離婚後の里帰りがツラい。ご近所に「夫が出張で」とウソをつき通す親…

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「どうして田舎のお年寄りって体裁ばっかり気にするんでしょうね」と、うんざりした様子で話す加藤美咲さん(仮名・37歳・食品メーカー/独身)。加藤さんが里帰りでヒサンな目に遭ったのは、離婚してから初めての帰省となった一昨年のお正月のことだったそうです。

「離婚原因は相手の浮気。私に落ち度はないし、幸い子どももいなかったし、ウチの両親もすんなり納得してなんの問題もなく離婚は成立していました。だからお正月は実家でのんびりと疲れた心を癒すつもりだったんです。

 それなのに、いざ大晦日に帰ってみたらビックリ。近しい親戚にも仲のいいご近所さんにも、私の離婚のことをひた隠しにしていたんです」

◆嘘のつじつま合わせに必死な母

 離婚のことを隠している以上、加藤さんが単独で帰省しているのは極めて不自然。両親からはむやみに外を出歩くことを禁じられ、さらには口裏合わせを命じられたそうです。

「『夫が出張になってしまったので今年は一人で帰ってきたということにして』って……。なんでわざわざそんな嘘を? と思いましたけど、真顔で命じてくる様子に逆らえませんでした。で、元日になり年始の挨拶にやってきた親戚たちにその通り話したんですけど、親戚のおじちゃんおばちゃんっていろいろしつこく突っ込んでくるじゃないですか。『旦那さんどこに出張してるの?』とか『いつ帰ってくるの?』とか。

 そのたびに、会話に聞き耳を立てていた母がすっ飛んできて『大阪に行ってるのよね?』とか『明日にはもう戻るのよ』とか説明するんですよ。整合性をもたせないと嘘だとバレますからね。あまりに必死で、思わず吹き出しそうになっちゃいましたよ(笑)」

◆犬の散歩さえ親から禁止されて…『近所の人に会っちゃうから』

 仕方なく両親の言いなりになった加藤さんですが、嘘の面倒なところはひとつ嘘をつくとどんどん嘘を重ねなければいけないこと。つい真実や本音をポロリと言ってしまいそうになるので気を抜けず、ヘトヘトになってしまったとか。

「たとえば『いまどこに住んでるんだっけ?』とか『子どもは考えてないの?』とか、そういう質問に対してもいちいち“離婚していない前提”で答えなければいけないですからね。本当は離婚して隣の区のマンションに引っ越したし、子どもなんてできるはずもないけど、『ずっと●●区ですよ』とか『そろそろ欲しいですよね〜』とか答えたりして。

 お屠蘇(とそ)を飲んでいい気分になりたかったのに、瞬時に頭を働かせなくてはいけないので全然酔えませんでした。私はお酒が大好きだし、親戚ともけっこう仲がいいので、飲みながらワイワイと元夫のグチを聞いてもらうつもりだったんですけどね……。身を持て余し愛犬の散歩にでも行こうかと思ったら、『近所の人に会っちゃうから』とそれも禁じられ、まるで犯罪者にでもなったような気分でした」

◆「ちゃんと式まで挙げたのに恥ずかしいじゃない」

 当初の予定とはだいぶ違う展開になってしまった加藤さんのお正月。しかし、一番の衝撃はその後に待っていたそうです。

「『旦那さんが明日戻るなら美咲ちゃんは今日のうちに帰っちゃうの?』と何気なく聞いてきた伯父に、母がすかさず『そうなのよ、向こうのおうちにも挨拶に行かなきゃいけないしね!』と答えたんです。

 もう私、思わずフリーズしちゃいましたよ。だって、実家はいま住んでいる東京から新幹線で3時間以上かかるので、せっかく帰ったなら少しでも長居したいじゃないですか。それをたったの一泊で帰れって……。

 すでに3日のチケットも取ってあるのに……。『まだ帰らないから!』と突っ込みたかったですが、『明日帰るんじゃ遅くなっちゃうもんなぁ』『遠いからねぇ』と伯父と母は勝手に話を進めていて。伯父は近所に住んでいるので帰らなければ絶対にバレるし、帰らざるを得ない雰囲気になってしまいました」

 まったく楽しめなかったうえに、元日の夜に追い返されるハメになってしまった加藤さん。駅まで送ってくれた両親に憮然とした気持ちで「なんで離婚のこと隠すの?」と聞いたところ、「だって、せっかくいい相手見つけてちゃんと式まで挙げたのに恥ずかしいじゃない」と返ってきたとか。

「いまどき離婚なんて田舎でもフツーだし、何が恥ずかしいのか私にはさっぱりわかりませんが、とにかく『ウチの親は娘と過ごす時間より世間体のほうが大事』という事実にガッカリしてとっとと帰りました。もちろん去年も里帰りしてませんし、今年も東京で友人と過ごす予定です」

<TEXT/持丸千乃>