〇〇素数

 素数は度々本連載で取り上げてきました。「神秘の数、素数の世界」「数なのに法律違反、「違法な素数」とは?」「素数の世界も多士済々、あなたの名前も?」「おおむね素数 概素数」「ゴールドバッハ予想」。

 実に様々なネーミングがつけられた素数があります。用語の多さは2000年以上にわたり私たちが素数を探究してきたことを物語ります。

 これですべてではありません。まだまだ様々な素数が考えられています。今回紹介するのは「回文素数」「レピュニット素数」「数素」の3つです。

回文数

 「しんぶんし」のようにさかさに読んでも同じ文になる文を回分といいますが、12321のように逆さから読んでも同じ数になる数を回文数といいます。

 1桁の数から回文数を調べてみましょう。1桁の数0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10個はすべて回文数になるのは当たり前です。

 2桁の数は11、22、33、44、55、66、77、88、99の9個です。

 3桁の数は101、111、121、131、141、151、161、171、181、191、202、212、222、232、242、252、262、272、282、292、…、909、919、929、939、949、959、969、979、989、999です。100の位から900の位までそれぞれ10個ずつあるので90個です。

 4桁の数は1001、1111、1221、1331、1441、1551、1661、1771、1881、1991というように1000から2000までの中に10個あります。3桁の数の場合と同じです。よって、9999までの中に10×9=90個あることになります。

回文素数

 回文数の中で素数であるものを回文素数と呼びます。回文数の中から回文素数を探してみましょう。1桁の回文素数は2、3、5、7です。2桁の回文素数は11だけです。3桁の回文素数は101、131、151、181、191、313、353、373、727、757、787、797、919、929の14個です。

 このような回文素数には次の基本的性質があります。偶数個の数字からなる回文素数は2個の数字からなる11が唯一である。

 それは、偶数個の数字からなる回文数はすべて11で割り切れるからです。2個の数字からなる回文数11、22、33、44、55、66、77、88、99は11で割り切れますし、4個の数字からなる回文数1001、1111、1221、1331、1441、1551、1661、1771、1881、1991、…も確かにすべて11で割り切れます。

11の倍数判定法

 せっかくなので11の倍数判定について述べておきましょう。「一の位から1桁おきに取った数の和と十の位から1桁おきに取った数の和について、それら2つの和の差が11の倍数ならば、元の数も11の倍数である」

 例えば、2717であれば、一の位から1桁おきに取った数の和=7+7=14、十の位から一桁おきに取った数の和=1+2=3なのでその差14-3=11は11の倍数。したがって、2717は11の倍数と分かります。

 11の倍数判定法を4桁以上の回文数に適用してみます。例えば、1991であれば、一の位から1桁おきに取った数の和=1+9=10、十の位から一桁おきに取った数の和=9+1=10なのでその差10-10=0は11の倍数。したがって、1991は11の倍数です。

 6個の数字からなる回文数123321ならば、一の位から1桁おきに取った数の和=1+3+2=6、十の位から1桁おきに取った数の和=2+3+1=6なのでその差6-6=0は11の倍数。したがって、123321は11の倍数です。

 これから分かるように偶数個の数字からなる回文数については、(一の位から1桁おきに取った数の和)=(十の位から1桁おきに取った数の和)であることから、(一の位から1桁おきに取った数の和)と(十の位から1桁おきに取った数の和)の差=0(11の倍数)となり、偶数個の数字からなる回文数は11の倍数であることが分かります。

 「11以外の回文素数はすべて奇数個からなる」ということです。ここに面白い回文素数を紹介しましょう。ホネカーによって発見された回文素数のピラミッドです。

2
30203
133020331
1713302033171
12171330203317121
151217133020331712151
1815121713302033171215181
16181512171330203317121518161
331618151217133020331712151816133
9333161815121713302033171215181613339
11933316181512171330203317121518161333911
回文素数ピラミッド

 見れば見るほど実にうまくできたピラミッドです。

レピュニット素数

 回文素数ピラミッドから連想されるのがレピュニット(単位反復数)です。レピュニット(repunit)という用語は、repeated(反復)とunit(単位すなわち1)という2つから作られました。

 すべての数字が1であるような正の整数がレピュニットで、1964年に数学者ベイラーによって命名された比較的新しいものです。

 レピュニットの2乗を計算した結果は1、121、12321、1234321のように回文数になります。

 回文数と同じようにレピュニットの中から素数である数「レピュニット素数」が見つかります。

1×1=1
11×11=121
111×111=12321
1111×1111=1234321
11111×11111=123454321
111111×111111=12345654321
1111111×1111111=1234567654321
11111111×11111111=123456787654321
111111111×111111111=12345678987654321
レピュニット2乗ピラミッド

 11は最小のレピュニット素数であることは明らかですが、それよりも大きなレピュニット素数を探し出すことは容易ではありません。

1111111111111111111(1が19個)
11111111111111111111111(1が23個)

 はレピュニット素数です。

 さらに大きなレピュニット素数は1が317個、1031個と続きます。ここまでが素数であることが確かめられているレピュニット素数です。

 これ以上桁数が大きな数になるとその数の素数であることの判定が難しくなるので、おそらく素数であろうとされる素数-概素数-(連載「おおむね素数 概素数」参照)が探査されています。

 1999年にダブナーによって1が49081個、2000年に1が86453個、2007年に再びタブナーが1が109297個、そして同じ年にVoznyyによって1が270343個の数が概素数であることが発見されています。

 レピュニット素数では数字1の数は2、19、23、317、1031、49081、86453、109297、270343と奇数であることが分かります。

 レピュニット素数は回文素数なので、「11以外の回文素数はすべて奇数個からなる」という回文素数の性質がレピュニット素数にもあてはまります。

 双子素数と同じようにレピュニット素数も無限にあるだろうと予想されています。

数素(emirp)!?

 回文素数は30203のように左から読んでも右から読んでも同じ数字であるような素数でした。これと似たような素数に「数素」があります。

 数素では分からなくてもemirpと合わせて考えれば、この言葉が何を意味するかは気づきます。

 11、13、17、179、761は数素です。数素とは数字を逆にした数が素数であるような数のことです。5つは数字を逆にするとそれぞれ11、31、71、971、167ですが、どれも素数です。

 数素とは素数を逆にした用語です。素数prime numberのprimeを逆さにしたのがemirpです。あきらかに回文素数は数字を逆にしてももとと同じ素数ですから数素です。

 素数はその数字を逆に並べると多くは素数にはなりません。2桁の素数21個のうち数素は9個です。

11 数素
13 数素
17 数素
19
23
29
31 数素
37 数素
41
43
47
53
59
61
67
71 数素
73 数素
79 数素
83
89
97 数素

 3桁の数素は107、113、149、157、167、179、199、311、337、347、359、389、701、709、733、739、743、751、761、769、907、937、941、953、967、971、983、991

 回文素数も数素も現代数学において重要なものではなくアマチュア数学です。リーマン予想(連載「サラリーマンのための超入門・リーマン予想」参照)が示すように難解を極める数こそ素数です。

 難解な素数ですが、このような遊びの接し方もあるということです。

 素数の神秘が解き明かされるまではまだまだかかりそうです。それまでの間、コーヒーを味わいながら、素数表を眺め、回文素数や数素を探してみるのもプライムなひとときになるでしょう。

 来年2017年の「2017」は素数です。逆さにした7102は2×53×67と素因数分解されるので素数ではありません。2017は数素でないということです。ぜひ4桁の数素を探してみましょう。

筆者:桜井 進