おやつカンパニーの「ベビースターラーメン」

写真拡大

 昔からたくさんの人に愛され続けて来た駄菓子のひとつ、おやつカンパニーの「ベビースターラーメン」。そのパッケージに必ず描かれていたイメージキャラクター「ベイちゃん」「ビーちゃん」が、2016年末をもって引退することが公式に発表された。

 ベイちゃんは1988年の商品リニューアル時に初登場。つまり彼は28年もの間ベビースターラーメン、ひいてはおやつカンパニーの「顔」であり続けた。ちなみに、妹のビーちゃんは2000年初登場だ。長きにわたってベビースターの象徴であったキャラクターの「引退」に、インターネット上では「引退、さびしすぎる」「ベビースターのマスコットキャラが今年で引退するのが悲しい」などと、寂しがる声があふれている。

 さらに、その引退発表から1週間後、ベビースターラーメンの新たなキャラクターが発表された。名前は公募され、来年1月31日の「ベビースターキャラクター引継ぎ式」で発表されるという。独特なタッチのキャラクターで、消費者の反応は「新キャラ思っていた以上にいい感じ」「前キャラの雰囲気を残しつつで かわいい」という肯定的な意見と同時に、「前のほうが好きだった」「ダサい」といった否定的意見も見受けられる。

 現在のプロフィールは以下の通りだ。

性別:男の子
特技:歌とダンス
性格:元気で活発。ちょっと目立ちたがり

 まだ、多くを謎に包まれた状態の新キャラクター。ベイちゃん兄妹に比べて現代的な雰囲気だが、果たして世代を超えて愛された彼ら兄妹を超えることができるのだろうか。

 高い人気を誇ったベイちゃん・ビーちゃんの引退により、おやつカンパニーはベビースターラーメンに関してどのようなブランディングを図っていくのか。米投資会社カーライルグループ傘下となったことで、シビアな判断があったのではないかとみる向きも強い。

●キャラクター変更の実例

 キャラクターやロゴは企業の顔だ。根強いファンが生まれるほど愛されるキャラクターを持つ企業も少なくない。長年愛されたキャラクターやロゴを変更させることは、大きなリスクも伴う。そこで今回は、ブランドイメージアップなどを図り、キャラクター及びロゴを設定・変更した企業の例をいくつか見てみたい。

【チョコボール・キョロちゃん】

 森永製菓の菓子「チョコボール」のキャラクター、キョロちゃん。1965年のチョコボール発売当時は、「宇宙少年ソラン」(TBS系)というアニメとタイアップしたキャラクターデザインが起用されていたが、2年後の番組終了と共にキョロちゃんに変更。「くちばしからチョコボールを取り出す」というパッケージのコンセプトとも合致しており、具体的な商品イメージにも寄与している。91年に発売されたぬいぐるみはチョコボールの売り上げを超え、また99年から2001年にかけてはオリジナルアニメも放送されるなど、子供たちの間で大人気のキャラクターとなった。新モデルは、頭身が低くなり、よりかわいさが強調されている。

【東京ヤクルトスワローズ・つば九郎】

 日本プロ野球・東京ヤクルトスワローズのマスコット。94年の初登場から、キュートな見た目とおやじ臭い言動で人気を博している。初期のデザインは今と比べてやや細めでスタイリッシュ。ゆるキャラの台頭と共に、丸く可愛らしいフォルムとなった。つば九郎単独で女性誌のインタビューを受けたこともあり、「男のスポーツ」という野球のイメージを大きく変えることに貢献したといえるだろう。

【かっぱ寿司】

 軒並み好調な回転寿司業界にあって、大手のなかで唯一業績が振るわないかっぱ寿司。あきんどスシローやくらコーポレーション、はま寿司などの業績は堅調だったが、かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイトは営業赤字となった。そんななか、今年10月に「高級感がない」という理由でかっぱのロゴを削除、重ねた皿をモチーフとしたロゴに変更したが、消費者からの不満が続出。そもそも、かっぱ寿司には高級感ではなく親しみやすさを求める人が多かったためとみる向きが多い。

 一皿100円というシステムに加え、注文タッチパネルや、皿を桶に乗せて流す方法など、さまざまな面において業界の先駆けとなった同社は、テレビCMでもかっぱを主軸としていたが、今後どのような方針でブランディングしていくのかが注目される。

【三菱UFJ銀行・アカギさん】

 人気イラストレーター・カナヘイ氏デザインのLINEスタンプキャラクター「アカギさん」と「しろまる」。若者を顧客として取り込むために、各銀行がゆるキャラ商法に参戦するなかで、逆行するかのように三菱UFJ銀行は「アカギさん」から撤退した。同キャラクターはイラストレーターが著名なこともありLINEスタンプ配信時には人気を誇ったが、短期間で終了したことで、「損切りされたのではないか」などと憶測が飛び交った。三菱UFJ銀行広報へ電話で問い合わせたところ、「アカギさんは任期満了に伴い卒業」「今後同キャラ復活の予定はない」といい、あくまでも期間限定のキャラクターだったことをうかがわせた。

【スターバックスコーヒー】

 おなじみ、セイレーン(人魚)のロゴマーク。1987年に制定されたデザインから大きな変更はないのだが、年々そのキャラクターが大きくなっている。「手前に近寄って来ている」と大きな話題となった。2011年の変更では、「STARBUCKS」「COFFEE」の文字も消え、円形いっぱいにセイレンが描かれたデザインとなった。コーヒー以外の他業界への進出を視野に入れたロゴ変更との見方が強いが、ファンからは「さすがに怖い」などの否定的な意見が多かった。

【GAP】

 ネイビーとホワイトのツートンカラーのGAPロゴ。20年以上も使用されているおなじみのデザインだが、2010年に大々的なロゴのリニューアルを宣言した。しかし、発表直後から批判が集中したため、「新しいデザインをクラウドソーシングで募集する」と発表して方針を変更したが、ネット上ではさらなる炎上を生んだ。最終的にロゴ変更は白紙撤回され、わずか10日で元のデザインに戻すこととなった。

 企業イメージを大きく左右するマスコットキャラクターやロゴ。へたに変更すると、業績に直結するダメージとなることもあり得るのだ。
(文=T仮面/キャラクターアナリスト)