脳腫瘍の中でも特に悪性度が高い膠芽腫(こうがしゅ=グリオブラストーマ)の新しい治療法を名古屋市立大などの研究チームが開発、英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」(電子版)の2016年12月6日号に発表した。

膠芽腫は進行が極めて早く、手術で腫瘍を取り切るのが難しいうえ有効な治療薬がなかっただけに、新しい治療薬が期待されるという。

発症と同時にいきなり「ステージ4」の最悪がん

国立がん研究センターのウェブサイト「脳腫瘍について」によると、脳腫瘍の場合はほかのがんのように「ステージ1〜4」といったがんの状況を示さず、悪性度を「グレード1〜4」で表わす。膠芽腫は約150種類ある脳腫瘍の中で、悪性度が「グレード4」しかない「最も悪質な脳腫瘍」だ。普通のがんでいえば、いきなり「ステージ4」になるのと同じで、5年生存率は10.1%。しかも、脳腫瘍全体に占める割合が11.1%と2番目に多く、年間2〜3千人が発症している。

名古屋市立大学の2016年12月1日付発表資料によると、研究チームは、膠芽腫の患者の脳腫瘍からがん幹細胞を作り出した。がん幹細胞はがん細胞を次々と生み出す「がんの母」のような存在で、がんを完全に治療するためにはがん幹細胞を死滅させる必要がある。そして、リボ核酸(RNA)の1つである「TUG1」がないと、がん幹細胞が死ぬことを突き止めた。「TUG1」に結合して働かなくする薬剤を合成、患部にだけ届くよう大きさを調整し、膠芽腫のマウスに注射すると、腫瘍が劇的に小さくなり、健康なマウスとほとんど変わらない状態になった。

今回の結果について研究チームは「TUG1をターゲットにした治療薬が膠芽腫に有効である可能性を見出しました。人間に副作用がないか分析を進め、安全性を確認して実用化を目指したい」とコメントしている。