駆動系に強いドイツの自動車部品メーカー・シェフラーは、2017年のモータースポーツシーズン開幕を前に、EV(電気自動車)レースのフォーミュラEを通じて量産車の技術開発を促進すると発表しました。

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シェフラーは2015年シーズンからABT Schaeffler Audi Sportチーム専属の技術パートナーとしてフォーミュラEに参戦していますが、フォーミュラEシリーズは、自動車の電動化が進む中で自動車メーカーやサプライヤーの注目を集めています。

フォーミュラEのルールは2015/2016シーズン以降、FIAの規制変更でパワートレインの自主開発がチームに認められるようになりました。

2017年シーズンを前にしてシェフラーは、フォーミュラEの駆動系を固定ギアから3段に進化させることを決断しました。

シェフラーでモータースポーツ特別プロジェクト部門責任者を務めるジーモン・オペル博士は、

「固定ギアでは、高トルクの比較的重量のあるモーターが必要になります。そのため、我々はギアを3段にしてモーターを軽量化することを決断しました。これによってドライバーはモーター回転速度をよりダイレクトな形で制御できるようになりました」

と、そのメリットを強調しています。

シェフラーのフォーミュラEでの技術開発は量産車へも活かされています。シェフラーはヨーロッパで開発が進む48Vハイブリッドモジュールの分野でローンチパッドと呼ばれる新技術を開発しています。

48Vハイブリッドモジュールのローンチパッドは、内燃エンジンとトランスミッションとの間に「P2」配列と呼ばれるレイアウトで配置されます。ローンチパッドの働きで、電力のみで自動車を発進させたり、市街地での走行に必要なスピードを電力だけで維持したり、制動エネルギーを取り込むことが可能になります。

シェフラーの高電圧駆動というコンセプトは、48Vハイブリッドシステムで電力のみによる走行距離を延ばすことにつながるものです。シェフラーのP2高電圧ハイブリッドモジュールは、幅広いトルクレンジを持つメリットを生かして、燃料消費の削減やCO?排出量削減をもたらします。これは2017年の生産開始を予定しているということです。

電動車向けの駆動部品として、電動アクスルの開発にもシェフラーは取り組んでいます。

この電動アクスルは、内燃エンジンによって駆動されない軸に、電動モーターの駆動力を供給する機能を持っています。このため、電動アクスルはハイブリッド車の全輪駆動を可能にすることが特徴ですが、内燃エンジンを持たない完全な電気駆動による自動車に適用することも可能です。

さらにシェフラーは電力のみによるホイールハブ駆動という技術も開発しています。これはシェフラーが「eWheel Drive」と呼んでいるもので、都市部の小型バスやタクシー向けに適したコンポーネントです。電動モーター、パワーエレクトロニクス、ブレーキ、冷却システムなど、必要なコンポーネントをすべてホイールリムに内蔵したことが特徴です。

「eWheel Drive」によって省スペース化を図り、未来のアイディアやコンセプトを実現するためのスペースを確保することができ、操縦しやすく、駐車が簡単で、環境にきわめて優しい、未来のモビリティに相応しいメリットも兼ね備えています。

シェフラーでeWheel Drive開発プログラムを担当するゼバスティアン・ヴィールゴス氏は「これまでにeWheel Driveのための予備的開発を進めてきましたが、現実のプロジェクトへの導入をスタートできるところにまで到達しました」とeWheel Drive開発進度を説明しています。

48Vハイブリッド車の登場が近づく2017年を迎えて、フォーミュラEを通じて電動車の駆動系に新しい技術を提供するシェフラーの動向に注目が集まっています。

(山内 博・画像:シェフラー)

フォーミュラEへの参戦を通じて量産車への技術開発を促進する独・シェフラー社(http://clicccar.com/2017/01/04/432276/)