2016年の中国の出来事を振り返る「中国10大ニュース」。今回は高高度防衛ミサイル(THAAD)問題を取り上げる。資料写真。

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2016年に中国で起きた大きな出来事、話題となったニュースを10回にわたって振り返る。今回取り上げるのは、中韓の不協和音を生んだ高高度防衛ミサイル(THAAD)問題。

米韓は今年7月、北朝鮮の脅威に対抗するための措置として、在韓米軍への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を正式決定したと発表した。「わが国の安全保障戦略に直接的な影響を及ぼす」と配備に反発してきた中国は両国の駐中国大使を呼び出して抗議。近年、良好な関係が伝えられてきた中韓だが、国民の間でも反韓感情の高まりを招いた。

この状況に危機感を募らせたのが中国や中国人観光客の恩恵を受けてきた韓国の各業界だ。発表直後に免税店の関係者は「反韓感情が強まれば免税店、観光、流通業界は危機に直面する」と予測。「青島ビール」で知られる中国・青島市(山東省)が時機の悪さを理由に韓国のビールイベント参加を見送る事態も起き、さらに中国による「限韓令」もささやかれ始めた。

「限韓令」とは、THAAD配備に対する報復措置として中国当局が韓流コンテンツ締め出しを行うことを指す言葉だ。当初、中国の芸能界にはファンミーティングの延期など自主規制とみられる韓流排斥の動きがあったが、「9月1日に限韓令が正式施行され、締め出しが本格化する」との臆測が浮上。実際、中国では例年、年に3〜4本の韓国映画が劇場公開されているが、今年はゼロだった。これに関して韓国映画振興委員会はTHAAD問題に言及しており、韓国メディアは限韓令の「具体例」を頻繁に報じた。10月以降、韓流スターの中国での公演に許可が下りていないことが中国文化部の公式サイトで明らかになる中、韓国外交部は先月下旬、この問題について中国側に憂慮の意を伝えたことを明らかにしている。

一方、中国外交部の報道官はそれ以前の会見で「いわゆる限韓令というものを聞いたことはない」「わが国は中韓の人文交流に積極的な態度を取ってきた。ただ、両国の人文交流は民意に基づいて行うべきだ」と発言、その上でTHAAD配備に断固反対するとの姿勢を改めて示した。ただ、中国側はその後、韓国人気デュオの国内ライブを許可しており、限韓令が12月から緩和かとの見方も出ている。(編集/野谷)