12月15日に、DeNAと共同で開発を手掛けたゲームアプリ『スーパーマリオラン』が世界151カ国で配信スタート。任天堂はメディア宣伝に尽力し、「初月の売り上げはポケモンGOの約半分、80億円を突破するのでは」との期待感を持たれている。
 任天堂の看板タイトル初のスマホ版とあって注目は高く、配信開始通知を希望する人の数は世界で2000万人を超えていた。関連会社のポケモン(東京・港)が開発協力したスマホゲーム『ポケモンGO』とは異なり、『マリオラン』は任天堂の自社開発となる。

 2016年は、苦境続きだった任天堂が大復活を遂げた年だった。アメリカで先行配信したスマートフォン向けゲーム『ポケモンGO』が全米で空前の大ヒットを飛ばし、国内配信直前の7月19日には株価が急騰、年初来高値の32700円の値を付けた。
 「世界中の子どもから大人までスマホ片手にポケモンGOに熱中する社会現象となり“最もダウンロードされた”“最速で1億ドルの収益を上げた”など数々のギネス記録を樹立しました。家電量販店には孫と『ポケモンGO』をやるためにスマホに機種変更するシニア層や、携帯用充電器を買い求める客が押し寄せました」(経済ライター)
 「11月には昔懐かしいファミコン復刻版『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』を発売。ソフトは内蔵されている30タイトルのみだが、5980円と手が届きやすい価格から40代以上の層を中心に人気を集めた」(市場関係者)

 思えば、'12年暮れに発売した『WiiU』の大不振が岐路だった。かたくなに拒んできたスマホへの配信は、今や同社の要だ。
 「それでも“禁断の果実”にはまだ消極的です。人気ゲームアプリの大半はアプリ内課金でもうける仕組みで、ポケモンGOもそうなっていますが、一方のスーパーマリオランは1200円を支払えば追加課金なしで遊べる“買い切り型”。ゲームアプリは今に至るまで、課金型で爆発的な急成長を遂げてきた。買い切りはユーザーにとってはありがたいですが、収益性は未知数です」(業界関係者)

 先行きの懸念はそれだけではない。'17年3月に発売予定の新型ゲーム機『ニンテンドースイッチ』に対するイマイチな評判だ。10月20日に一部映像が公開されたものの、ファンからは「期待外れ」の声が多く、翌日の株価は急落した。
 「ハイレベルな『プレイステーション4』や『Xbox』を超えるゲーム機となるのは容易ではありませんよ」(同)

 ネットでは、「なんだろ、マリオだけど楽しくない1週間したら飽きるな」「これは任天堂やっちまった感じ?」「スマホアプリだぞ? どんなに高くても800円だろ」などなど評価はいまいちだ。
 そんな中、App Annieは、iOS向けアプリ「スーパーマリオラン」のダウンロード数および収益に関する速報値を発表した。合計151か国でリリースされ、そのうち60か国のDL数ランキングで首位を獲得した。今回の速報値では配信から3日間(12月15日〜12月17日)の記録が計上され、全世界におけるDL数が3700万以上、収益が1400万ドル以上であったことが明らかにされた。
 果たして、王者・任天堂の酉年の“泣き笑い”はどうなることか。