自分の体がふわっと光り輝くお風呂にも入れるよ♪ 光を操るジェームズ・タレルの現代アート作品「光の館」に宿泊してきました

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アートにもいろいろありますが、私は専門的な知識がなくても楽しめる「体験型アート」と呼ばれる作品が大好きです。

先日体験してきたのは、新潟県の越後妻有(えちごつまり)にある「光の館」という宿泊できるアート作品。見学でも楽しめますが、宿泊者だけが楽しめるものもあるというユニークな作品です。

この「光の館」を手がけたのは、ジェームズ・タレル。香川県直島町の地中美術館や金沢21世紀美術館など、光を使った作品で広く知られている現代美術家です。

【外観は伝統的な日本家屋】

外観は、伝統的な日本家屋を再現した純和風の建物です。建物の内部には、畳敷き、濡れ縁に障子。神社のような作りになっています。

さらに、夜になってライトアップされると、神殿かと思ってしまう神々しい姿が現れます。

設備は一見和風ですが、細部を見ると非常に近未来的な作りになっています。天井や床の間の一部に、オレンジや赤のライトが組み込まれていたり、備え付けのキッチンがつるりとした御影石だったり。

【寝転がって空を眺める和室『アウトサイドイン』】

「光の館」の目玉の1つが『アウトサイドイン』。建物の屋根が開いて、和室からぽっかりと空いた穴から空が見えるのです。ただそれだけなのですが、私はひとしきり体験した後、なんだかいっぱい泣いた後のような、スッキリした気分になりました。

壁のスイッチを入れると和室の天井にある天窓がスライドして開き、天窓からのぞく青い空。

畳の上に寝転がったまま、真四角に切り取られた空をぽかーんと眺めてると、雲が流れていき、ときおり鳥が横切るのが見えます。「ああ、ずいぶん長い間、こうやってただただ空を眺めるなんてことしてなかったなあ……」と感慨深い気持ちに。

ここまでは、日帰りで来館しても楽しめる内容なのですが、宿泊するとさらに2つ体験できます。

【宿泊者だけの体験・その1】

宿泊者だけしか味わえないものの1つ目は、『アウトサイドイン』で行われる「ライトプログラム」です。

日帰り見学では夕方までしか滞在できないため、『アウトサイドイン』で空を眺められるのは、まだ陽があるうちの明るい空。宿泊者だけが、日没、日の出が近づくにつれて天窓から見える空が刻々と色を変えていくのに合わせて、天窓の周りの天井が様々な色にライトアップされる「ライトプログラム」を体験できます。

今回は日没時のライトプログラムを体験できました。ライトは最初ほのかに色づいているだけでしたが、次第に色や光の強さが変化し、部屋全体を染めるほど。反対に天窓から見える空は刻一刻と暗くなり、「夕方の空の色って単純な色じゃなかったのだ……」と、人工的な光と太陽の光のコントラストを感じ、不思議な気持ちになりました。

【宿泊者だけの体験・その2】

もう1つは、『Light Bath』という浴室です。

なんといっても、素晴らしいのは夜。お風呂に電灯が全くないのです。あるのは、入り口や段差の位置に付けられた細いライン状の灯りと、湯船の縁に配置された、これも同じようにライン状に光るライトだけ。

暗闇の中、ボディーソープやシャンプーを手探りで使い、シャワーで体と頭を洗ってから、転ばないようにそろりそろりと湯船へ行きました。そしてお湯に体を沈めると、あら不思議! 室内も湯船の中も真っ暗なのに、お湯に浸かっている体がふわっと光り輝いて見えるのです。

まるで蛍のように、身体自体が発光しているよう。湯船の内側に取り付けられたブラックライトが当たって光るのでしょう。真っ暗なお湯の中でゆらりと光る身体は、とっても神秘的で、自分の体とは思えないほどです。

私は友人と一緒に入り、大きな湯船の両端に浸かりながら、「光り輝いてるよ! ステキだよ!」、「むちゃくちゃ輝いてるーぅ」などと大盛り上がりしてしまいました。

昼間に入浴すると、おしゃれな現代風旅館にある広々としたお風呂といった様相。ひたひたとお湯が満たされ、大きな窓から見える木々の緑がとても美しかったです。

【予約は半年前から始まります】

建築物自体がとってもステキで、日帰りで鑑賞しても十分楽しめます。ですが、満喫するためにもぜひ宿泊をおすすめしたいです。

私は、もう一度は泊まりたいと考えています。なぜかというと、日の出のライトプログラムを今回鑑賞できなかったのは……寝坊しちゃったからなのです。次は必ず起きるぞ〜!

【今回訪問した場所の情報】

名前 光の館
住所 新潟県十日町市上野甲2891  

取材・撮影・執筆=山川ほたる (c) Pouch
※ 掲載している情報やデータはすべて取材時(2016年8月)のものです。写真はすべて先方の許可を得て撮影しています

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