金正恩氏

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政権を継ぎ5年間で340人もの人々を粛清・処刑し、祖父と父親をもしのぐ「最凶の独裁者」になろうとしている金正恩党委員長。

そんな彼にももちろん、弱点はいくつもある。その中でも最大のものは、脆弱な財政基盤だろう。

「喜び組」を暴露

北朝鮮が慢性的な経済難の中にあるのは周知のとおりだが、さすがにひとつの国家ともなれば、相当な規模の資産を持っている。独裁者として、それを独占できるほどの権力を持っている正恩氏は、国際社会による制裁の前でも容易に屈服しない。

だが、そうした資産がどのように作られ、どこに隠されているかを知る幹部が、敵側に寝返ったらどうだろうか。

昨年6月、そのような人物が脱北したとの情報がある。しかも、日本円にして390億円もの巨額の資金を持ち逃げしたという。

韓国のメディアで第一報があったのは、同8月19日のこと。東亜日報所属で脱北者のチュ・ソンハ記者は、ヨーロッパに住む消息筋を引用し「朝鮮労働党39号室大聖(テソン)指導局ヨーロッパ支局総責任者のキム・ミョンチョルが、欧州のある国家で二人の息子と姿をくらませ、極秘に当局の保護を受けている」と報じたのだった。

事実であれば、正恩氏にとって相当なショックだったはずだ。彼の弱点はほかにも、パーティー狂いなどから来る健康不安説がある。

(参考記事:北朝鮮「秘密パーティーのコンパニオン」に動員される女学生たちの涙

また、正恩氏の実母が元在日朝鮮人であることから、一部で「金正恩はニセモノ説」が囁かれていることも、独裁を固める上での問題ではある。

しかし、これらはいずれも、本人の決断次第で解決できるものだ。それに比べ、独裁を支える「金庫番」の海外逃亡は、本人になかなか手が届かないという意味で厄介である。

父親の故金正日総書記は、韓国に亡命した妻の甥・李韓永(イ・ハニョン)氏を、ソウルにまで刺客を放ち暗殺したことがある。李氏が「喜び組」パーティーをはじめ、正日氏の恥部を暴露しまくったことに激怒したためだ。

では、正恩氏にも同じようなことができるのか。できるとしても、後の祭りだろう。件の金庫番は正恩氏に相当な恨みを抱いているとも言われ、最重要秘密の相当部分は、すでに関係各国に渡っている可能性がある。

仮に正恩氏が6回目の核実験を行えば、これが暴露される可能性もあるだろう。そうなれば、「喜び組」暴露をしのぐ大型スキャンダルとして取り沙汰されるはずだ。一見強気の独裁者も、実は深い悩みの中にいるのかもしれない。