2016年は「クルマを持つ」ことについて考えさせられる年でした。

ご存じの通り、自動運転の到来を予感させるモデルが続々と登場しました。また、レンタカーやカーシェアリングの普及も進んでいます。5月には京都府京丹後市で、タクシーとは異なり、一般の運転手が有料で客を同乗させる配車サービス「Uber(ウーバー)」が事業を始めたことも話題となりました。

そして、2016年後半には高齢ドライバーの手による凄惨な事故が取り上げられ、免許制度の変更や運転免許の自主返納への関心が高まりました。

それらが話題に上がる度にワタクシは思いを馳せるのです。

「果たして、自分はあと何台のクルマに乗れるのか?」

つまり、クルマ好き生涯の最期を……

先述したように、いまでは必要な時と場合に応じたクルマを誰でも気軽に使える環境が整ってきています。しかも、それらはメンテナンスフリーなうえに、ガソリン代や駐車場の心配もいらない。おまけに「便利」と評判のクルマがずらり。

となると、所有するコストをあえて負うのなら、それらで味わえない個性が欲しいところです。

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そこで、「CCOTY(クリッカー・オブ・ザ・イヤー)」では、一切合財の面倒事を負っても構わないと思えるモデルを選びました。

[投票車種および点数]
10点:BMW M2
6点:ポルシェ 718ケイマン
3点:ボルボ XC90
1点:ルノー トゥインゴ

■BMW・M2:10点

実用性を度外視すると、やはりクルマは見て走って楽しむモノ。BMW M社の最新作「M2」は、前後重量バランスにもこだわったコンパクトなボディに500Nm(オーバーブースト時)を誇るエンジンを搭載した高性能モデルであり、いかにも乗り手を選びそう。しかし、AT限定免許でも乗れる7速DCTを設定し、6速MTも自動プリッピング付きと、初心者に優しいクルマです。

もちろん、走りだせば、ドライバーの意図に忠実な操作感は健在で、とくにステアリングフィールは路面に直接触れているかのよう。抑揚に富んだエキゾーストノートも含めて、何気なく街中を走っているだけでもクルマを操っている感覚が濃厚です。

なお、大人4人が不満なく乗れる空間のほか、機能と装備が標準で充実しているのも魅力。細かなことに頭を悩ませずに、誰でも駆け抜ける歓びを楽しめるように上手にまとめてきた点に好感を持ちました。

■ポルシェ・718ケイマン:6点

ポルシェといえばスポーツカーの名門ですが、その走り云々より前に「ケイマン」は見た目が美しい。滑らかな曲線を描くワイド&ローに構えたボディは存在感に溢れており、乗り降りする場面を想像するだけで笑みがこぼれてしまうほど。

そのルックスの内側には卓越した走りを楽しませるメカニズムが満載。スポーツカーにとって理想的なミッドシップレイアウトを採用するボディに搭載されるエンジンは、環境への配慮のために水平対向4気筒ターボへと小さくなりましたが、むしろ性能は全方位で向上。約20秒の間、最大スロットルレスポンスが得られるスポーツレスポンスによる仰け反るような加速は圧巻のひと言。

「カッコいいスポーツカーをつくる」という信念が触れるところすべてから漂っており、所有欲を掻き立てさせられます。

■VOLVO・XC90:3点

2016年もSUVは活況に満ち、既存モデルの改良だけでなく、新モデルの発表も相次ぎました。

見た目や走りの良さなど、訴える魅力は様々ですが、「XC90」はインテリアの仕立てがユニーク。ウッドやレザーなど素材だけでなく、車内に一歩踏み込んだ瞬間に他者と似ていない「XC90」だけの世界が広がっています。

また、7人乗りの大型SUVとして初となるプラグインハイブリッドの採用も見所。ボディの大きさを感じさせない滑らかで上品な乗り心地もインテリアの雰囲気を盛り上げます。

■ルノー・トゥインゴ:1点

ここまで紹介してきたクルマは、いずれも素晴らしい魅力を持っていますが、いささか現実的ではなかったかもしれません。しかし、「トゥインゴ」はその限りではありません。何と言っても価格は200万円を下回るのですから。

小さなボディは取り回しに優れ、またエンジンを車体後方に積んだことで空間を稼ぐことにも成功。0.9Lターボエンジンと6速DCTでもキビキビと走ります。

押さえるべきポイントは押さえた上で「トゥインゴ」は見た目が良い。艶やかなボディカラーだけでなく、樹脂製パーツやヘッドライトからテールライトへ繋がるホワイトのラインなどのアクセントが、ボディのメリハリを強調し、小さいながら存在感に溢れています。道具ではなく、パートナーとして愛着が湧きます。

かつて、クルマは持つこと自体が憧れだったと聞きます。徐々にマイカーは当たり前になり、いまでは「なくても困らない」という声が大きくなりつつあります。そんな中で、それでも「欲しい!!」と思わせるクルマが2017年も登場することを期待しています。

(今 総一郎)

【クリッカーオブザイヤー2016】あえて所有したいと思わせたクルマはコレだ!(http://clicccar.com/2017/01/02/431962/)