「逃げ恥」に沸いた秋ドラマ。でも、主演女優賞はこの人に贈りたい!

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【ドラマ好きライターのスナイパー小林が勝手に表彰!2016秋ドラマ 主演男優&女優賞編】

 2016年秋ドラマが終わった。全体を見ていて感じたのは、演出が何でもアリになったということだ。その代表はやはり『逃げ恥』の、風刺なのかオマージュなのか分からないスレスレラインの演出。『家政婦のミタゾノ』では、話題のマネキンチャレンジのようなシーンが毎度出てきた。

 なんでもパクリと揶揄されがちな世の中で、それらを視聴者がちゃんと笑いとして楽しんでいたのが、なんだかよかったな。それでは、秋ドラマを勝手に表彰しながら総評していこう。まずは主演男優&女優編をどうぞ!

◆ジャニーズの底力を見たり

●主演男優賞:松岡昌宏(TOKIO)/「家政夫のミタゾノ」(テレビ朝日)
※参考記事「TOKIOの新境地を開拓! 菅田将暉、片岡愛之助…「勇者ヨシヒコ」のゲストが豪華すぎる!!【秋の深夜ドラマ】」

 ドラマタイトルと松岡くんの女装画像を見たときに「うわ〜、やっちゃったな……」というのが第一印象だった。言うなればいろいろな意味でのパクり感が否めなかったからだ。ところがスタートしてみると、これがある種の化学反応を見せてくれ、実に楽しい。

 そのひとつが、松岡くん扮する三田園薫の女装。衝撃的に似合っていたからである。むちゃくちゃ美しかった。最近の彼といえば、ドラムを叩きまくって、ポケットに手を突っ込んで軽快に六本木を歩くという豪快なイメージがついてまわっていただけに、女装とのギャップが半端ない。スカートをたくし上げて走るシーンはもう笑うしかない。さらにすね毛のない足に、パットの入ったバストってもうなんだか「いいものを見せてもらいました」の気分である。

 家政婦の派遣先で的確に金持ちの本性を暴き、更生させていくのが毎回のストーリー。やはりよその家の事情というのはいつの時代も、みんなの大好物だ。これを無表情に、そして一切の感情もなく三田園がぶったぎっていくのが爽快だった。その隣で、いつも何か足りない、頼りない、同僚の花田えみり役の清水富美加のイタさがストーリーの盛り上げにはいいエッセンスだった。

 結局、最終回では自分の正体を完全に明かさなかったので、第2弾の可能性を期待したい。

 たった1時間の間に直球勝負の笑いと人間ドラマで満腹になれるドラマであったこと。そして松岡くんの新境地に、今年最大の賛辞を贈ります。

◆女優魂、ごちそうさまでした

●主演女優賞:吉田羊/「メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断」(フジテレビ、関西テレビ)
※参考記事「ガッキーがやたら可愛いくて困る!個性にあふれた医療チーム【火曜ドラマの見どころ】」

「一話完結で飽きずに見ることができる医療ドラマ」。そんな印象のまま、何気なく見ていた。それが2話めで(私的)事件が起こる。

 日本代表の水泳選手を治療する回。実は選手が母を支えるためにドーピングをしていた……という内容だったのだが、その選手に対してドーピングを止めるために、

「母親にとってはね、子供が金メダルなの。かけがえのない、世界でいちばん大切なもの。そんな子供が自分よりも先に死ぬなんて耐えられない、どんな親でも」

 と、声を震わせながら怒るシーンがあった。

 その吉田羊の涙声は本物だった。母親(役)である自分の感情が高ぶってしまって、思わず出た声のように聞こえた。台本は見ていないけど、きっとここに涙のト書きなんてなかったんだろうな。あの瞬間、役に憑依している吉田羊の女優魂は燃えたぎっていたことでしょう。

 そんな理由で私、このシーンで涙が止まらなくなってしまった。不意打ちを突かれ、背後からドンと押されたように涙があふれた。母親ではないから共感ではない。でも彼女の肩から滲みでてくるような演技に感動して、今年いちばんの量で涙を放出したように思う。

 プライベートでもいろいろとストーリーのある女優さんだけど、個人的には“THE女優”という感じがして好きだ。華奢だけどたくましい、あの背中についていきたくなるような芯の強さが感じられるので。

<TEXT/スナイパー小林>
【スナイパー小林 プロフィール】
ドラマ解説、芸能、恋愛、カルチャー、美容・健康ネタ好きのライターであり、編集者であり。執筆や編集を手がけた媒体は100冊以上。約20年以上ドラマをこよなく愛し、ついには趣味が仕事になった幸せ者のアラフォー。Twitter:@hisano_k