トランプ米次期大統領が新政権の中枢に名うての対中強硬派の学者を起用した。「一つの中国」政策の見直しにも踏み込んだトランプ氏の「中国バッシング」は、かなりの本気モードだ。

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2016年12月30日、新政権の中枢トップに名うての対中強硬派を起用―。通貨、関税、南シナ海問題で中国を“口撃”し、米国政府の「一つの中国」政策の見直しにも踏み込んだトランプ米次期大統領が新たな一手を繰り出した。トランプ氏の「中国バッシング」は、かなり本気モードのようだ。

ホワイトハウスに新設される国家通商会議(NTC)の統括役となる大統領補佐官・通商産業政策部長に指名されたのは、カリフォルニア大のピーター・ナバロ教授。大統領選中はトランプ氏の経済政策を助言してきた。

ナバロ氏は中国の経済政策を非難する主張を繰り返してきた対中強硬派として知られ、12月2日のトランプ氏と台湾の蔡英文総統との電話会談もナバロ氏が進言したともいわれる。中国の軍事力を前面に出した路線を批判する著作もある。

NTCは各国との経済交渉を担当する通商代表部(USTR)とは異なり、雇用対策を最重視するトランプ氏の直属機関として、貿易不均衡の解消を図り国内産業の活性化を目指す役割を担うとみられる。トランプ氏が発表した声明文では、NTCは安全保障面でも大統領に助言するとしており、ナバロ氏は次期政権の対中政策全般に強い影響力を持ちそうだ。

オバマ政権は12年11月、中国の台頭を意識してアジア太平洋を重視する「リオバランス」政策を打ち出した。その後、ロシアによるクリミア半島併合などでロシアとの関係が緊迫。中露両国と対峙(たいじ)する「二正面作戦」を余儀なくされた。

これに対し、トランプ氏はロシアのプーチン大統領に親近感を抱いており、新しい国務長官にプーチン大統領と親交がある米石油大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン会長兼最高経営責任者(CEO)を充てる意向。1月に正式発足するトランプ政権は当面のターゲットを中国に絞ったかにもみえる。

ナバロ氏の政権入りは予想されていたこととはいえ、欧米メディアではある種の驚きをもって迎えられている。

米CNNはナバロ氏が大統領選中、製造拠点の中国への移転を許してきた米国の背景要因に追ったドキュメンタリーフィルムも制作し、「米国を防衛し、家族を守ることに支援を。中国製品を買うな」とも呼び掛けていた、と紹介。「著名投資家のウィルバー・ロス次期商務長官と共に経済政策の詳細の作成を主導。両氏は『中国は世界で最大の貿易の詐欺師』ともこき下ろしていた」と伝えた。

英BBCはナバロ氏の著書に触れた上、「多くの経済学者は中国との貿易で攻撃的な措置を取れば、『貿易戦争』が始まる懸念があり、悪影響は双方に及ぶと指摘している」などと報じた。

ナバロ氏起用について、中国外交部の華春瑩報道官は「中国と米国は二大大国として広範囲にわたる共通利益を持っていることを強調したい。双方にとって連携こそが唯一の正しい選択だ」とコメント。「米国が中国とともに努力することを希望する」と述べ、通商を含めた両国関係の発展は世界の繁栄にとってもメリットになる、との考えを示すにとどめた。(編集/日向)