パナソニックは、1月1日より、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(以下、ベルリンフィル)と技術開発に関する協業を開始した。コンサートホールでの生演奏のプレミアムなライブ体験を、4K、HDR、ハイレゾなどの技術を駆使し、家庭や車室内などに再現することを目指すという。

 20世紀の終わり頃から今世紀にかけ、音楽というもののありようは大きく変わり続けている。レコードが趣味人の専有物となり、MDは忘れ去られ、CD産業もまた窮地に追いやられようとしている。人々は、インターネットを通じて音楽を買い、聴く。もはやこれが完全に当たり前となった。しかし、そんな中で、最後に残った聖域がまだ一つだけある。ライブだ。

 実際に演奏されているその場で、音楽を聴く。安くないチケット代を出す意味がある、プライスレスの体験世界だ。だが、この牙城もついに崩れ去る日が来るのかもしれない。何しろ、天下のベルリンフィルが率先してそれを崩そうとしているのだ。

 ベルリンフィルは1882年に創立された、世界を代表するオーケストラの一つである。その歴代の首席指揮者には、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤンなど、そうそうたる巨匠が名を連ねている。

 さて、パナソニックとベルリンフィルは、具体的に何をするのか。まず、演奏会場やスタジオに、最先端の撮影・録音機材を持ち込む。そして、その高品位なコンサート映像を、インターネット上の配信サービスを通じて全世界に提供する。

 以上はあくまで第一弾である。パナソニックはこの上、それらの録音・編集・再生の過程からフィードバックを得、コンサートホールの音の家庭での再現を実現するべく、技術的革新を求めていくという。

 いずれ遠からぬ未来、目を閉じさえすれば、自宅にいるのかコンサートホールにいるのかも分からなくなる、そんな体験が可能となる日が来るのかもしれない。