maita161228-chart01.jpg

写真拡大

<学力の国際比較で日本はトップクラスなのに、その潜在能力を労働生産性に転換できていない。今後の課題は、女性を中心とした高い能力を持つ人材を、どのように生産性に結び付けるかだ>

 世界各国の15歳の学生の科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーを測定する、3年毎の国際学力調査、OECD「PISA 2015」が公表された。

 例によって日本の平均点の順位が注目されているが、それよりも興味をひくのは、それぞれの社会の特性との関連だ。例えば、労働生産性との関連はどうだろうか。普通に考えれば、学力が高い、つまり国民の潜在能力が高い国ほど、労働生産性が高いと考えられるが、現実はどうなのか。

【参考記事】途上国型ワーカホリックから、いまだに脱け出せない日本

 労働生産性とは、各国のGDP(国内総生産)を就業者数で割った値で、労働者のパフォーマンスの指標としてよく使われる。総務省統計局『世界の統計 2016』という資料に、各国の計算済みの数値(2013年のデータ)が掲載されている。

 横軸に「PISA 2015」の科学的リテラシー(理系学力の指標)の平均点、縦軸に労働生産性をとった座標上に、両方が分かる34カ国を配置すると<図1>のようになる。

 2つの指標の間には、若干のプラスの相関関係が認められる。しかし右側の学力水準が高い国をみると、労働生産性にはバラツキがある。

 日本は、15歳の理系学力は34カ国でトップだが、労働生産は平均水準に達していない。国民の潜在能力を生かせていない社会ということになるだろう。右下に位置しているのは、そのような「残念な」タイプの社会と括ることができる。

舞田敏彦(教育社会学者)