激変するフィンテック「3大テクノロジー」とロンドンの躍進

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フィンテックへの投資はこの6年間で急拡大し、2010年に18億ドルだった年間投資額は、アクセンチュアのデータによると2016年第1四半期だけで52億ドル(約6,000億円)に達した。その対象はスタートアップ企業へのシード投資から大手銀行のM&AやR&Dまで様々だ。

フィンテックは、これまで金融規制が比較的緩いソーシャルレンディングやP2P送金サービスなどの分野で目覚ましい発展を遂げてきた一方、規制の厳しい保険や資産マネジメント、コーポレート・ファイナンスなどでは未発達だったが、今後はこれらの領域でも大きな事業チャンスが見込める。また、フィンテックの育成に積極的な国や都市もあり、今後はこうした地域にフィンテック関連の企業や投資が集中することが予想される。

注目の3大テクノロジー

1. ロボアドバイザー

資産運用ロボが、投資家のリスク許容度に合ったローコストで分散されたポートフォリオに投資するサービス。アルゴリズムを用いた運用によりリターンを最大化し、節税も行ってくれる。従来のロボアドバイザーが定型のポートフォリオを販売していたのに対し、次世代のロボアドバイザーは投資家ごとにカスタマイズした投資戦略を提案する。例えば、「Swanest」は自己指図型投資家向けにオンライン投資サービスを提供している。同社は最近、シードラウンドで80万ドルを調達した。

2. スマートコントラクト

ブロックチェーン技術の活用により、契約内容の有効化から履行までを自動化する技術。スマートコントラクトは保険契約をはじめ、年金や資産管理、不動産関連の契約など様々な用途に利用できる。BNPパリバは、スタートアップのCommonAccordを支援してスマートコントラクトのプロトコル標準化に取り組んでいる。

3. カラードコイン

仮想通貨に新たな情報(カラー)を付加することで、目的に応じて異なるタイプの仮想通貨を作り出すほか、通貨以外にもあらゆる資産の取引きを可能にする技術。スタートアップのColuは、カラードコインの技術を用いて「Camden Pound」という独自の通貨を生み出したが、今後はこうした動きが活性化しそうだ。「カラードコインは、通貨の概念を根本から変えた」とColu 社CEOのAmos Meiriは述べている。

NYの地位を奪うロンドンの規制緩和

近年はフィンテック企業の誘致に積極的な国や都市が増えてきた。これまでは、テキサス州オースチンやカリフォルニア州パロアルト、ベルリン、香港などがフィンテック企業の一大集積地だったが、アクセンチュアによるとこれらの都市は規制の枠組みを変更することに苦労しているという。例えば、ベルリンでは金融サービス監督庁(BaFin)がフィンテックに対する規制を緩めるどころか、逆に強化している。

一方でフィンテックに柔軟な対応をしているのが、ニューヨークに次いで世界で2番目に大きいフィンテックのハブであるロンドンだ。金融行為監督機構(FCA)が推進する「Sandbox(砂場)」という取組みでは、革新的なソリューションに対しては現行法を即時適用しないとしている。また、フィンテック企業がFCAに自由に助言を求めることができたり、FCAがフィンテックの発展に合わせて現行法を修正することを認めているなど、ロンドンはフィンテックの発展を後押ししている。

スイス政府も、国を挙げてフィンテックを発展させる方針を明らかにしており、今後はチューリッヒやジュネーブがフィンテックの新たなハブとして台頭する可能性がある。ニューヨークが硬直的な金融規制の見直しを図らなければ、世界の金融センターとしての地位をロンドンに奪われかねない。また、このままではフィンテックの集積地はベルリンやパロアルトからチューリッヒやロンドン、シンガポールに移ってしまうだろう。

フィンテック分野では、これまで銀行が運用してきた何兆ドルもの資産をターゲットにした新たな金融サービスが次々と誕生することだろう。