トラブルは各地で続発している

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 モノ作りの屋台骨となるのは技術力。しかし、スマホの連続発火事故を起こしたサムスンに代表されるように、韓国の大手メーカーは優秀な技術や職人を町工場と協力して継承し発展させることがあまりなく、技術を軽視している。なぜ、韓国社会は自前の技術を持とうとしなくなったのか、在韓ジャーナリスト・藤原修平氏が考察する。

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 自前の技術を持とうとしない風潮は、サムスンだけでなく韓国製造業の隅々に浸透している。

 2012年5月18日に打ち上げられた人工衛星の「アリラン3号」は、光学技術でドイツなどから支援を受けたにもかかわらず、韓国メディアの多くが「純国産」と報道。

 しかも、当時の韓国はロケットを打ち上げる技術が不十分で、アリラン3号が打ち上げられたのは日本の種子島宇宙センター、打ち上げを担当したのは韓国で“戦犯企業”(*)とされる三菱重工だった。だがテレビ報道は、「韓国、宇宙時代を開けるか?」(聯合ニュース)や、「我が国の技術を世界に見せつける」(YTNニュース)と意気揚々だった。

(*2012年、韓国国会が「日本の植民地時代に朝鮮人を強制徴用した」として日本企業299社を“戦犯企業”と認定)

 韓国の技術開発は、国力を世界に誇示することを最優先する。その目的が達成できるのなら、日本だろうがどの国だろうが、「外国の技術を利用して当然」という発想がある。

 その上、利用した他国の技術を「自前」と言い切ってしまうから、韓国社会は「自国の技術は世界有数」という錯覚に陥ってしまう。技術者もまた、自分たちの力を内外に誇示できれば社会から賞賛と厚遇を受けるため、それに甘んじ開発意欲を失ってしまうのだ。

 このように、国力誇示の技術ばかりが重視される韓国では、安全に対する技術者の“怠慢”も目立つ。

 雨漏りやリコールが後を絶たない現代自動車、2004年の開業以来、すでに3度の脱線事故を起こしている高速鉄道KTX……。庶民の足も不安だらけだ。

 さらに、“世界で2番目に実用化”と謳われた仁川空港周辺を走るリニアは、2月の開業初日に走行中の列車が突然停止。その3週間後には電気ケーブルから火災が発生した。また、仁川地下鉄2号線は7月の開業初日に6回停止し、その後も運行遅延が相次いでいる。8月7日には脱線事故が発生し、これが「模擬訓練」として国土交通部に虚偽報告され問題化。安全より体裁重視の体質が露呈した。

●ふじわら・しゅうへい/1973年岩手県生まれ。韓国、中国東北部を中心に東アジア地域の取材を行う。2009年より韓国在住。

※SAPIO2016年12月号