マイケル・ベイも「トランス
フォーマー」のVRコンテンツを制作 (C)2016 Industrial Light & Magic,
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 2016年は「VR元年」と呼ばれるほど、バーチャルリアリティが革新を遂げた。日本ではゲーム業界やアダルト業界など親和性の高い分野ですでに大きな話題となっているが、ハリウッドにもVRの波は押し寄せているようだ。

 2017年夏の大作「トランスフォーマー 最後の騎士王」でメガホンをとる、ハリウッドの“破壊王”マイケル・ベイ監督は、IMAXとインダストリアル・ライト&マジック(ILM)と手を組み、自身初のVRコンテンツを制作。米Colliderなどによれば、同シリーズを題材にしたオリジナルストーリーで、全編は9分間の予定だが、VR体験ができるのはそのうちの3分ほどになるようだ。ベイ監督は「物が頭上に迫ってくるよう感じるから、観客はきっと避けようとするはずさ」と豪語しており、映画の常識を打ち破る体験を生み出せるのか注目が集まりそうだ。

 VRコンテンツの制作スタジオとして注目なのは、ルーカスフィルム×ILM×スカイウォーカー・サウンドが設立した「ILMxLAB」。人気SF「スター・ウォーズ」シリーズの世界観をモチーフに、VRシステム「HTC Vive」で楽しめる「トライアルズ・オン・タトゥイーン」や「ダース・ベイダー VR エクスペリエンス」をすでに発表している。あまたのスタートアップ企業が成長を遂げる中、実績あるスタジオから誕生したILMxLABがどのような取り組みをするかはひとつのポイントとなるだろう。

 映画のプロモーションの一環としてVRコンテンツが制作された例を見てみよう。「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」では、GoogleのVRヘッドセット「Daydream」専用のコンテンツをリリース。人気ゲームを実写映画化する「アサシン クリード」では16年12月21日の全米公開に先駆け、VRヘッドセット「Oculus Rift」と「Gear VR」、Facebookの360度動画で視聴できる無料のVRコンテンツを公開し、ニューヨークやロサンゼルスなど4都市のAMCシアターにはコンテンツを体験できる特設スポットを期間限定で開設した。

 ハリウッドのメジャースタジオではソニー・ピクチャーズと20世紀フォックスがVRに強い関心を示しており、ワーナー・ブラザースもゲーム部門からVRゲーム「バットマン:アーカム VR」をリリースするなど着実に新分野に進出している。ソニーは、リブート版「ゴーストバスターズ」の公開時に、ニューヨークのマダム・タッソー館でVR体験コーナー「Ghostbusters: Dimension」開催。これは、体験者がプロトンパックを担いでニューヨークの街中を練り歩き、マシュマロマン相手に銃を振り回す気分を味わえるというものだった。同スタジオはハリウッドのメジャースタジオで最初にVR専門家を迎え入れたほか、VRコンテンツの制作・配給のためにNOKIAとパートナーシップを提携した。

 一方のフォックスは、「アサシン クリード」の前にもリドリー・スコット監督の「オデッセイ」のタイアップで、スコット監督自ら監修を手がけた「The Martian VR Experience」をリリース。VR関連の新興企業への出資も行っており、役員のひとりは米バラエティに対し「VR界のクエンティン・タランティーノやデビッド・フィンチャーを発掘したい」と語っている。ちなみに、メキシコの鬼才アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督がVRの短編映画に挑んでいるほか、スティーブン・スピルバーグ監督はVR制作会社VRCのコンサルタントを務めるなど、有名監督もVRに関心を抱いている。

 また、カナダのIMAX社もVR市場のポテンシャルの高さに目をつけており、イギリス・マンチェスターにヨーロッパ初のVRセンターをオープンするほか、ヨーロッパ、アメリカ、中東、アジアでVR施設を開発中だ。英ScreenDailyによれば、VRセンターは約200平方メートルほどの室内空間に、インタラクティブシート、ヘッドセット、コントローラーがセットになった独立式のポッドが12個設置されるという。料金は1回10ドル(約1200円)前後を想定しているようだ。前述した「トランスフォーマー」のVRコンテンツをはじめ、「ジョン・ウィック チャプター・ツー(原題)」のVRゲームや、「ウォーキング・デッド」とのタイアップコンテンツがラインナップ予定だという。