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●広がる評価・解析への要望に応える設備投資を継続して実施
IoTに代表されるような電子機器に対し、ユーザーは基本的に、何の疑問も抱かずに、普通に使えば、普通に使える、という思いがある。例えば自動車であれば、どんな状況でもブレーキが利かなければ、大事故につながるし、電子レンジがマイクロ波を出せなければ食品を温められなくなる。しかし、実際の製品開発の過程においては、そうした不具合が生じることとなり、開発チームはその原因の特定を1つずつ行い、問題の解決を図っている。また、場合によっては、第3者機関による認定の取得による品質の保証を担保する必要もある。

そんな開発の現場で、長年にわたって高品質な製品の実現に向けて、電子部品から実装基板まで、ワンストップでさまざまな評価や分析、解析などを提供することで、顧客の研究開発を影から支えてきた企業がある。1973年に設立されたOKIエンジニアリング(OEG)だ。

同社は元々、OKIが電話の屋外交換機に求められる25年保証を実現することを目的として設立した技術開発を行う研究所を母体としている。以来、実に半世紀にわたって、信頼性を中心とする技術開発を行ってきており、現在では、「信頼性解析」のほか、「システム評価」「EMC」「計測」「デバイス評価」「環境」「部品情報」の7つの事業部へと対応範囲を拡大。近年は大元の信頼性解析以上にシステム評価とEMCの2つの事業が大きく成長してきているという。

拠点は、東京・練馬の本社のほかに、信頼性試験を行う東久留米市の「西東京試験センタ」、環境試験やEMC関連などを行うために埼玉県本庄市に開設した「北関東試験センタ」および「EMCセンタ」、「計測センタ」、「本庄テクノセンタ」、そして部品情報を取り扱う埼玉県蕨市の「部品情報ブランチ」の合計4拠点があり、それぞれが特徴あるサービスを提供している。

中でも西東京試験センタは2015年2月に開設された拠点で、これにより、従来の自動車や産業機器、半導体・電子部品関連の信頼性評価に加え、ロボットや宇宙・航空関連の信頼性評価を強化。数億円規模の設備投資を継続して行っており、2015年に10mのEMC電波暗室を増設したほか、2016年もUL 94規格に対応しているかを評価する燃焼性試験装置を導入して対応範囲の拡大を進めている。

●評価・解析の原動力は顧客の思いに絶対に応えるという強い意志
同社の取り組みは、こうした製品が不良かどうかを判定するだけではない。近年は、独自のサービスとして、良品の半導体デバイス(主にLSI)に対するプロセス診断といったものも手がける。これは、良品に対して、潜在的な問題があるのかどうかを調べるサービスで、内在する欠陥や不具合構造を検出し、将来起こりうる不具合を防ぐことを可能とするもの。10種類56項目にわたる評価項目をもとに、BGAのボイドやワイヤボンディングのワイヤ流れ、ストレスによるクラック、チップの各層解析によるビアコンタクトの接続異常などを調べ上げる。現在、25nmプロセス程度まではすべての検査項目を適用することが可能だが、それ以下の微細プロセスになると、TEM(透過型電子顕微鏡)による観察が主体になるという。もともとは、人工衛星に用いられる半導体などの調査からスタートしたサービスで、小惑星探査衛星「はやぶさ2」の部品評価なども行ったほか、現在では自動車などの事故が起こってはいけない分野での活用も進んでいるという。

「車載用の電子機器や電子部品が故障した際には、徹底した故障解析が要求されるが、近年はウェハ製造時の汚染などが原因となることも増えてきており、チップレベルから実装基板のレベルまで、トータルに故障を特定する必要がでてきている。OEGでは、さまざまなツールと組み合わせた解析システムを提案することで、再現性の高さなどにもよるが、かなり短時間での解析を実現するなど、実績を挙げてきている。こうした意識は、民生品にも広がりを見せてきており、単に部品を交換すればよい、という製品であっても、原因を特定する必要性を企業側も感じ始めつつある」と同社では、評価・解析ニーズの広がりを説明するほか、「最近は、劣化調査、つまり現場で数年ほど使われた製品が、どの程度生き残っており、交換時期がどの程度先なのか、ということを知りたい、というニーズも強まってきた」とのことで、さらなる評価・解析ニーズが生み出されていることを強調する。

また、「OEGはあらゆる評価・解析ニーズに対応していく。決して、我々は顧客からの相談を断らないし、顧客が要求する問題の解決に向けて、それを可能にする技術も開発する」というように、顧客のニーズに絶対に応え、電子機器に対する問題解決の手助けをする、という誇り高き決意を掲げ、試験屋でも解析屋でもなく、それがなぜ、どうすれば解決できるのか、という答えまでも提供する唯一無二の企業でありたいという。「故障解析などは、悪いところが見つからないと、逆に悪かったような印象があるが、それは結果として良品解析につながり、そこからもっと異なる不良の原因が見えてくることもある。原因が分からなくても、故障の要因が分かれば、メカニズムが見えてきて、原因の絞込みができていく。我々はそうした細かなことまで可能とする技術力を武器に、顧客が実現したい高い品質に向けたサポートを行う」というように、あくまで単に解析や評価だけを行う企業ではないことを同社は何度も強調していた。今後も複雑化が進む電子技術。故障と解析はまさに、完全犯罪を狙う頭脳犯を追いかける警察や小説に登場するような探偵のごとく知恵比べの様相を呈している。そんなどこかの誰かが抱えるエレクトロニクスの困った課題を、今日もOEGは持てる技術をフルに発揮し、解決していくことだろう。

(小林行雄)