専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第87回

 ゴルフを始めて、何年が経ったでしょうか。私は1990年ぐらいにデビューしましたから、25年ぐらいとして四半世紀ですか。さぞかし上手くなったかと思いきや、いまだ「100」を叩く始末......。

 それに引き換え、女子ゴルフ界の新星・畑岡奈紗選手は、ゴルフを始めてわずか6年でツアー優勝、それもメジャー大会の日本女子オープンを制すって、なんだんねん。しかも、まだ弱冠17歳ですよ。

 そんな姿を見ると、「やっぱり俺はゴルフに向いていないのかなぁ」なんて思うのですが......、ほとんどのアマチュアゴルファーがそうなんですよね。

 というわけで、いまだ発展途上の諸兄、嘆くことなかれ! 我々は大した才能もないので、地道な精進が大切です。

 ただ、そんなこと言うと、「そうか、凡人は練習あるのみか」「じゃあ、人の倍は努力しよう!」と思ったりするのでしょうが、そうやってがんばりすぎると、逆にこじらせることが多いのがアマチュアゴルファーです。すなわち、アマチュアは「がんばっても、がんばらなくても、しんどい」というパラドックスに陥りがちです。

 じゃあ、どうすりゃ、いいねん!? まあ、まずはそのこじらせぶりを、とくと拝見してみましょう。

◆練習をしすぎる
 人生は何事もほどほどに、ですね。私なんて今年の夏、基礎体力を作ろうと、3カ月ほど毎日ジョギングをしてがんばっていたんですね。そうしたら、膝をやられて、一時は歩行すら困難に......。素人の急な運動は、こうですから。

 ゴルフの練習も、昔はひどいときには朝、昼、晩と3回、納得するまでやりました。その挙句、肩をパンパンに腫(は)らして、翌日のラウンドは大叩き。それじゃあ、練習をやる意味ないじゃん!って思いますわ。

 知り合いにも、練習をしすぎて、あばら骨の疲労骨折とか、背中を痛めて手術したとか、そんな武勇伝をたくさん持っている輩がいますけど......。

 ベストスコア更新中の方は、2日に1回ぐらい練習してもいいでしょうが、成長が止まった方は、せいぜい月1回の練習でいいんじゃないですか。あとは、コースで練習すれば十分です。

 練習というから、勘違いして打ちまくるわけです。練習場では、日頃のショットが打てているのか、その確認作業をすると思えば、ほどほどに終わることができます。

 スコアの高度成長時代が終わった方は、新しいアプローチ法とか、ドローボールを覚えるとか、そういうこともしないほうがいいです。現状維持で御の字だと思いますよ。

◆変則フォームになる
 他人がのたまわく、私はかなり変なスイングなんだそうです。そう言うやつらには、「私とのゴルフに勝ってから言いなさい。あなたは、その変なスイングに負けているでしょ」と言い返します。

 だいたい、ゴルフの上手い人は「キミのスイング変だよ」とは決して言いません。達人は、それだけジェントルマンなのです。

 とはいえ、変なフォームの人はたくさんいます。私が出会った中で、最も変なフォームの人は、パターを打つときに腕をグニャッと曲げて、じゃんけんのおまじないをするような格好をしていました。

 実際、変則打法の取材でゴルフメディアに登場してもらったほどです。本人曰く、さまざまな工夫をしているうちに、そうなったんだとか。そして、「パターがよく入るから、(何を言われようと)気にしていない」と言っていました。

 ゴルフは所詮、上がってなんぼ! です。変なスイング、変なフォームでも、スコアがよければいいんです。大差ないのに、他人のフォームにケチをつけるのは、どうかと思いますよ。

 ただ、変てこなスイングのうえ、さらに下手な人というのは、確かにカッコ悪いかもしれません。そういう人は、もはやゴルフをやめるか、レッスンプロに教わるか、どっちかに決めないと。

◆プレーが遅すぎる
 どこの世界にも、プレーが遅い人はいるものです。それでも、それがバーディーパットで、見事に入れば文句の言いようがありません。が、遅い人は往々にして叩いています。

 歳をとるにつれて、動作が鈍くなりますが、若くて遅いというのは問題です。なんで、遅くなるのか?

 以前、あるゴルフ番組を見ていたら、コント赤信号の渡辺正行さんがこんなことを言っていました。

「確認するポイントが多くて(プレーが)遅くなる」

 腕、肩、首、グリップ、そしてライ、フェースの合わせ具合など、頭の中でいちいち、電車の車掌さんが"指差し確認"するみたいにやれば、そりゃ遅くなりますよ。

 理想はダラッと構えて、なんとなく打つ感じでしょうか。そういう自然派の方はアドレスに入った瞬間、違和感があれば本能的に感じとります。構えたときにしっくりこなかったり、「なんか変」と思ったり、ですね。さすがに、そういうときは仕切り直します。結果、ティーグラウンドに傾斜があって、微妙に足の位置がズレていた、とかね。

 私も、変だと感じることはよくあります。けど、周りの人に迷惑をかけるので、「まあ、いいや」と打ってしまいます。おかげで、へんてこなボールが出ることもしばしばあります。

 でも、仕切り直したからと言って、いいショットが出たかどうかは、謎です。時間内にスムーズに進行すれば、一緒のパーティー的には気持ちがいいでしょ。そっちを優先させますね。

◆イップスにかかる
 イップスは精神的なものが多く、賭博の自由な国では多額の金額を賭けると、「首が回らなくなって動けなくなることがある」と、まことしやかに囁かれています。

 でも、松山英樹選手なんかは、最終日の最終ホールで優勝を争っている状況であれば、1打、数千万円とか億単位の勝負をしているわけでしょ。あくまでも、トーナメントの賞金額の話ですけど、そこで平然とプレーしているんですから、本当にすごいですよね。普通の人なら、「これを外したら、何千万円も損をする」と思ったら、間違いなく手が震えますよ。

 勝負事をしない人でも、トラウマでイップスになっている人が結構います。例えば、ドライバーで打つと、必ずチーピン(左に曲がる球)が出るから打てない、という方がいました。「大丈夫、左はOBがないし、広いフェアウェーだから、ドライバーで打ってみれば」と言っても、頑なに使わないんですよね。

 個人的には、一時"コース・イップス"というのか、練習場じゃ真っ直ぐいい球が出るのに、コースに出ると乱れまくりってことがありました。それでまた、練習場に戻るといい球が出るという、そんな怪奇現象に悩まされました。

 だから、ドライバーを握ると疑心暗鬼になって、いろいろと考えてしまって、動作が遅くなっていました。その原因は、あとで判明しました。練習場よりコースに出たときのほうが、アドレナリンが多く出て、余分な力が出ていたようです。それからですよ、マン振りをしなくなったのは。

 とまあ、そんなこんなで、多くのアマチュアゴルファーはいろいろな"こじらせ病"を抱えています。それはもう、持病だと思って慈しんで、思う存分ゴルフを楽しみましょう。

 その結果、最終的にはどうなるのか?

 それは、「下手なのにゴルフをやめられない病」でしょうか。こりゃ、あかんですわ。


■木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa