RIZINに向けて、意気込みを語ったミルコ・クロコップ

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12月29日&31日に、さいたまスーパーアリーナで開催される『RIZIN』において無差別級グランプリのトーナメントが行なわれる。

この最大の目玉とされた、ミルコ・クロコップ×ヴァンダレイ・シウバの一戦は、シウバの欠場により流れてしまったが、19日、注目のミルコの対戦相手が前年のRIZINヘビー級グランプリ王者のキング・モーと発表された。モーは前ベラトール王者という実績もあり、ミルコにとってはシウバ以上の難敵となることは間違いがない。

実は『週プレ』は11月の段階で、母国クロアチアのザグレブにいるミルコに接触。グランプリ制覇に向ける意気込みを聞くことに成功していたが、対戦相手が正式決定したところで追加取材を敢行。試合当日まであと僅かとなったこのタイミングでようやくミルコの最新状況を含めた心情を公開するに至った。

* * *

―まず、去る9月25日に行われたRIZIN 無差別級トーナメント開幕戦。ミョン・ヒョンマン対手に『RIZIN』のリングで勝利した時、どんな気分でしたか?

ミルコ 素晴らしい気分だったね。さいたまスーパーアリーナで再び闘うことができてとてもハッピーだ。あの会場で試合をすることは私にとって特別なことだから。

―特別とは?

ミルコ 私はさいたまスーパーアリーナを「ホーム」のように感じているんだ。匂いから何から「ホーム」と感じたね。とにかく、あの日の試合は私にとって特別な夜だった。

―勝利した後、リング上でヴァンダレイ・シウバと向き合いましたけど、その時に感じたことを教えてください。

ミルコ ヴァンダレイのことに関してはもうあまり話す必要がない。ただ、私は『PRIDE』の全盛期に最大のライバルであった彼とこのグランプリで戦うことが、自分を育ててくれた日本の格闘技界の再興につながると思っていた。ヴァンダレイともそのことは暗黙の内に通じ合っているものと信じていた。9月の段階でも、彼はあれだけ熱い思いを記者会見でもぶち上げていたのにね…。

―シウバ自身、意気揚々と開幕戦でのしょっぱい試合を糾弾し、「ヤル気のないヤツは自宅で寝ていろ」とまで口にしていたくらいでしたね。

ミルコ そんな彼がいきなり出ないと聞かされて本当に裏切られた思いでいっぱいだった。

―普段はクールなミルコがSNS上でシウバに「チキン(臆病者)」と激怒したことは大きなニュースになりました。

ミルコ 私があんなふうに彼のことをなじったのを聞いて、周りの誰もが、「ミルコらしくない、どうしたんだ…?」と言われた。本当に彼は同志だと思っていたからね。

―『RIZIN』では、来年のどこかで両者の対戦を組む意向があるようですね。

ミルコ 彼には自分の尊厳を大切にしてくれと言いたい。それだけだ。

―いずれにしろ、対戦相手が変わったことは大きな影響が出ると思います。その点はどうでしょうか?

ミルコ ヴァンダレイ対策に2カ月かけてきたわけだから、戦略的にはすべて立て直しになるさ…。

―目前に迫った試合に向けて、今はどんな状況ですか。

ミルコ 私のコンディションは極めて良好だよ。既に準備万全だし、コンディション、スタミナともに万全で、現時点ですでにもう闘う準備はできている。

―優勝にするには、12月29日にキング・モー戦、12月31日に2試合、と計3試合を勝ち抜かないといけませんが、ポイントはなんでしょうか?

ミルコ まずはデフェンディングチャンピオンであるモーに勝たないと次はない。普通はトーナメントであればスタミナをなるべく温存しながら、ケガをしないようにすることがポイントになるけど、相手はなんといっても去年のグランプリベルトを持って帰った男だ。ケガを恐れて何かを温存するような余裕はないね。初戦がすべてという気持ちで行くつもりだ。

―まずはキング・モー戦に全てをかけると。

ミルコ 結果的に世の中が、私がモーとの試合を受けたことでグランプリを救ったというようなコメントを聞いているが、私からしてみれば『ベラトール』からやってくる彼に、2年連続で『PRIDE』のDNAを引き継ぐ『RIZIN』のベルトを渡すことは絶対に阻止してやるという強い思いでいっぱいだ。

―『PRIDE』のDNAにかけて負けられないと。

ミルコ ファンの人たちだって『PRIDE』のDNAを引き継ぐ世界最高峰のリングを『RIZIN』が再び作り上げてくれるだろうと思って懸命に応援してくれるわけだからね。自分を育ててくれた日本の格闘技界は、2016年現在はまだ、大切にもう一度育て直さなければいけない孵化器の中にあるのと一緒だ。だからこそ我々、選手が日本でしか行なわれないグランプリ形式を全力を尽くして盛り上げること、感動してもらうような試合を見せること、それだけしかない。

―強い意気込みで臨むと。

ミルコ そうさ。だからつくづくヴァンダレイ、「お前は何を考えているんだ…」と心底怒りがこみ上げたのがああいう形になって出てしまったんだ。彼だって自分を育ててくれた日本を、日本の格闘技界を愛していないはずはないからね。7月の記者会見でいきなり彼が「俺と試合をしろ…」と言い出したんだからね。

まあ、もうこの話はここでやめよう。とにかく私はモーが対戦相手になったことを歓迎している。このグランプリの格を上げるには、私がこの対戦を受けることが絶対に正しい選択だと思ったんだ。そして今回のベルトは私がもらう。それだけは信じて厳しいトレーニングをしてきたからね。

―モーに勝つと、セミファイナルの相手はバルトになる可能性があります。バルトの印象は?

ミルコ わからない。予測しづらいね。(バルトの対戦相手の)コーサカ(高阪剛)は経験豊富だし、タフでビッグハートな男だ。どんな試合になるかはわからない。バルトの印象? 彼は体重コントロールに長けているし、グラウンドでの試合のコントロールもある程度、心得ている。なかなか難敵だと思うよ。でも、いずれにしてもどちらが上がってくるかを考える前に自分が勝ち上がることが先決だ。

―トーナメント表の反対側からは誰が上がってくると思いますか?

ミルコ それも予想できないな。難しいよ。ただヒース・ヒーリングが戻ってくることは大歓迎だ。私にとって、完全PRIDEルールでの初めての相手が彼だったことは忘れることはできない。ケン(イマイ氏・当時ミルコの全権代理人)が私に相談なく「ミルコ、初めての完全PRIDEルール、一番の大物を食いに行くぞ」と言って決めてきてしまって…、今となっては懐かしい思い出だ。

いずれにせよ、誰が上がってきてもおかしくないと思う。ポーランド出身のシモン・バヨルはとてもタフで、危険なファイターになる可能性を感じた。ワレンティン・モルダフスキーはまだ若いが、新世代のチャンピオンとしてかなり驚かされる選手になるだろう。アミール・アリアックバリは、レスリングの王者として非常にすばらしい。とにかく、予測するのは難しい。誰が来てもおかしくない。



◆後編⇒RIZIN参戦のミルコ・クロコップが明かすヒクソンとの秘話「茶帯くらいはもらえそうだと褒められたよ」

(聞き手&撮影/鈴木さやか 構成/“Show”大谷泰顕)