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アイドル、ドラマ、バラエティー界の専門家が2016年を振り返りながら2017年を大予想!

■ こうなる!アイドル界「成熟期のライブアイドルからテレビで活躍する人材発掘」

2016年のアイドルシーンでは乃木坂46が初のミリオンを達成。欅坂46も女性アイドルユニットデビュー曲の初週売り上げ記録を更新し「NHK紅白歌合戦」(NHK総合ほか)の出場も決めた。ライブアイドルは一時の勢いは感じなくなったが、成熟期・安定期に入っている印象。その中でも地上波で冠番組を持つ意味は大。

一方、テレビで個別に印象に残ったのは美少女図鑑発、CMからドラマへ進出の岡山のキセキの桜井日奈子やてれび戦士を経てバラエティーで大活躍の岡田圭右の娘の岡田結実。番組的に目が離せないのは、芸人的アイドル・生ハムと焼うどんやゆるめるモ!のメンバーのあのちゃんなどがレギュラーの「ほぼほぼ―」(テレビ東京)、武田玲奈と大久保佳代子らがMCで8人のビキニ姿グラドルが乱舞する「佳代子の部屋―」(フジ)。そしてドラマ(TBSほか)から映画展開の「咲‐Saki‐」(2017年2月3日金公開)。主演の東宝シンデレラ出身の浜辺美波はじめ、私立恵比寿中学の廣田あいか、SUPER☆GiRLSの浅川梨奈など、魅力的なキャストを集めて画期的。こういう人材の発掘、活用がアイドル・テレビ界の活性化につながる。

●アイドル解説・北川昌弘(きたがわ・まさひろ 美女、美少女&ドラマウオッチャー。「月刊少年チャンピオン」美少女通信等で執筆)

■ こうなる!ドラマ界 (1)「ヒロイン優勢の流れが加速!高橋一生がブレークか!」

2016年の夏・秋は平日夜に放送されるドラマの大半が女優主演だったが、新垣結衣の「逃げるは恥だが―」(TBS系)、石原さとみの「地味にスゴイ!―」(日本テレビ系)の成功で、この流れが加速しそう。1月開始の注目は、吉高由里子の「東京タラレバ娘」(日本テレビ系)、松たか子と満島ひかりの「カルテット」(TBS系)。彼女たちの持ち前のキュートさに加え、「男性に癒やしを、女性に共感を与えられるか?」が鍵に。

好調が続く朝ドラ出身女優の抜てきも既定路線。土屋太鳳、波瑠、高畑充希、芳根京子ら主演に加え、吉岡里帆、相楽樹、土村芳ら助演もセカンドヒロインとして活躍しそう。大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK総合ほか)の柴咲コウが存在感を示せば女優有利のムードは最高潮へ。「魅力的なヒロインをイケメンたちがサポートする」という図式が増えるだろう。一方、男優は視聴者の目が肥えた影響で「人気より実力」の傾向が強くなり、若手には狭き門となった。その意味で注目はSMAP解散後、初の主演作となる木村拓哉の「A LIFE〜愛しき人〜」(TBS系)と草なぎ剛の「嘘の戦争」(フジ系)。共に強力な出演者とスタッフで期待値は高い。大ブレーク候補は高橋一生。もともと演技力には定評があったが、1月から2作でヒロインを支える役を担うだけに、星野源に続くか。

2016年は、仕事、恋愛、学園、料理など多彩なジャンルの作品がそろい、刑事と医療に偏っていた時代は完全に終わった。とりわけ一年を通して好調だったのは恋愛モノ。「ダメな私に恋してください」「逃げるは恥だが―」(共にTBS系)、「世界一難しい恋」(日本テレビ系)は、常に視聴率以上の話題を集め、ネットでの反響も大きかった。同様に「ナオミとカナコ」「僕のヤバイ妻」(共にフジ系)、「砂の塔―」(TBS系)の好評を受けて、本格ミステリーやサスペンスも再評価されそう。一話完結でサクッと見られるものより、「少しずつ恋が進む」「徐々に謎が明らかになる」連ドラらしい展開が、視聴者の心をつかむのではないか。主人公のキャラは、ここ数年「変人」が続いたため、その反動で 2017年は「普通の人」が増えるかも。普通の主人公が頑張る姿を応援し、ピンチにハラハラ。ラストで成功を勝ち取り、感動を味わう。そんな紆余曲折を経てのハッピーエンドが予想される。

ドラマ全体の成否を左右するのは脚本家か。視聴者の間で「やはり脚本が一番大事」という声が高まる中、2016年は「重版出来!」(TBS系)などの良作を連発した野木亜紀子、「砂の塔―」の池田奈津子ら新進の女性脚本家が台頭した。「平均年齢50代半ば」と言われた高齢化から脱する兆しが見え、新旧競争が見られそう。

一方、演出面で忘れてはいけないのは、小ネタブーム。「99・9―」、「IQ246―」(共にTBS系)を筆頭に、ネットでの拡散を狙って小ネタをちりばめる演出が定着し、視聴者の反応も悪くない。監督たちは細部にこだわって作り込むだろう。新年早々「バイプレイヤーズ―」「山田孝之のカンヌ映画祭」という異色作を送り込むテレビ東京にも注目したい。

●ドラマ解説・木村隆志(きむら・たかし ドラマ解説者。全てのドラマを視聴し、月20本超のコラムを執筆。批評番組に出演するほか、各局への情報提供も)

■ こうなる!バラエティー界 (1)「ツッコミ過多の時代に起こった異変」

2016年のバラエティー界は何と言ってもバナナマンの年だった。全曜日のレギュラー番組を持ち、文字通り「テレビで見ない日はない」活躍ぶりで、文句なしのMVPだろう。彼らが表のMVPなら裏MVPはくりぃむしちゅー。特に有田哲平は純粋なお笑い番組が成立しにくい時代に、コンビでの「くりぃむナンチャラ」(テレビ朝日)に加え、「全力!脱力タイムズ」(フジ系)や「有田ジェネレーション」(TBSほか)で悪ふざけの限りを尽くし、新人の発掘や芸人の側面を引き出していた。

そんな中、若い女性を中心に、ある異変が起きた。それは出川哲朗やトレンディエンジェル・斎藤司、といった、見た目が「気持ち悪い」などとネガティブな評価を受けやすい芸人が、そのポジティブな言動や芸風を支持され人気になったこと。過去の歴史を見ても、彼らのような芸人が、これだけまとまって人気になったことは記憶にない。また、永野やハリウッドザコシショウといったカルトな芸風の芸人がブレークしているのも2016年の特徴だが、2016年の顔でもある、メイプル超合金のカズレーザーがカルトさとポジティブさを併せ持っているのが象徴的。カズレーザーのような多様性を肯定する言動が受けているのは、ツッコミ過多で窮屈な時代の反動と言えるかもしれない。

バラエティー番組でも「万年B組ヒムケン先生」(TBSほか)や「人生のパイセンTV」(フジ系)など、これまでツッコんで嘲笑する対象だったおかしな人たちを肯定するような番組が目立ってきた。こうした多様性を認めるような番組が2017年は増えていくのではないか。

2016年は古舘伊知郎が12年務めた「報道ステーション」(テレビ朝日系)のキャスターを退任。バラエティー番組に復帰し大きな話題を呼んだが、こうした新しい風を2017年に吹かせてくれそうなのは、芸人では「M‐1グランプリ」(テレビ朝日系)で鮮烈な印象を与えたカミナリや、既にブレークの兆しがあるANZEN漫才のみやぞん、Aマッソやオダウエダなど新しいタイプの女性芸人にも注目。また、「フリースタイルダンジョン」(テレビ朝日)などで活躍するヒップホップ界の人たちがバラエティー番組に進出してくれば、テレビ界の硬直したように見える風景が変わるかもしれない。

これまで、特にゴールデンタイムの番組は「みんな」に分かりやすい方向に洗練されていたが、「あいつ今何してる?」(テレビ朝日系)や「家、ついて行ってイイですか?」(テレビ東京系)などのように「個人的」なものに焦点を当てた番組が増えてきたように思える。「みんな」に届かせようとするよりも、「個人」に絞る方が逆に深く刺さり、当事者意識を抱かせることができることをこれらの番組は証明している。2016年、映画界では聖地巡礼、応援上映、SNS投稿など、当事者として観客を巻き込み「参加」させてくれる作品がヒット。バラエティー界もいかに視聴者に参加意識を持ってもらうかが2017年のトレンドになっていくことが予想される。

●バラエティー解説・てれびのスキマ(てれびのすきま バラエティー番組などを得意とするテレビライター。著書に「タモリ学」「コントに捧げた内村光良の怒り」 など)

発売中の週刊ザテレビジョン2号では、このコラムのほか、年始のとくばん情報も掲載している。