熱血根性吹奏楽アニメ「響け!ユーフォニアム2」12話。
ついに悲願の全国大会出場!
でも銅賞でした。甘くないね。
見逃した人はニコニコ動画AbemaTVで見られます。


パフェを食べに行った3年生


全国大会の大舞台。空気が張り詰める。
しかし演奏が終わった後、燃え尽きるでもピリピリするでもなく、みんなリラックスしていた。

特に3年生の、小笠原晴香、田中あすか、中世古香織。
普段から真面目な彼女たちは演奏後、他の学校の演奏を聞かずに、外に出てパフェを食べに行った。

これで3年生部員としての活動は終わり。
あすかは「悔しい」と言葉にするものの、悲壮感はない。

宿泊先で遊ぶ様子、麗奈の恋愛模様、CDを買ってハッスルする緑輝の描写もあって、12話全体の空気はとても明るい。
たとえ銅賞だったとしても、落ち込んでいたとしても、5話の関西大会の息苦しさとは比べ物にならない。
緑輝に至っては、金賞かどうかより、麗奈が滝先生を好きかどうかに意識がいってしまっている。
全体的にふわふわと浮足立った空気が、緊張を上回っている。

「コンクール」の緊張を乗り越えてきた子たちにだけ見える地平


決して、「もうこれより上はないからどうでもいい」というわけではない。
ただ、京都府大会、関西大会の時は、彼女たちに余裕がなさすぎた。
今回は「コンクール」を、楽しめる段階に来ている。

二期では3話の優子や麗奈、8話の橋本先生が「コンクールとは何か」について語っていた。
金賞。コンディションや審査員によって変わる。絶対的なものではない。納得いかないこともある。
辛いことの方が多い。
ただしそこを目指して、いい表現ができれば、楽しくなる。

銅賞とはいえ、立派な賞だ。
終わった後、先生たちはみんな、生徒たちの演奏を褒めた。
橋本先生のいう「楽しい音楽」だったからだろう。

演奏していない葉月だけが、銅賞について重く悩んでいる。
彼女は舞台に登った時の「楽しい」の感覚を、経験できていないからだ。

伝える子供たち


二期のテーマは、く「伝える」だろう。
一期で久美子をはじめとしたキャラクターたちは、「本気」になる感覚を、肌で覚えた。
本気になった次に行うのは、その想いを表現して、誰かに伝えることだ。

シリーズ演出・山田尚子「この作品最初のアプローチは「呼吸」とか「息づかい」だったんです。それを表現できたと思うので(この作品を漢字一文字で表すと)「管」ですかね。体の中にも管(気管)はあるし、人と人とをつなぐ「パイプ」としての役割も有るし」(劇場版パンフレットより)
12話では多くのキャラが、人をつなぐパイプに息を吹き込んだ。


2年生、鎧塚みぞれ。
話すのがあまり得意ではない、感情を表に出せない少女。
彼女は友人の希美くらいしか、普段かかわらない。
そんな彼女が本番前、恩のある久美子に、初めて自ら近寄り、話しかけた。

3年生、小笠原晴香。
責任感が強く優しいけれど、機転が利くわけではない彼女。
本番前は、震えることなく、自分から名乗り出てみんなの前で言った。
「私ね、今心の底からワクワクしてる」

1年生、高坂麗奈。
普段から正直すぎるくらいなんでもズバズバいう彼女。
しかし恋愛感情を抱いている滝先生にだけは、久美子に押されないと、なかなか話しかけられない。
指揮者賞の時に立ち上がり、みんなの前で告白した。「先生好きです!」

3年生、田中あすか。
今まで、会うことができなかった父親、ユーフォニアム奏者・進藤正和。
彼にどうしても自分の音を伝えたいと願って、ユーフォを吹きつづけてきた。
言葉は伝えられなかったけど、音楽はちゃんと彼に届いた。父もまた、伝言で彼女に想いを伝えた。

松本先生。
副顧問なのであまり目立たないが、滝先生が技術指導をする裏で叱咤し、Bグループを指導していた先生。
普段はきつい顔の彼女も、小笠原晴香部長を抱きしめて「頑張ったな!」と号泣していた。

伝えない関係と、伝える大切さ




京都アニメーションの「けいおん!」や「たまこまーけっと」は、はっきりした言葉をあえて使わないアニメだった。
言葉にしないことで生まれる人間のつながりを、描こうとしていたからだ。
軽音部の子たちは、特別な言葉を使わなくてもみなが通じ合い、自然に集まって演奏し、笑いあった。
うさぎ山商店街の人々は、日々挨拶を交わしながらも、必要以上に人の心に踏み込まないことで思いやりを示し、距離を適切に保っていた。

「響け!ユーフォニアム2」はこの「無理に伝えない関係」と、「はっきり伝える関係」の両方に重きを置いている。

「無理に伝えない関係」の代表は、二年生の優子と夏紀だ。
いつもケンカをしている、トムとジェリー的仲良し感あふれる2人。
おそらく一番お互いの心の傷を、頑張っているところをわかっている同士。そこは言葉にしなくていい。

久美子と秀一。幼馴染。久美子からみて腐れ縁。
原作だとなんだかんだで恋愛的文言を交わしているが、アニメではほとんどない。
というのも、今は「久美子と姉」という重要な関係修復の最中で、秀一もそこをわかっているからだ。

一方で「はっきり伝える関係」として特に強調されたのは、久美子と麗奈、みぞれと希美、久美子とあすか、あすかと夏紀、麗奈と優子、などなど多数。
そして久美子と、姉の麻美子だ。

言葉で伝えた久美子


久美子は10話で、姉が家を出ていった時に、自分の姉への気持ちを伝えられず、電車の中で泣き崩れた。
全国大会は、もう二度と気持ちを伝えられないと思っていた彼女に与えられた、チャンス。

「お姉ちゃん、私ユーフォ好きだよ」
「お姉ちゃんがいたから私、ユーフォ好きになれたよ」
「お姉ちゃんがいたから、吹奏楽好きになれたよ」
「お姉ちゃん、大好き」

彼女は最初、自分の気持ちを形にして伝えることが、極端に苦手だった。
10話、あすか先輩への叫びで克服。思いをきちんと、言葉にするようになった。


山田尚子はこの作品の演出について「「照れなくていい、真っ直ぐやっていい」という空気がとても心地よかったですね」(「アニメスタイル007」より)と語っている。
二期12話の久美子のセリフは、青臭くて、真っ直ぐだ。

「私も、大好きだよ!」
姉は笑わず受け止め、自らの思いをきちんと妹に伝えた。

ただし、ここまでストレートに話しているのに、2人は数メートル離れて、近づかない。
ここが、京アニが培ってきた「当人にしかわからない距離」の描き方だ。

残すは最終回一回。
原作だと卒業式のエピローグのみ。
雪の中の、1話冒頭につながるんでしょうか。

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(たまごまご)