金正恩氏

写真拡大

北朝鮮の高速道路で強盗が頻発していることを受けて、金正恩党委員長が直々に対策案を立てたことが明らかになった。

韓国の北朝鮮向けラジオ局・自由北韓放送は、「敬愛する金正恩同志の2016年9月9日指示 重要道路で強盗行為が起きていると提起された〇〇資料と対策案」という朝鮮労働党の内部文書の写真を、北朝鮮の新義州(シニジュ)市にいる通信員(内部協力者)を通じて入手したとして、公開した。

売春も取り締まり

通信員によると、この文書は労働党組織部が、社会秩序違反と犯罪行為に対して金正恩氏に9月9日に報告を行い、その後続措置として出した対策案で、12月初めから各地方の党組織に伝達されている。

「最近、高速道路と観光道路をはじめとする重要道路で、強盗行為が頻発している」という一説で始まるこの文書には、たとえば次のような犯罪が記録されている。

昨年12月、未詳の犯罪者たちが◯◯◯市◯◯里18人民班地域を通る、◯◯ー◯◯高速道路に、トウモロコシを入れた麻袋を持って身を潜め、通りかかった乗用車を停めた。麻袋の中の覗き込んだ◯◯局長と運転手を棍棒で殴り倒し、携帯電話と300ドル(約3万5000円)、10万北朝鮮ウォン(約1200円)を強奪した。

これ以外にも、1月に観光道路で女性労働者が携帯電話を強奪された事例、4月に観光道路でトラックを停めて修理していた運転手が襲われ、470万北朝鮮ウォン(約5万6400円)と携帯電話を盗まれた事例など、昨年11月から今年6月までに起きた犯罪が列挙されている。

これに続き、文書は、金正恩氏によると見られる次のような方針を伝えている。

「このような行為を放置すれば、人民の生命、財産に害を与えるのはもちろん、国の対外的イメージまで見出しかねないため、萌芽の段階で潰さなければならない」としている。

北朝鮮の高速道路では、以前から強盗が頻発しているが、当局は対策を取ろうとせず、挙句の果てには「強盗など轢き殺してしまえ」というトンデモ指示を出して、市民を呆れされたことがある。

今回明らかになった金正恩氏の指示は、犯罪の多発を放置すると体制を揺るがしかねないとの認識に基づいたものと思われる。

金正恩氏が、犯罪と関連して指示を下したのは今回が初めてではない。今年10月には、水害被災地で盗みを働く朝鮮人民軍兵士への対応を巡り、「復旧建設中に人民の財産に手を出す現象が発生すれば、その場で銃殺してもいい」と指示。ほかにも、薬物犯罪や売買春を厳しく取り締まるよう命じていると伝えられている。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

しかし、北朝鮮における犯罪の多くは、現実とはかけ離れて極めて低い国営企業や機関の給与水準、それを穴埋めするために横行するありとあらゆる不正行為にある。こうした国全体の問題が解決しない限り、いくら強権で押さえつけても、犯罪が根本的に減ることはないだろう。