Inc.:先日、ある画像が私のFacebookフィードをにぎわせていました。モーツァルトの写真に、「自分の先延ばし癖に困っているあなた、モーツァルトはドン・ジョバンニの序曲を初演の日の朝に書いたんですよ」という一文が添えらたものです。

これ、本当であれば愉快な話ですが、実際のところはどうなのでしょうか? クラシック音楽のニュースサイト「CMUSE」によると、実際のストーリーはもっと愉快なのだそう。

ある夜、友人と飲んでいたモーツァルトは、翌日がオペラの初演であるにもかかわらず、まだ序曲ができていないことを友人から言われて思い出します。


モーツァルトは深夜近くに自室に入ると、およそ3時間で序曲を書き終えました。その間、モーツァルトが寝てしまわないよう、妻のコンスタンツェが『アラジンと魔法のランプ』や『シンデレラ』などの物語を読み聞かせていました。


モーツァルトがプレッシャーに強いタイプだったことは間違いなさそうです。でも、彼は5歳で作曲を始めたほどの稀有な天才です。つまり、凡人である私たちは、最後の追い込みにかけるようなアプローチは避けるべきだと思うでしょう。でも、ある伝説の生産性の大家によると、凡人である私たちも、モーツァルトの例から学べることはあるようです。

先延ばししたほうがいいこと


生産性の古典とも言える『仕事を成し遂げる技術 ―ストレスなく生産性を発揮する方法』の著者デビッド・アレン氏は、最近のニュースレターにおいて、納期間近に仕事をすることのメリットを説明しています。たとえば、旅行前のパッキングについて。彼はタイムマネジメントの国際的権威としての地位を確立しているにもかかわらず、旅行前に鞄に物を入れるのは可能な限り遅くするそうです。

その理由は?


パッキングのための時間を長く確保すると、その時間をパッキングに使ってしまいます。いえ、実際はパッキングではなく、何を入れるかを考えることに時間をかけてしまうのです。カジュアルなセーターを持って行ったほうががいいのか? ドレスシューズは2足? 旅行中ジョギングをする時間はあるだろうか? あちらはどれぐらい寒いんだっけ? などなど、疑問が絶えることはありません。

そこで私は、パッキングの時間を2倍にする代わりに、絶対にやり直さないことを決めました。これで改善するのは3%程度かもしれません。でも、自分に2回もストレスをかけることには何の価値もありません。


先延ばししていい条件


先延ばししていいのは、ルーチン化しているタスクには当てはまります。では、クリエイティブなタスクの場合はどうでしょう。たとえば、オペラの序曲の作曲などです。それについては、アレン氏も明確にはわからないようです。同氏は、ギリギリまで延ばすことで時間の節約ができるし、仕事に集中できるものの、そのためには2つの条件を満たす必要があると述べています。

1つ目の条件は、タスクにかかる時間を正確に把握していること。つまり、ほとんどのアート系の仕事や、ひらめきが必要なプロジェクトは除外されます(モーツァルトレベルの天才なら話は別ですよ)。時には、ギリギリまで待つことによるプレッシャーが素晴らしいアイデアをもたらすこともあります。でも、あくまでもときどきです。あえてそのリスクを負おうと思いますか?

それに、膨大な数のクリエイティビティに関する研究において、ひらめきの瞬間はたいていテーマに対する深い追求から生まれるもので、つけ込む時間が必要であることがわかっています。納期直前に訪れる伝説の「そうか!」の瞬間を経験したことがある人は、それまでそのことをずっと考えていたからこそ、その瞬間が訪れたと考えてほぼ間違いないでしょう。

先延ばしを成功させる2つ目の条件は、先延ばしすることを意識的に自覚すること。さもないと、せっかくのメリットがストレスで相殺されてしまいます。

アレン氏は、このようにアドバイスしています。


自らの選択によって先延ばししていることを意識しましょう。さもないと、「いや、それはダメでしょう」と主張するもう1人の自分に、エネルギーを吸い取られてしまいますから。


Procrastinators Rejoice! Doing Some Things at the Last Minute Actually Has Big Advantages | Inc.

Jessica Stillman(訳:堀込泰三)
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