日韓両国が15年末に慰安婦問題の決着で合意してから1年。日本政府が撤去を求めているソウルの日本大使館前の「少女像」はそのままだ。朴大統領弾劾で勢いに乗る野党は「日韓合意」の見直し要求、撤去は先送りされそうだ。

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2016年12月30日、日韓両国政府が従軍慰安婦問題を決着させた15年末の合意から1年。日本政府は元慰安婦の支援財団に10億円を拠出したが、ソウルの日本大使館前の慰安婦を象徴する「少女像」は残っている。それどころか、朴槿恵大統領を弾劾訴追に追い込んだ野党は「日韓合意」の見直しを要求。少女像撤去はますます遠のきそうだ。

日韓合意に関して、16年4月の総選挙で与党を過半数割れに追い込んだ野党陣営は見直しを公然と主張。一部メディアも後押ししている。

最大野党の「共に民主党」は選挙直後、「わが党の基本的な見解は、15年12月28日に韓日外相が合意した慰安婦合意内容を受け入れられないというものだ」と強調。再交渉を求める立場を改めて鮮明にした。第二野党の「国民党」共同代表も「合意を基本的に無効化させ、(慰安婦)被害者の権利のための実質的な合意が行われなければならない」と表明した。

こうした動きを受け、左派系のハンギョレ新聞は「少女像めぐる見解の差が示す慰安婦合意の破綻」との社説を掲載。「日本政府が少女像の撤去にこだわる主な理由は、慰安婦問題が再び取り上げられるのを防ぐことにある。しかし、日本が自国の責任を国際社会の前で明確に認めない限り、慰安婦問題は終わらない。総選挙で民心の所在が確認された今が、再交渉の適切な時期だ」と論じた。

その後、10月になって朴大統領の知人女性による国政介入疑惑が表面化。大統領が憲法裁判所に弾劾訴追されたことで、日韓合意の見直し論に拍車が掛かった。

「共に民主党」の秋美愛代表は国会で弾劾訴追案が可決された後、「歴史教科書の国定化、旧日本軍の慰安婦問題をめぐる韓日合意など朴政権の代表的な失政に対し即刻中止を求め、社会的合意手続きと国会での協議も要求する」と見直しに言及。「韓国のトランプ」と呼ばれ、次期大統領選の有力候補に急浮上しているソウル近郊・城南市の李在明市長は27日、ソウルの外信記者クラブで会見し、「全面的に再検討する必要がある」との見解を示した。

聯合ニュースによると、韓国外務省の報道官は27日の記者会見で、日韓合意1年に触れ、「合意当時に生存していた元慰安婦46人中、34人が財団の支援事業を受け入れる意向を示した」と指摘した上、「財団を中心に被害者の尊厳回復や傷の癒やしが早急に行われるよう、引き続き最善の努力を尽くす」と述べた。

15年12月の日韓両国外相の共同記者発表文書には、少女像に関する韓国の尹炳世外相の発言を明記。「韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する」としている。

しかし、当初予定の17年末から大幅に前倒しされることが確実な次期大統領選で、少女像の扱いを含む日韓合意が大きな争点になるのは避けられない情勢。選挙戦の帰すうによっては「ゴールポストが動く」事態も予想され、日本政府は警戒感を強めている。(編集/日向)