「メッセージ」の知的生命体は目的不明

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 「ブレードランナー」の続編「ブレードランナー 2049」(2017年11月公開)も手掛けるドゥニ・ビルヌーブ監督の最新作「メッセージ」が、17年5月に日本公開を迎える。人類と地球外生命体の接触というSF映画王道の設定を踏襲しつつも、本作で地球に飛来する知的生命体はかなり異色の存在。映画史に残るSF映画に登場した地球外生命体とは、一線を画す特徴を持っているのだ。

 「メッセージ」は、12隻の巨大な宇宙船が世界各地に飛来するという展開から物語が始まる。大都市を崩壊させる威力を持つ主砲を備え、機械的な外見が威圧的だった「インデペンデンス・デイ」(96)の地球侵略目的の宇宙船に対し、「メッセージ」に登場する宇宙船は黒々しく、巨大な石のように丸みを帯びたミステリアスなフォルム。武器らしい装備が見当たらないばかりか、じっと宙に浮いているだけという不可解な行動をとり続けるため、地球へ訪れた目的が一切不明なのだ。

 人類にとって地球外生命体との接触は、敵対するか、友好関係を築くかの選択を迫られる機会になる。人間の体内に幼体を産みつけ、強度の酸性の体液を吹きつける「エイリアン」(79)のクリーチャーとは仲違いどころか、生き残りをかけて壮絶な死闘に発展。地球の植物の調査とサンプル採取を目的に地球へ降り立った「E.T.」(82)の異星人はチャーミングな見た目と温厚な性格もあいまって、子どもたちと友情を築いていた。

 一方、「メッセージ」の知的生命体は、ユニークすぎるコンタクト方法で人類を惑わせる。墨絵のような丸を描き、幾何学模様のわずかな変化によってメッセージを送るため、真意が計り知れない。エイミー・アダムス扮する言語学者・ルイーズが意図を探っていくなかで、人類が地球外生命体に対してどのような選択をとるのかが見どころのひとつになっている。

 「第9地区」(09)はSF映画ながらも、アパルトヘイト政策(人種隔離政策)をモチーフにして予測不能のストーリー展開を見せた革新的な作品だった。「メッセージ」の原作となったのは人気作家テッド・チャンによる「あなたの人生の物語」。同作は優れたSF小説に贈られるネビュラ賞を受賞しているため、物語の質は折り紙付き。ビルヌーブ監督のオリジナリティあふれる映像美で描かれる本作は、鑑賞した人々が「深い感動的なラストが待ち受ける」と絶賛しているように、SF映画というベースに“心を打つドラマ”をプラスした新機軸の作品になっている。

 「メッセージ」は、17年5月からTOHOシネマズ新宿ほかで全国順次公開。