急な発熱をしてしまったら、ついつい熱を下げようと解熱剤を飲むこともあるかと思います。

しかし、時と場合によってはむやみに熱を下げてはいけない時もあることをご存知ですか。

今回は風邪によって熱が出るメカニズム、そして解熱剤を飲んではいけないタイミング、飲んで良いタイミングを医師の坂元先生に解説していただきました。

なぜ風邪をひくと熱が出る?


風邪の原因となるウイルスや細菌が体内に侵入すると、私たちの体は「異物が侵入した」と認識します。するとマクロファージと言われる免疫に関わる細胞などが、その病原体を取り囲み、退治しようと戦います。

そして、サイトカインと呼ばれる物質が、血流にのって脳へ達し神経伝達物質の産生を促進することで、脳に「異物が侵入した」という情報が伝わります。

その情報を受け取った脳は、全身に体温を上昇するようシグナルを出し、以下のようなことが発生し、発熱します。

・熱を体内に保持する(汗腺を閉じる、血管を収縮させる等)
・熱を発生させる(ふるえ熱産生等)

解熱剤は熱に対してどのように作用する?


一般的なNSAIDs(非ステロイド系解熱鎮痛薬)と呼ばれる解熱剤は、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素を阻害することによって効果を発揮します。

シクロオキシゲナーゼ(COX)は、炎症や発熱、痛みなどにかかわる物質であるプロスタグランジンの合成に関わる酵素です。

むやみに解熱剤で熱を下げてはいけない理由


・解熱剤は根本的に感染症を治療するものではなく、あくまで対症療法の一つである
・発熱は私たちの体に侵入してきたウイルスや細菌を、熱の上昇によって退治しようとする免疫機構の一部である

上記2つの理由から、むやみに解熱剤を使って熱を下げようとすることは、せっかくのウイルスや細菌を殺そうとする免疫反応の妨げになる可能性があるので、慎重に行わなくてはなりません。

熱が出た際に解熱剤を飲む正しいタイミング


解熱剤を飲むタイミングとしては、例えば39℃台などの高熱があり、その熱による体力の消耗が激しい時などが良いと考えられます。

なお高熱の基準は個人差があります、平熱からの体温の上がり幅で考えると良いでしょう。

熱が出た際に解熱剤を飲んではいけない症状、タイミング


熱が出始め、上昇している


活発にウイルスや細菌と免疫に携わる細胞が戦っているときなので、可能であれば避けたほうが良いタイミングでしょう。

37℃台などの低い発熱


低い発熱の場合には解熱剤の使用は適応とは言えません。

なお、高熱の基準は個人差がありますので平熱からの上がり幅で考えましょう。

インフルエンザの疑いがある


むやみに解熱剤を使うことは、お薬の種類などによってはインフルエンザ脳症などのリスクを上げてしまうといわれています。

解熱剤以外で熱を下げる方法


解熱剤以外で熱を下げる有効な方法としては、まずクーリングとして以下が挙げられます。

・額に冷たいタオルをあてる
・氷枕を使用する
・両わきの下を冷やす
・鼠径部(そけいぶ)の太い血管の通っている箇所を冷やす

また、ぬるま湯に浸して絞ったタオルで全身を清拭してあげることも、さっぱりする上、気化熱で体の熱を取り去ってくれる効果が期待できます。

最後に坂元先生から一言


風邪の発熱は、とてもつらいものですが、人間の体に備わっている自然の免疫機構を生かすことを考えると、解熱剤をむやみに使うことは考えものです。

よくタイミングや適応を見計らって使用したいですね。

(監修:医師 坂元晴香)