井上氏の民泊ルーム。清潔感やお洒落な雰囲気も集客力を上げる重要な要素

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◆出せば儲かる時代は終焉

家賃収入:約20万円
保有物件:賃貸マンション計2室(新大阪に2室)

 自宅の一室や一般向け賃貸居室を宿泊場所として旅行者に貸し出す民泊ビジネス。井上貴之氏がこの民泊事業をスタートさせたのは昨年の8月、民泊ブーム到来間もない頃だった。

「民泊で稼いでいる知人の話を聞いて、これはいいぞと。とはいえまず物件探しに苦労しましたね。私は『民泊用として借りたい』と不動産会社に伝えて探していましたが、たいていの不動産会社や大家は転貸と聞いただけで門前払い。片っ端から電話をかけ、ようやく理解のある会社を見つけました」

 そんななかでも井上氏が物件の条件として堅持していたのが、「ターミナル駅」「駅から徒歩5分以内」「駅からの道順が簡単」「築古物件」「分譲マンションではなくワンオーナーの賃貸マンション」という5点。条件に合致する物件として、新大阪駅にほど近いマンションで家賃5万円の30平米ほどの部屋を2つ同時に契約した。

「近所のホームセンターでベッドなどの備品を揃え、早速airbnbで募集を開始。みるみる予約は埋まり、8月から年末までの運用率90%、12月には2部屋で56万円の利益が出ました。初期費用が80万円程度だったので、これはかなりの利回りだと思います」

 部屋の運営を民泊代行業者にすべて委託する人も多いというが、井上氏が業者に委託したのはゲストとのメールや電話でのやり取りと部屋の清掃のみ。不測の事態が起きた場合は井上氏みずからが対処に当たっているという。

「お湯が出ない、流しが詰まった、鍵が取り出せないなど、現地でトラブルが起きた際は駆けつけますが、数か月に一度あるかないかで苦労と呼べるほどではありません。業者にフル委託すれば売り上げの20%程度は差し引かれますが、今は良心的な業者に巡り会えたこともあって、フル委託の5分の1ほどの費用で済んでいます」

 こうして成功を収めたものの、今年に入り民泊ブームはさらに加熱し、参入者が急増。井上氏も競争の激化を肌でひしひしと感じているという。

「実は今年の3月に大阪・なんばから一駅の場所で3部屋目の運用を開始したんですが、結果は赤字続き。半年で撤退せざるを得ませんでした。『とりあえず人気のエリアに出せば儲かる』という時代は終わったと思っています」

 では、今後民泊をスタートさせるうえで重要な点とはなんなのだろうか?

「今後は、人気のエリアにただ出すだけでなく、そのエリアで需要がどれほどあるか、そしてちゃんとその場所で収益を上げられる仕組みが作れるかどうかをしっかり精査する必要があると思いますairbnbや他の民泊サイトで、狙っているエリアの部屋にどの程度予約が入っているかをまずチェック。仮に平均稼働率が60%だったならば、そこから10%差し引いた稼働率50%でも月に5万円利益を出せるかどうかを基準に計算していくんです」

 つまり、平均より稼働しなくとも家賃や維持費を差し引いて5万円は利益が出る。これが井上氏の考える新規開拓の基準だということだ。

「確かに以前よりは参入が難しくなっている業界ではありますが、新大阪の物件は今もなお2部屋で月平均20万円の利益を上げています。また、最近は人気の観光地だけでなく、『もっと日本の文化に触れたい』という外国人向けに地方で古民家の運用も検討中です。そうした意味でも、工夫次第でまだ稼げる余地はあると踏んでいます」

・駅徒歩5分、道順のわかりやすさはマスト
・みずから現地対応し経費を削減
・そこそこの客入りでも利益が出るか吟味

【井上たかゆき氏(仮名)】
大阪で某上場企業に勤める40代のサラリーマン。民泊事業以外にも投資用にワンルームを4部屋所有。http://t03imd.info/hikiyose/

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