渡航先の一番人気はシンガポール

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合法的に相続税を払わず子孫に資産を残そうと、富裕層は次々とタックスヘイブンへ渡り、慣れない生活に苦労しながらその時を待つ。一方で国税も切り札を懐に忍ばせ、時機をうかがう。(週刊ダイヤモンド2016年10月8日号特集「国税は見ている 税務署は知っている」より)

 相続人と被相続人が5年間海外に住めば、相続税は日本国内の資産にしか課税されない──。実はこのルールは、日本で築いた巨万の富を、合法的に相続税を払わず、そっくり子孫に残したい富裕層にとっては広く知られた税制の穴だった。

 実際にここ数年、富裕層たちはこの穴を擦り抜け、築いた富と共にわれ先にと海を渡った。そして相続税から逃れ、晴れて帰国できる日を夢見て、慣れない異国での生活を送っている。

 渡航先の一番人気はここでもシンガポール。相続税と贈与税がないだけでなく、生活インフラが整っているため、タックスヘイブンの中では格段に住みやすいからだ。そのシンガポールに親と子が5年以上住み続け、その上で贈与や相続を行えば、無税となるわけだ。

 だが、国税庁は5年間という期間を、10年間に延長する方向で最終調整していることが、本誌の取材で分かった。

 「すでに主税局に要望を出している。早ければ今年度の改正で議論され、いずれ決着するだろう」(国税庁幹部)

 富裕層たちが擦り抜けてきた穴を、国税庁は限りなく小さくしようと動きだしているのだ。

 現地に与える波紋は大きそうだ。

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