一見普通の人が、経済的にとても成功しているエピソードを見つけるのは、難しいことではありません。普通の仕事をしている普通の経歴の人が、銀行に数千万もの貯金があるという話を聞いたことがあるでしょう。その人たちは、一体どうやってそんなに貯金ができたのでしょうか?

残念ながら、このような話には、見出しを読むだけではわからない細かな裏話があることが多いです。その人たちは、みじめにも思えるようなレベルの質素倹約を実践していることがよくあります。とても小さな家に住んでいたり、食生活がかなり変わっていたり、家に閉じこもっていることが多かったり、ほぼ自給自足の生活をしていたりします。仕事の役職や肩書は普通でも、実際には平均以上のかなりいい給与をもらっていたり、それ以外の何かしらの経済的なメリットがあることもあります。(遺産を相続しているなど)

この時点では、経済的な成功は、誰にでもできることではなく、例外的な状況でのみ起こるものだ考えてしまうかもしれません。しかし、今回私が言いたいのは、極端な質素倹約をしなくても、高給取りでなくても、莫大な遺産を相続していなくても、実際に経済的に成功する可能性があるということです。

社会人になってから、妻と私はアメリカ人の平均給与よりも25%以上稼いだことはありません。(精神的に参ってしまい、ほぼ自営業となっていた1年以外は)つまり私たちは高給取りではありません。子供も3人います。子供がいる人にはわかると思いますが、子供にはお金がかかるので、余裕があるわけでもありません。

また、私たちは極端に倹約しているわけでもありません。仕事のために実験的に色々とやることはありますが、日常生活は過剰に質素だとは思いません。普通の食事、普通の趣味、いたって普通の生活です。

しかし、この10年で、私たちは数百万円の車2台のローンを完済し、その後買い替えた車の支払いも終えています。同じく数百万円の自分たちの学生ローンの支払いも終わりました。また、クレジットカードの支払いも終わっています。4ベッドルームの家を購入し、4年で支払いが終わりました。今は、住宅ローンも含めまったく借金はなく、早期リタイアのための貯蓄をしています。

どうすればこんなことができるのかと思うかもしれませんが、ほんの少し賢い戦略を使うだけで可能です。ここからは、私たちがやってきた基本的なことをお教えしましょう。

こだわりのないところで倹約する


倹約というのは、何もかも締め付けることのような間違った印象を持っている人がいます。倹約をしようと考える時、支出を減らすことだと考えると思いますが、まずは自分がまったくこだわっていない生活費の支出について最初に考えましょう。

自分のことで考えてみてください。支出を減らせと言われると、あなたが個人的に好きでたくさんお金を使っているものを減らせと思いがちです。(そこに最悪のお金の失敗が隠れていることもありますが)

これは倹約するにあたって、完全に間違ったやり方です。このやり方では本当にみじめな気持ちになり、倹約に失敗します。人生で一番楽しんでいるものの支出を減らすのが倹約だと思っていたら、倹約は成功しません。

成功する倹約は、ほとんど気にもとめていないようなものの支出を削減し、節約したお金を使わずに貯めるか、経済的に上向くことに使いましょう。例えば、家の気密性を上げて冬季の電気代を節約するとか、プライベートブランドのハンドソープや洗剤を使うとか、スーパーに買い物に行く前に買い物リストをつくるとか、もっと安い保険のプランに見直しをするとか、毎日車通勤しなくていいように職場の近くに引越すというようなことです。

朝コーヒーを飲むのが大好きなら、コーヒーショップに立ち寄るのをやめてはいけません。お気に入りの趣味をやめてしまったり、友だちをの時間をなくして家に引きこもったりしてはいけません。そのような現実的ではない目標を立てると、変化を恐れることになります。実際にお金が貯まる倹約は、効率的にお金を節約することではありません。

どこのお金を節約するかを考える時は、このことを頭に入れておいてください。毎日の生活が楽しくなくなるようなやり方はしないように。それよりも、ほとんど努力せずに(意識せずに)節約できるようなものを探しましょう。その後ずっと支払いが減るような、光熱費のような大きな支出を考えてみましょう。そうすれば、効率よく倹約できる上に、長続きします。それに、生活をあまり変えていない(気がする)のに、長期的に見て節約になっているとわかると、実はかなり楽しいです。


外食の代わりに自炊をする


外食と自炊では金額がかなり違うので、多くの家庭で食費は大きな支出になります。週に数回外食をしていると、それを自炊に変えただけでも大違いです。

信じないかもしれませんが、金額がかなり違うにも関わらず、平均的なアメリカの家庭は、今や家での食事よりも外食の方が多いです。家で食事の準備をして食べるよりも、外食の方が便利で楽だという認識があるからです。

私の経験では、料理が楽しいという経験がないから、このような認識になっている人が多いのだと思います。ちゃんとした食事をつくるのは大変そうだと思われています。簡単な食事をつくるのでさえ、大変だと思われていることもあります。大変だと思ってしまうと、料理に関わる大変そうなことが増幅され、頭の中で料理の大変さが増幅されると、食費の違いよりも外食をした方が楽だと思ってしまうのでしょう。

このような認識を改めるには、実際に料理をしてみることです。家で自炊をしてみましょう。外食をする代わりに毎回自炊をすると(もしくはテイクアウトやデリバリーをすると)、お金が少し節約できます。しかし、それよりも大事なのは、料理が少し上手くなるということです。

目玉焼きをつくってコーヒーを淹れるのは、朝の一大事のように思えるかもしれませんが、そのうち出かける準備をしながらできるようになります。ビーフシチューをつくるのは相当大変そうだと思うかもしれませんが、前日に10分ほど材料を切っておいて、翌朝スロウクッカーに材料を入れてしまえば、仕事から帰ってきた時にはできているとわかるようになります。

徐々に、自炊で大変だと思っていたことのハードルが低くなっていきます。仕事の後で家に帰って、かなり面倒な食事をつくるのでさえ、嫌ではなくなっていきます。信じないかもしれませんが、レストランで食べるよりも、家に帰って簡単なパスタをつくる方が楽になるのです。

これまで毎日のようにやっていた外食の習慣を時々に変えると、豪華な食事を楽しむことにお金が使えるようになります。


食べ物を無駄にしない


多くの家庭でどれだけ食べ物が無駄になっているかを知ると愕然とします。お店で買った食材や食べ物を冷蔵庫や戸棚に入れて、そのままダメにして捨ててしまいます。食事の残り物を冷蔵庫に入れたまま、数日後にカビが生えているのを発見します。無駄でしかありません。

今回は新しい方法を提案します。毎日、朝一番に冷蔵庫の中を見て残り物があれば、その日は食事の準備はせずに残り物を食べます。これで1食分食費が浮き、食べ物を無駄に捨てることもありません。毎週、最初の日に、冷蔵庫や戸棚の中を見て、その食材を元に1週間の食事の計画を立てます。そうすれば、スーパーで無駄な買い物をする必要がありません。おやつを探しているなら、家の生鮮食材の置いてあるところを見てください。フルーツや新鮮な野菜はありませんか?

これだけで家庭の食べ物の無駄がかなり減ります。考えてもみてください、食べ物を捨てるというのは、お金を捨てているようなものです。その食べ物を買った食費を捨てているということです。そんなことはやめるようにしましょう。


好きでも惰性になっていることをやめる


人間は習慣の生き物です。何度もただ繰り返している日課や、毎週やっていることをやってしまうものです。大体は何も考えずにやっています。それが普通になっているからです。毎日、もしくは毎週のように使っているお金は、それが本当に必要なのか疑問に思った方がいいです。そのお金を払うだけの価値が本当にあるのでしょうか?

真面目に自問してみると、日課には本当に必要ではないものがたくさんあることに気付くでしょう。それは基本的に惰性です。職場のコーヒーを飲まず、毎朝スターバックスでコーヒーを買っていたり、趣味のために定期的にお店に立ち寄っていたりすることです。

そのようなことをもう何度も繰り返しているなら、惰性でするのはやめましょう。習慣になってしまっているのです。習慣や惰性になってしまっているものは、必要経費のようになっているだけでなく、それほど楽しくもありません。それを"普通"にしてしまうのはやめましょう。

倹約する一番の秘訣は、"普通"の日課にできるだけお金をかけないようにして、それをするのが本当に楽しみに思えるくらい間をあけることです。そうするともっと充実した人生になります。したがって、毎日スターバックスに行くのをやめて、週1回、もしくは数週間に1回にして、その代わり職場のコーヒーを飲むようにしましょう。

不思議なことに、スターバックスのコーヒーを1〜2週間に1回飲むようにすると、これまでつまらない習慣のようになっていたものが、またご褒美のような特別なコーヒーになります。日課や習慣を最小限に抑えることで、退屈な惰性だったものがご褒美になります。そうすると、支出はかなり少なくなるのに、楽しさや喜びは以前より増します。


事前に考え、計画してからお金を使う


これはシンプルです。お金を使いそうな時は、前もって少し考えて計画をするのです。

スーパーに行く時は、献立を考えたり、買い物リストをつくっていきます。そうすれば、スーパーに行ってもリストにしたがって買い物をするようになります。本屋に行く時は、できるだけ具体的に自分が探している本を決めてから行きます。そうすれば、本屋に行ってもぶらぶらと歩き回ることがありません。

前もって考えずにお金を使うような状況にならないようにしましょう。あらかじめ十分考えていれば、衝動買いをすることもありません。スーパーに行く道すがら頭の中で考えるのではなく、家で買い物リストを考え、紙に書き出してから行きましょう。

これは、好きなようにお金が使えないという意味ではありません。好きなようにお金を使いそうな場所に行く場合は、妥当な限度額を設定することで、経済的に破綻することがなくなるということです。

例えば、私は特にあてもなく友だちと出かけるような時は、事前に考えたその日に使っていい金額だけお財布に入れて持っていきます。衝動的に高額な買い物もできてしまうクレジットカードは持っていきません。あらかじめ考えて5,000円を持って行き、その範囲で収めるととても満足できます。人生のあらゆることを、きちんと自分で管理できていると思えるのです。


まとまった趣味の時間を設ける


かなり熱中している趣味があると、実際に使う以上に、その趣味に関する物を集めたくなることがよくあります。

例えば、本好きなら、実際に読んでいる本以上に、山のような"積ん読"があることが多いです。これは生活が忙しくなると落ちやすい罠です。大好きな趣味に没頭する時間が取れていないという感覚が生まれると、その感覚を打ち消そうと、趣味の時間の代わりに物を買ってしまうのです。

その対策として、実際に趣味を楽しめる、まとまった時間をスケジュールに入れてしまいましょう。他の予定を入れる前に、まず最初に趣味の時間を取り、その時間は何にも邪魔されないようにします。本がどうしても読みたいなら、本を読む時間をつくりましょう。ボードゲームが好きなら、ボードゲームで遊ぶ時間にしましょう。

そうすると、趣味に関する物が買いたくなっても、趣味の時間が設けてあるスケジュールを見て、実際に趣味を楽しめるとわかれば、物を集めようとは思わなくなります。

実際に趣味を楽しんでいると、物を集めたいという欲求が消えるのがわかります。例えば、いつか読みたいと思っている本のことを考える時間が、今週末はこの本を読むんだと考える時間になります。本を所有することすら二の次になり、図書館にもっと行きたいと思うようになります。図書館は本を集めるところではなく、実際に読むための場所だからです。


買い物する時は必ず自問する


ここからは、本当の意味で「倹約する」というのはどういう考え方なのかをまとめ、倹約の具体例をあげていきます。まずは、買い物する時は必ず自問しましょう。

これは、お金を使ってはいけないという意味ではありません。お金を使いそうな時に、この買い物には本当に意味があるのかをじっくりと自問するという意味です。買い物をした後も、もう一度これは本当に意味がある買い物だったのかを振り返りましょう。

経済的にしっかりとした判断ができる人は、これを買い物の度に常に実践しています。運転中も、病院に行っても、最近買った物や、買おうとしている物について、「本当に意味がある買い物か?」「他にもっと良い方法はないか?」「借りるだけでもいいのでは?」「PBの商品もあるのでは?」など、いつも考えを巡らせています。

そうしていると、膨大な支出を少しずつ削ぎ落とせていることに気付きます。必要のない支出を、必要のない物として考えられるようになっていきます。

同時に、自分にとって本当に大事なものは減らしていないことにも気付きます。買い物について考えを巡らす時間を取ると、買った物は自分の生活や人生に価値をもたらしており、買わなかった物はそうではなかった、ということが本当に明らかになります。そのように振り返ることが目的であり、本当に大事な物を買うために支出が減ります。


仕事はチャンスだと考える


仕事をつまらない日々の労働だと思っている人は多いです。生きるためにやらなければならず、嫌々やっていることだと。そういう人は、できるだけ働かないように、必要最低限の時間しか働かないようにします。

この考え方は間違っています。経済的な成功を続けたいのであれば、この考え方を完全に変えなければなりません。

仕事はチャンスだと考えましょう。働くために生きているのではなく、生きるために働いているのです。仕事の時間は自分への投資の時間で、人生でやりたいことをやっている時間です。投資した時間とエネルギーは、経済的な保証やあらゆる種類の能力として自分に返ってきます。

それだけでなく、もっと自由になれるチャンスでもあります。

職場に8時間いるとしたら、その時間は稼ぎを最大にできるように意識して時間を使ってください。難しい仕事をするのであれば、仕事で自分を鍛えられる状況にあると考えることもできます。無料で学ばせてもらうチャンスだと考えることもできます。立派な仕事の経歴を残し、履歴書に箔がつけられると考えることもできます。

給与という点で考えると、職場での評価は上がらないかもしれませんが、それでもいいのです。素晴らしい履歴書になる要素ができ、本当に良い履歴書になれば、いつでも仕事を探すことができます。空いた時間にフリーランスとして仕事を受けたり、スモールビジネスを始めたり、自営業として働くチャンスもあるかもしれません。

仕事を自分への投資の時間だと考えましょう。自分の人生の時間と引き換えにした対価だと考えるのは最悪です。自分の収入を伸ばし、より早く経済的に成功するチャンスだと考えましょう。


変化を新しい普通として受け入れる


ここまであげたような変化はどれも実現可能なように思えますが、ほとんどの人が今やっている習慣や日課とは違います。このような変化こそ、日常生活に対する違ったアプローチであり、行動を変えるということです。

変化の効果を実感するには、行動を永続的に変えなければなりません。そのことを思い出した時にやってみるということではないのです。違和感を感じたり、いつものことではないと思う行動が、自分にとって当たり前にならなければなりません。

その変化がいつもの行動だと思えない限り、変化が根付きません。永続的な変化にならない限り、求めているような経済的な結果は得られません。

アインシュタインも言っているように、同じことを繰り返しながら異なる結果を望むのはおかしなことです。何かを変えなければ、毎日も人生も同じ結果を生み続けます。変化を起こし、それを永続的な変化にして、自分の生活や人生の新しい当たり前にするしか、異なる結果を生む方法はありません。

一度に多くの変化に慣れる方がいい人は、必要な変化は一度にやってしまいましょう。少しずつ変えた方がいい人は、一度にひとつの変化に慣れて、落ち着いてから次にいった方がいいでしょう。

大事なのは、そのような変化が当たり前になり、昔のやり方に違和感を感じるまでは気を緩めないことです。朝起きてそれを日常だと感じていることに気付く頃には、目に見えた経済的な成功が流れこんできているはずです。


最後に


いわゆる典型的な"現代人の生活"から、経済的に豊かな生活になるのに必要な変化というのは、そんなに劇的な変化ではありません。何よりも、自分と自分の生活を省みることが必要です。何かを決断したり選んだりする時は、それが大きくても小さくても、自分にとって本当に必要なことかを自問し、考えましょう。

経済的に豊かになるための道のりは、みじめことから始まるのではありません。なぜそのお金を使うのかを自問することから始まります。自分にとって本当に大事なものは何かを見極めることから始まります。新しいことを試し、発見することから始まります。食事の支度のように、それをするのが楽で普通になるように、新しいスキルを身につけることから始まります。

そうすれば、生きるためだけの給料が長い時間をかけて少しずつ上がり、給与が上がると楽しいことを我慢しなくても、驚くほど早く借金を返済することができます。(しかも、楽しいことをする余裕も生まれます)極端な変化ではなく、多くの自問自答から、経済的に豊かな道が始まるのです。

心の準備はできましたか? では今すぐ始めましょう!


Achieving Financial Success Without Extreme Frugality or a Huge Income | The Simple Dollar

Trent Hamm(原文/訳:的野裕子)
Image by chimpyk via Getty.