今年も忙しかったあなたへ贈るオススメ映画7選[映画界のテスラが語る 第4回]

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社会人にとって映画を劇場で観るハードルは高い。今年は素晴らしい作品が多かったが、劇場に行く暇が無かった方も多いかもしれない。

そこで本記事は忙しい社会人にもオススメできる、近所で手軽にレンタルできる2015年〜2016年度の新作映画をネタバレなしでジャンル別に紹介する。

経済映画:『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
2016年度のアカデミー賞脚色賞受賞作であり、クリスチャン・ベールやブラッド・ピットと出演陣も豪華な経済映画。

住宅バブル崩壊を予想し巨額の利益を得た投資家たちの物語であり、題名の「ショート」は「空売り」という意味だ。サブプライム住宅ローン危機を題材にしたノン・フィクション小説が原作の映画であるが、複雑な経済単語や歴史的背景がしっかり説明されており、コメディー要素もある娯楽作品となっている。

いわゆる「経済映画」はあまり多くないが、過去には『ウォール・ストリート』(1987)や『ソーシャルネットワーク』(2010)などの良作があり、エンタメを楽しみつつ知識を増やすことができるジャンルだ。少々テンポが早く、ハリウッド的な演出は賛否が分かれるかもしれないが、経済に興味がある方やビジネスパーソンは見ておいて損はない作品だ。

ボクシング映画:『クリード チャンプを継ぐ男』
ボクシング映画と言えば『ロッキー』。本作はその7番目のシリーズであり、新章だ。監督は、公開時に若干29歳だったライアン・クーグラー。よくあるハリウッドの続編映画だと思い鑑賞すると、良い意味で期待を裏切られるだろう。

レストラン経営を余生で送っているロッキーの元に、死別した旧友であり最大のライバルであったアポロ・クリードの息子(アドニス)が現れる。アドニスは高い教育を受け、若いながらも投資銀行で高い評価を受けていたが、ボクシングのために仕事と家を離れロッキーに指導を請う。最初は断るロッキーだが、アドニスの偉大なる素質を感じトレーナーとなり、世界チャンピオンに挑む。

ボクシング好きでなくとも本作が描く若きアドニスの葛藤には共感でき、アドニスとロッキーの世代を超えた友情は必ず心に響くはず。練習シーンなどには『ロッキー』シリーズへの尊敬も感じられ、ファンは必見の一本。

音楽映画:『セッション』
2015年アカデミー賞にて3部門を受賞した、間違いなくオススメできる傑作。米国一の音楽学校に入学した青年の溢れるようなジャズの情熱と、狂気的な教師が衝突する物語。ラストの演奏シーンは圧巻であり、映画の歴史に残る演技が輝いている。

教師役のJ・K・シモンズは本作でアカデミー賞助演男優賞を受賞。主演のマイルズ・テラーは撮影で自らドラムを演奏しており、作中で流す出血も本人のものである。

本作は作家性の高いドラマ作品で、音楽をテーマにした映画としては『ブラック・スワン』(2010)や『ドラムライン』(2002)に通じるところがある。若干重い作風ではあるが、圧倒的な演出と演技力は映画ファンでなくとも惹きつけられるだろう。監督・脚本のデミアン・チャゼルは撮影当時28歳の無名監督であり、本作は映画業界の新しい時代の訪れを感じることができる。

犯罪映画:『ボーダーライン』
第68回カンヌ国際映画祭で上映された映画であり、メキシコの麻薬カルテルとアメリカの国防総省の戦いを描く、静かな描写が美しい犯罪映画。

複雑を極めるメキシコの麻薬カルテルと国防総省の策略は現実に存在しており、一度観るだけでは理解が難しい。しかしこの演出は主人公のFBI捜査官(ケイト)が作品の中で感じている心情であり、観客を主人公と同じような境遇におく演出である。メキシカとアメリカの国境(ボーダーライン)問題と麻薬問題における正義と悪の曖昧な境界線(ボダーライン)がテーマの本作は、物語を深く考えたい方に観ていただきたい。