タックスヘイブンって何がいけないの?法律を超えた問題?

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タックスヘイブンという言葉を聞き覚えはあるだろうか? タックスヘイブンとは、「租税回避」とも言われるが、税率の低い地域に企業や資本家が資産を移すことで本国での税金を逃れることを指す。この制度は実業家の目線に立ってみれば一見賢い選択のように見える。では世間で非難されるような問題点は一体どこに潜んでいるのだろうか。「教えて!goo」には「タックスヘイブンの何が問題?」という質問が寄せられていた。

■倫理的問題として

この投稿に寄せられた回答を紹介しよう。

「パナマは得をしていると思いませんか。自国に実体の無い会社が税金を払ってくれるのですから」(水色桔梗さん)

「税は国を維持するために必要な資金。それを、無駄使いされるから、払いたくないから自分が生活している社会は無視して、自分の利益のために行なっていることです」(one12さん)

「実態では日本で営業しているのにあたかも他国企業のふりで法人税逃れをするということは、実際に法人税を払っている会社にたいして不平等です」(yambejpさん)

やはり倫理的に問題があるとの指摘が多いようだ。

■「悪い」とされることには理由がある?

しかしタックスヘイブンの問題点はこのような倫理的な問題だけなのだろうか。今回は税理士の松嶋洋さんに話を伺った。

そもそも制度上タックスヘイブンは問題ないのでしょうか。

「日本の制度上、タックスヘイブンに子会社を持つ会社については、一定の要件を満たす場合、そのタックスヘイブン子会社の所得を日本の親会社の所得に合算して申告する必要があります。このため、タックスヘイブンを利用しても、日本で申告をしていれば課税逃れを行っていないのだから問題がない、ということを企業は言いたいのだと考えられます」

では実際にどのような問題があるのだろうか。

「タックスヘイブンは、税金がないか若しくは非常に少ない国や地域を意味する、と一般的には知られていますが、それ以上に大きな問題として、透明性がない、すなわち情報の機密性が高いため、犯罪マネーが流れ込んでいる、といった指摘もあります。タックスヘイブンに企業が進出するとなると、その企業のマネーの一部がタックスヘイブンの活動資金に充てられることになりますから、結果として、犯罪マネーのマネーロンダリングを助長する、といった結果になりかねないのです」

制度上は問題がなくとも、そこに集まるお金の中には犯罪に利用されることもあるという。そして松嶋洋税理士は最後にこのように締めくくった。

「国際社会として、透明性のないタックスヘイブンを許していいか、その社会正義も問われる話なのです。パナマ文書の問題を契機に、この情報の不透明さを踏まえて、企業や富裕層には正義感ある行動が求められます」

ルールとして禁止されている事柄には、禁止されるだけの理由がある。「厳密には禁止されていない」と主張する前になぜそのような規制があるのか考え、社会の一員として自覚ある行動が求められていることを踏まえるべきだろう。

●専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋

東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士として事務所を運営する傍ら税務調査対策のコンサルティングにも従事。

(島田 俊)

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