3大会連続でオリンピック代表チームのコーチ、監督を務めた山本昌邦氏【写真:編集部】

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「“スタメンとサブ”」あっても「“レギュラーとサブ”」の考えは禁物

「サッカーの勝敗の行方はチームの団結力が物をいう。チームには“スタメンとサブ”はあっても“レギュラーとサブ”という考え方はあってはいけない。そして、選手、スタッフの一人一人がチームのことを考え、自分の役割を全う出来るか否かが、勝敗のカギを握る」

 これまで1996年から3大会連続でオリンピック代表チームのコーチ、監督を務めたほか、ユース代表やジュビロ磐田の監督も歴任した山本昌邦氏が高校生に向けて「勝つためのチーム論」を講じた。

 今月14日、大塚製薬の「ポカリスエット エールと、ともに。ブカツ応援キャラバン」の一環で、鳥取県の私立米子北高等学校を訪問。第95回全国高校サッカー選手権出場を決めたサッカー部員に向けた特別講演でのことだった。

「スタメンはサブがいるから力を出せるという気持ちで臨み、サブの選手はチームの勝利のために自分は何が出来るのかを考えられるようでなくてはいけない。勿論、スタッフも選手と同様です。例えば、ユニフォームが破けた選手がピッチの外で着替えるのに3分間かかったら、その間に失点することもありえる。しかし、常にマネージャーがユニフォームの変えをベンチに用意しておけばそのリスクを回避できる。そうやって、一人一人が役割を全うすることで一体感が生まれ、大きな目標をやり遂げるチームになれるのです」

チーム力を上げる指導者のマネジメントとは…

 また、ゲームの内容においても個々の役わりの重要性について触れ「いいサッカーをすることより、相手のよさを消しつつ、各自のいいところを出すサッカーをすれば勝てる」とアドバイス。2010年南アフリカワールドカップで、日本が1-0で勝利したカメルーン戦を例に出し、「長友(佑都)とエトーの対決が良い例。長友が自分の力を最大限発揮し、相手のエースをつぶす、という役割を全うしたことで勝利を掴んだ」と振り返った。

 講演後のインタビューでは、チーム力を上げる指導者のマネジメントについても言及。

「選手が力を出し切って負けるのは仕方ないが、能力を出しきれずに敗れるのはもったいない。試合前に選手たちのストレスとプレッシャーをどうやってとり除き、前向きな意識に持っていけるか。そして、試合で持っている力を出し切れるように導いていけるかを引き出すのも監督の手腕です」

 スター選手やスタメンばかりが注目されることは往々にしてあり、ともするとチーム内に精神的なひずみが生まれる。だからこそ、“与えられた役目”ではなく、選手自らがチームでの役割を見つけ、試合に臨むことが重要であり、チームの一員である自覚や戦うモチベーションを促すことが勝利につながるのだろう。

長島恭子●文 text by Kyoko Nagashima
編集・ライター。サッカー専門誌、フリーランスを経て編集ユニット、Lush!を設立。インタビュー、健康・ダイエット・トレーニング・ヨガを軸に雑誌、WEBでの執筆や、ムック、単行本を企画・制作。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)など。