材料を投入してボタンを押すだけで自動で温度調整&かきまぜ作業をやってくれ、放置しているだけで料理が完成してしまうのがシャープの水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」です。食材に含まれる水分を活用して調理するので旨みが凝縮された料理が作れるほか、無水メニュー以外にも発酵作業やお菓子作りも可能とのことなので、約3000円の超便利家電「スロークッカー」とどう違うのか?ということを確かめつつ、極上料理が完成するという真空調理器「Anova Precision Cooker」と同じこともできるのでは……?という実験も含めて、実際に使ってみました。

水なし自動調理鍋:シャープ

http://www.sharp.co.jp/hotcook/

◆本体外観レビュー

ヘルシオ ホットクックが到着。



箱を開けてみたところ、中に入っていたのはホットクック本体・まぜ技ユニット・電源コード・保存専用フタ・取扱説明書・メニューガイド・レシピ集。



まぜ技ユニットは、本体に設置して出番になると、こんな感じに変形して料理をかき混ぜてくれます。



さらに本体の中には蒸し板・蒸気口カバーが入っていました。



内鍋は取り外し可能。



内ぶたは以下のような感じで扉のように開き……



持ち上げるだけで簡単に取り外し可能です。



レシピ集を見てみたところ、かなり数が多め。メニューは「煮物(無水メニュー)」「煮物」「蒸し物」「野菜ゆで」「めんゆで」「発酵」「お菓子・パン他」にわかれており、その数はなんと100。この手の家電は、買ったはいいものの付属レシピの数が少なく、かつ独自のレシピでいくには実験が必要、となって持てあますこともありますが、ホットクックの場合はその心配は必要なさそうです。なお、レシピはここから見ることもできます



各レシピは写真付きで説明されており、調理時間やカロリーなども一目でわかります。レシピといっても、「本体に具材を入れる」「ボタンで設定する」の2つなので、2〜3行で説明されているものも多くありました。



これが本体。ヘルシオ ホットクックは2.4Lの大容量タイプと1.6Lのタイプがあり、今回は1.6Lのものを購入。



サイズは幅364×奥行280×高さ224mmで、重さは5.2kg。ちょうど家族用炊飯器くらいの大きさなので、「らくらく持ち運びできる」というものではないです。



フタの上にはタッチパネル。



ここから、ボタンを押して設定をしていきます。



側面。



裏面の右側にプラグの端子があります。



◆無水カレーを作ってみた

ということで、さっそくヘルシオ ホットクックを使っていきます。まずはチキンと野菜のカレー(無水カレー)に挑戦。



まぜ技ユニットは使用するメニューと使用しないメニューがあるのですが、無水カレーは混ぜ作業が必要なので、最初に内ぶたにまぜユニットを設置していおきます。



作り方は、まず、トマト・玉ネギ・セロリを刻み……



トマト・玉ネギ・セロリの順番で内なべに投入。



さらに、鶏手羽元を並べたら、すり下ろしたショウガとニンニクを載せます。



あとは4〜5皿ぶんの市販のルーを鍋にいれて、本体にセット。



フタをしてタッチパネルで操作していきます。調理法は、もともとレシピ集で指定されている「自動調理」と、自分で調理時間や温度を設定できる「手動調理」の2種類があります。今回は、全てホットクックにお任せしてご飯が完成する「自動調理」でいきます。まずは「メニュー/決定」を押して「自動」を選択。



選択ボタンを押して、レシピ集に記載されている番号を設定。画面には「まぜる」「無水」という表示も現れました。



あとはスタートボタンを押すだけ。画面には調理の残り時間が表示されます。無水カレーの場合は、調理時間は65分でした。



調理中のヘルシオ ホットクックは以下のような感じ。基本的には無音です。

「ヘルシオ ホットクック」調理中の様子 - YouTube

あとは待つだけ。通常のお鍋のように鍋の中の様子を確認したり、焦げ付かないようにかき混ぜたり、という必要がないので、キッチンを離れたり外出したりすることができるのは物理的にも精神的にも非常にラクです。



完成するとアラームがなるので、フタを開けてみたところ、水を加えていないにも関わらず、トロッとした完璧なカレーが仕上がっていました。



お皿に盛りつけてみました。



食べてみたところ、とろっと仕上がっているところはいつものカレーと同じ。しかし、驚くほどに野菜の旨みや甘みが凝縮されています。レシピに「カレーのルー4〜5皿分」とあったのを、4皿分だけ投入したので「少し薄くないかな?」と心配だったのですが、ルーではなく、具材から旨みが引き出されているので「味が薄い」と感じることは全くありません。雰囲気としては、スープストックトーキョーのような仕上がりで、いつものおうちカレーとは一線を画しています。



お肉の柔らかさは以下のムービーから確認できます。最初は骨にあたっていますが、お肉自体は柔らかいのでスルンと骨から剥がれます。

「ヘルシオ ホットクック」で作った無水カレーのお肉はこんな感じ - YouTube

2016年にはわずか3000円の超便利家電「スロークッカー」も使ってみたのですが、ヘルシオ ホットクックとスロークッカーの仕上がりは別物。スロークッカーで長時間加熱した鶏手羽元は肉身がズルンズルンになり、舌の上で繊維がほぐれるほどの驚異的な柔らかさなのですが、ヘルシオ ホットクックは加熱時間が1時間前後なので、肉らしい食感は残っています。一口食べた時の感動は正直なところスロークッカーの方が上だったのですが、スロークッカーの場合は5〜8時間前から仕込まなければならないので、夕方頃から準備しても余裕で間に合うヘルシオ ホットクックには別の便利さがあります。また、お肉の柔らかさも鍋&コンロで作るよりうまい具合にでき、ふわふわな食感に仕上がっていました。



◆ぶり大根も作ってみた

他のレシピでも使ってみます。続いては、ぶり大根。



これも基本的は食材をカットし……



ぶりは熱湯をかけて霜降りにしておきます。



内鍋に大根・ぶり・ショウガを順番に投入したら、今度はみりんを200ml投入。



砂糖・しょうゆ・酒などを加えたら、本体にセットし……



今度も「自動」で、レシピ通りに「1-10 煮物」で設定します。



ヘルシオ ホットクックは調理終了時間を指定できる予約機能もあるとのことで、使おうとしたところ、ぶり大根の自動メニューでは予約ができず。自動メニューは、全てが必ずしも予約できるとは限らないようです。



ぶり大根は約40分で完成……なのですが、完成後にフタを開けたところ、大根やぶりに白っぽい部分があり、「もしや味がしみてないのでは?」と不安がよぎります。



とりあえずお皿に盛りつけ。



ぶりの身の柔らかさは以下のムービーから確認できます。

「ヘルシオ ホットクック」で作ったぶり大根〜ぶり編〜 - YouTube

ぶり大根はぶりの身が固くなったりパサパサしがちですが、ヘルシオ ホットクックで煮たぶりは、驚くほどに身がふわふわ。調理時間が約40分ということもあり、中まで味がしみているわけではないのですが、味付けが濃い目なのかなんなのか、「味がうすい」とは感じません。みりんを200ml使っているためやや甘く仕上がっているものの、ほぼ放置で作った料理とは思えぬレベルの仕上がりです。



大根の柔らかさは以下のとおり。

「ヘルシオ ホットクック」で作ったぶり大根〜大根編〜 - YouTube

大根は場所によって固さに少しばらつきがありましたが、非常にやわらか。これも、中まで味がしみているわけではないのですが、外側の味の濃い部分と、内側の野菜本来の甘さが感じられ美味。「味がしみているわけではないのにおいしい」という少し不思議な仕上がりでした。



◆さらに「予約調理」に挑戦

ちなみに、予約調理を試してみよう、ということでメニュー集にあるポークビーンズも試してみました。



ポークビーンズの「自動調理 1-19」というメニューは予約が可能なので、予約ボタンの横のライトが緑色に点滅します。ボタンを押し……



仕上がり時間を指定してスタートを押せば調理は完了。



ぴったり16時にポークビーンズが仕上がりました。



これも、玉ネギの甘さがトマトの甘さと酸味と溶け合っており、豚バラも柔らかく仕上がっていて、とにかく野菜や肉の旨みを強く感じます。水煮の豆を使ったところ、豆もほくほくでした。



予約は調理は最大12時間までなので、「朝材料を入れて夜にできたて状態にする」ということも可能。生ものを使っていると食材が傷むのが心配になりますが、この点にも考慮がされており、予約後はいったん100度にまで火を通してから、設定時間ちょうどに完成してくれるよう調理してくれます。このあたりは3000円のスロークッカーにはできないことなので、かなり大きなポイント。

◆発酵調理でクリームチーズ作り

発酵メニューも試してみます。作っていくのはクリームチーズ。牛乳・ヨーグルト・生クリーム・レモンなどを用意します。



発酵調理を行う場合には、調理の前に使用する調理道具をヘルシオ ホットクックを使って煮沸消毒していきます。あまりにも大きかったり量が多かったりすると内鍋に入らないのですが、簡単な道具であれば別途お湯をわかす必要がなく煮沸消毒できるのは便利です。



煮沸消毒は「蒸し物」の設定で行えばOK。



煮沸ができたら牛乳やヨーグルト、生クリームを内鍋に入れてかきまぜ……



スタートボタンを押します。



途中で一度アラームがなるので、そのタイミングでレモン汁を投入。



加熱自体は35分で終了するので、終わったらガーゼやキッチンペーパーなどで内容物をこします。



こしただけでは、まだふわふわで水気も多く、クリームチーズとは違う物体です。この時点で味見してみたところ、味もチーズというよりはヨーグルトに近いものでした。



さらにガーゼの角をまとめてゴムで結び、重しをして冷蔵庫で5時間程度放置すると……



クリームチーズが完成。ヨーグルトっぽかった物体が、ホエーが抜けることでまろやかでクリーミーなチーズに仕上がっていました。ミルクの甘さが強く、キリともフィラデルフィアとも違う、手作りならではのフレッシュで優しい味わいに仕上がっていました。なお、発酵メニューではクリームチーズのほか、みぞや塩糀も作ることが可能です。



◆発酵調理を利用してステーキを真空調理してみた

さらに、発酵メニューでは温度が1度単位で設定可能ということで、これはGIGAZINEでもレビューした約2万円の真空調理器「Anova Precision Cooker」と同じことができるのでは……?と思ったので、低温調理でステーキを作ってみました。

今回はAnovaのレビューでも作ったヘレ肉のガーリック・ディジョンソースという料理を再現していきます。

ということで、前回Anovaでヘレステーキを作った時と同じ、ヘレ肉・ワイン・バター・ディジョンマスタード・コショウ・にんにくなどを用意。



ヘルシオ ホットクックは、内鍋にある水位MAXラインの下ぐらいまでのぬるま湯を入れておきます。



これまでと同様の方法で、「手動」を選んだ後に「5」の発酵メニューを選択すると、今度は温度の設定を求められました。温度は35度〜65度までの1度単位で設定可能で、今回はレシピ通り58度で設定しました。



レシピには「58度のお湯で30分加熱する」とありますが、ヘルシオ ホットクックは「ぬるま湯が58度になったのを検知してアラームで教えてもらう」ということができません。なので、とりあえず加熱時間を1時間に設定しておき、温度が58度に達したら具材を入れることに。



この間に、塩をまぶした肉を、バター・こしょう・にんにくと共にジップロックに入れて、軽くもんでおきます。



30度ぐらいのぬるま湯を使ったところ、だいたい30分くらいで57.5度になりました。



空気をしっかり抜きつつ、ジップロックを投入。



あとは設定をいったんリセットし、新たに「58度・1時間」で発酵調理します。なお、時間は1〜6時間までの1時間単位で設定する形なので、30分だけ加熱したい時は別途タイマーなどで時間を計る必要があります。



30分後、袋から肉を取り出すとこんな感じ。



表面は茶色くなっていますが、中は濃い目のピンクで、やや生っぽい感じです。



これを、熱したフライパンで、両面を強火で1分ずつ焼きます。



さらに、肉をお皿にあけた後にフライパンに残った肉汁と、チキンストック・赤ワイン・にんにく・ディジョンマスタード・バターなどでソースを作ったら……



完成。



切ってみたところ、断面はきれいなピンク色。



食べてみると、お肉は信じられないぐらいにフワフワ&ぷるぷる。通常のレア肉やミディアムレアのお肉だと、肉が繊維同士でくっついている感じがあるのですが、低温で加熱されたお肉は非常に柔らかく、しかし生っぽさはなく、「舌の上でとろける」と表現するに値する仕上がり。完璧にお店で出せるレベルになっています。ステーキを家庭で作ると失敗することがありますが、完璧に温度管理をしてくれるヘルシオ ホットクックを使えば、Anovaと同様に、失敗いらずでハイレベルなおもてなし料理を作れることがわかりました。Anovaのレシピにはこの他にも魚料理やデザートなどの作り方や設定温度が書かれているので、これを利用すれば料理の幅は大いに広がります。



完成したステーキの柔らかさは以下のムービーから確認可能です。

「ヘルシオ ホットクック」で真空調理したステーキ - YouTube

スロークッカーの愛用者なので、ヘルシオ ホットクックを使ってみる前は「スロークッカーで十分じゃないか?」と思っていたのですが、料理の仕上がりや作れる料理の幅はかなり違います。特に、3000円のスロークッカーだと生ものを使った予約調理ができないのですが、ヘルシオ ホットクックはそのあたりのことを見越している点は大きいと言えます。また、今回作った無水カレーは自動調理設定を使って短時間で加熱しているので肉身がややしっかりしていましたが、手動調理設定にすればスロークッカーを使った時と同じくとろとろに仕上げることもできそうなので、スロークッカーの上位版としても使えそうです。

そして、Anovaだと「低温・真空調理だけのために2万円は出せない……」となってしまいますが、ヘルシオ ホットクックは無水調理・自動調理機能に加えて発酵・低温調理ができる点が大きなポイントと言えます。難を言えば加熱時間の設定が1時間単位であること、設定温度に達した時のお知らせがないことですが、肝心の「1度単位で設定した温度で保ち続ける」ということはクリアしているので、このあたりは手動でできないこともありません。今後、機能として追加されればうれしいなといったところ。

そこまで凝った料理はしない、とにかく手抜きでおいしいご飯を作りたい、という人であればスロークッカーで十分なのですが、料理が趣味でお菓子やみそなどを家で作ったり、おもてなし用の凝った料理をしたりする人であれば、1台あるだけでかなりレパートリーの幅が広がる便利家電と言えそうです。

なお、Amazonでの価格は税込3万6787円となっています。

Amazon.co.jp: シャープ ヘルシオ ホットクック 水なし自動調理鍋 1.6L レッド KN-HT99A-R: ホーム&キッチン



また、以下のプレゼント企画からもヘルシオ ホットクックをゲット可能です。

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