「Thinkstock」より

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 消費増税後、スーパーマーケットは二極化の様相を見せている。衣料品や住宅関連、食品などを扱う、大手流通グループの総合スーパー(GMS)は衣料品の落ち込みが大きく苦境に喘いでいる。

 これに対して、増税による値上げの反動減をはね飛ばし、すこぶる好調なのが、首都圏を中心に展開する食品スーパーだ。

 首都圏の食品スーパーの業績は2ケタの増益が目立つ。2015年3月にカスミ、マックスバリュ関東、マルエツが経営統合して発足したイオン系のユナイテッド・スーパーマーケットホールディングスは、初年度の16年2月期の業績が営業収益約6637億円、営業利益約140億円で、ともに当初の会社側の予想を上回った。

 首都圏に店舗を展開するいなげや、埼玉県が中心のベルク、関西が本拠地だが首都圏店舗が多いライフコーポレーションなどは、生鮮食品や総菜に力を入れことが奏功し好決算が相次いだ。

●バローホールディングスは首都圏をうかがう

 地元密着型の地方の食品スーパーもすこぶる元気だ。

 中部地区で食品スーパーを展開するバローホールディングス(HD)の17年3月期決算は、増収増益の見込み。売上高にあたる営業収益は4.5%増の5200億円、営業利益は10.3%増の184億円、純利益は115億円と予想している。積極出店を続けるドラッグストアや農機具の取り扱いを強化したホームセンターが業績を後押ししている。

 バローHDは首都圏の一角である山梨県に本格進出する。今年8月、地元密着型の食品スーパー、公正屋を完全子会社にした。公正屋の店舗数は5店、16年2月期の売上高は72億円である。

 バローHDの本社がある岐阜県は人口減少が目立つ。そこで、出店エリアの拡大を図ってきた。地盤である愛知・岐阜・三重の中部3県から域外に進出し、京都府、そして山梨県に出店した。山梨出店は激戦地区である首都圏への本格出店を視野に入れた戦略的なものだ。

●アークスはサンドラッグと提携

 北海道と東北で食品スーパーを運営するアークスは、北海道、青森、岩手でトップシェアを誇る。17年2月期の売上高は前期比2.6%増の5150億円、営業利益は2.6%増の148億円、純利益は37.5%増の90億円を見込む。

 2月に北海道の地場スーパーを買収した効果に加え、3店を新規出店した。子会社の合併で繰り延べ税金資産の回収可能性を見直し、その結果、税負担が減少したことが利益を押し上げる。

 アークスはドラックストア大手のサンドラッグと提携し今年6月、共同出資会社を設立した。北海道や東北の食品スーパー市場では盤石のアークスも、ドラッグ市場では弱小勢力にすぎない。

 ドラッグストアは主力の医薬品や化粧品だけでなく、生鮮を含む食品まで品揃えを拡大中だ。食品スーパーの中心領域へ進出してきた。食品スーパーにとってドラッグストアは、今や強力なライバルなのである。

 アークスが正面から競合するのが、ドラッグストア大手のツルハHDだ。北海道から南下し、勢力を東日本に拡大している。アークスは東京西部地盤のサンドラッグと提携して、ドラッグ分野をツルハHDに対抗できる競争力のある店に育て、スーパーに次ぐ事業の柱に据えたい考えだ。

●イズミは中国、四国、九州に限定し、M&Aを積極化

 広島のイズミも注目だ。百貨店やGMSが苦戦するなかイズミの好調ぶりが目を引く。17年2月期の営業収益は前期比6.3%増の7108億円、営業利益は同8.7%増の347億円の見込み。買収した食品スーパーで商品の共同仕入れを進めてコストを削減した。

 ただ、熊本地震で被災し休業を余儀なくされた店舗がある。その影響で特別損失を計上するため、純利益は135億円と前期比28.1%減を見込んでいる。

 イズミは出店エリアを中国、四国、九州の3地区に限定し、地域に根付いたマーケティングを展開している。店舗では伸びしろのある食品売り場を拡張し、有力なテナントに入れ替えている。流通大手の既存店売上高が前年割れとなるなか、イズミは2〜3%増のプラス成長を維持している。

 イズミは消費人口の多い関西に進出するのではなく、九州にショッピングセンター「ゆめタウン」を構えたことで大成功した。M&Aにも積極的で15年にはスーパー大栄を傘下に収めた。九州ではイオン九州とイズミが2強を形成している。

 大手流通のGMSの地盤低下が進むなか、地方の食品スーパー各社は1兆円企業へ向けてしのぎを削っている。
(文=編集部)