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毎月の給与明細書は、支給欄と控除欄、勤怠欄にわかれています。このうち、控除欄に書かれている内容がどのように決められているかご存知でしょうか。

「控除」とは差し引くことですが、引かれる金額はある一定の規則によって導き出されているものであり、皆さんが毎年行う年末調整とも深いかかわりがあります。今回は、会社から支払われる給与額はどのように計算されているのか、そして計算時に控除されている項目にはどのようなものがあるのか、についてご紹介したいと思います。

○給与明細書の例を確認してみよう

まず、給与がどのように計算されているのかを確認してみましょう。【年収480万円、東京都内在住、豊島区勤務、独身、35歳男性】の場合、差し引き支給額は以下のようになります(※諸手当などは除く)。

住民税は諸条件により変更となる可能性があるため、上の表は概算の数字となります。また、これに伴い、控除額合計、差し引き支給額についても概算の数字となります。

○控除されているものは何?

給与からは、上記のように、各種保険料や税金が差し引かれます。特に大きな変動がない場合、支給額の8割程度が実際支給される給与(差し引き支給額)の金額となります。

では、次に、毎月控除されているものについて見ていきましょう。控除されているものには、健康保険料、厚生年金保険、雇用保険料、源泉所得税、住民税、その他などがあります。

(1)健康保険料
医療費負担を軽くするための保険料です。「標準報酬月額(※)x保険料率」で計算され、会社と従業員で半分ずつ負担します。通常、毎年3月に保険料率が改定されます(現時点では9.96%)。

(2)厚生年金保険料
老齢での退職時や障害を負ったとき、または死亡した場合に、本人や家族が年金を受給するための保険料です。「標準報酬月額(※)x保険料率」で計算され、会社と従業員で半分ずつ負担します。通常毎年9月に保険料率が改定されます(現時点では18.182%、H29以降は18.3%)。

(3)雇用保険料
従業員の雇用の安定や促進を目的とした保険料で、65歳未満は支払う必要があります。一般事業の場合、「(給与額面+通勤交通費)×雇用保険料率(1.1%)」で計算され、これを事業主が0.7%、従業員が0.4%負担します(平成28年の場合)。通常毎年4月に保険料率が改定されます。

(4)源泉所得税
給与を支払う会社が従業員の所得税額を概算計算し、支払額からその税額を天引きして国に納付する税金です。この概算計算は社会保険控除後の給与額・扶養人数・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出の有無により行われます。

(5)住民税
前年の所得に基づいて計算され納付する税金です。勤務先の会社から送られた給与支払報告書をもとに、納税額の決定が行われます。その後、市区町村から会社に決定通知書及び納付書が送られます。会社員の場合、住民税は原則、毎月の給与から天引きされます。

(6)その他、控除されるもの……介護保険料
医療費負担を軽くし、かつ介護サービスを受けることができる保険料で、40歳から被保険者となります。「標準報酬月額(※)x保険料率」で計算され、会社と従業員で半分ずつ負担します。通常毎年3月に保険料率が改定されます(現時点は1.58%)。

また、会社によっては労働組合費・共済費・労働争議準備資金などが、会社と個人での財形貯蓄などにより、給料から差し引かれます。

※「標準報酬月額」……通常、4・5・6月の報酬の平均額で決定します。この額が高くなればなるほど保険料負担も大きくなります。
○なぜ年末調整でお金が返ってくるの?

ここで、年末調整についても触れておきたいと思います。上記のように、毎月支給額から控除される形で保険料や税金を支払って年末が近づくと、年末調整というものを行います。「年末調整で払い過ぎた税金が返ってくる」などと聞かれたことがあると思いますが、そもそもなぜ「払い過ぎ」という事態になるのか疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

答えは、毎月、源泉徴収されている所得税額が概算計算だからです。例えば、1年の途中に結婚して扶養家族が増えたり、子供が生まれて生命保険の契約内容を更新したりした場合、支払った所得税額と実際に払うべき所得税額は同じ額にならない可能性があります。そのため年に一度、年末調整を行うことにより正しい所得税額を計算し、概算で支払った所得税との差額を精算するのです。

○まとめ

給与がどのように計算されているのか、計算時に控除されている項目にはどのようなものがあるのかなどについておわかりいただけましたでしょうか。

「こんなにいろいろなものが引かれていたの!?」とびっくりされた方もいらっしゃるかもしれません。せっかく一生懸命お仕事をしてもらっているお給料から税金を払っているのですから、その内訳がどのようになっているのかはきちんと把握しておきたいものです。次のお給料日が来たら、是非給与明細書をじっくりご覧になってみてはいかがでしょうか。

花房 浩平(はなふさ こうへい)
税理士法人アディーレ会計事務所。税理士。東京税理士会所属。大阪府出身。京都産業大学経営学部卒業。民間企業にて8年半営業担当として勤務後、一念発起して税理士試験を受験し合格。大阪の会計事務所にて中小企業の資金調達支援の経験を積む。現在は起業家の会社設立や個人事業主の法人化を事業計画策定、資金調達の面からサポートしている。アディーレ会計事務所が運営する経営者の企業・経営をサポートするブログ「税サポ」の監修を担当。

(アディーレ会計事務所)