日中関係が芳しくない時期が長く続いているが、集美大学の張若童さんは人と人との付き合いと同様に、国と国の関係も「心」が大事だと訴えている。写真は携帯電話。

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日中関係が芳しくない時期が長く続いているが、集美大学の張若童さんは人と人との付き合いと同様に、国と国の関係も「心」が大事だと訴えている。以下は、張さんの作文。

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日本の国花は?と聞かれたら、多くの中国人は迷わず「桜」と答えるであろう。正解は菊と桜であるが、日本といえば、桜の花びらが風の中でふわふわ舞い上がっている様子が頭に浮かぶのである。それに「桜」という歌も有名だ。

中学のとき、沖縄からやってきたコーラス隊が私の学校を訪れた。そのとき、私たちのコーラス隊はみんなで楽しめる歓迎会を作るために、「桜」の歌を日本語で練習しておいた。そして、本番のとき、私の学校のコーラスが日本語の「桜」を歌い、一方、相手コーラスは中国語でその歌を歌った。相手コーラスもきっと私たちがわかりやすいように、わざわざ中国語の「桜」を用意しておいたのだろう。正直に言えば、当時の私たちの日本語も、相手コーラスの中国語も、上手ではなかった。けれども、言葉では伝えられない心遣いがその歌に含まれていて、みんな感動せずにはいられなかった。

人と人との付き合いは、相手がお金持ちか貧乏な人かは問わず、性格も同じでなくていい。一番大事なのはお互いの心である。国と国の関係もそうであろう。今でも、中国人の中には日本のことを憎んでいる人がたくさんいる。それと同時に、日本人にも中国に対して偏った見解を持っている人は少なくない。もしみんなそういう気持ちをいつまでも抱えていたら、WINWIN関係を築くことはできないのではないか。

1年前に教えて下さった日本人の先生の話なのだが、その先生は、いつも首に携帯電話をぶら下げていた。ある日、先生がその携帯電話について話してくださった。それは、先生が前の学校で授業している頃に、学生が買ってあげた携帯だそうだ。先生が町の中をぶらぶらしているときに携帯を盗まれたのを知って、先生の教え子たちはみんなでお金を出し合って、新しい携帯を買ったという。そして、先生にあげた時、学生たちは「中国人を嫌いにならないでください」という言葉を添えて贈ったそうだ。その話を聞いて、とても感心した。世界中にはどこでも悪い人がいるかと思えば、いい人もいる。しかも、悪い人にもきっといいところもあるはずであろう。ほんの少数の悪いことを気にして忘れないのは、社会の発展にはよくないと思う。

日本と中国の間には確かにいろいろあったが、平和のために一生懸命走っている人もたくさんいる。みんなに過去を忘れてほしいのでなく、ただ、過去を顧みてばかりいるのはちょっと賢明ではないと思う。心を広くして、お互いのいいところにもっと気付けばいいのではないか。優しい心でお互いを理解し合おうとしたら、きっといろいろな素晴らしいことがあると思う。私たちもこれから、桜の花びらになって優しい春風に乗ろう。そうすると、日本人でも中国人でも、きっと今まで知らなかったお互いの姿が見えるのではないか。(編集/北田)

※本文は、第四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「私の知っている日本人」(段躍中編、日本僑報社、2008年)より、張若童さん(集美大学)の作品「春風に乗った桜」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。