『青学カラーの緑のスーツの裏地を見せる原監督』

 第93回箱根駅伝は「2.4km」が勝敗を決する。今大会から4区の距離は、18.5kmから20.9kmと2.4km延長され、5区は23.2kmから20.8kmと逆に2.4km短縮される。たかが2.4km、されど2.4km。

 山梨学院大の上田誠仁監督(57)は、2.4km延びる4区が勝負の分かれ目になる重要な区間だと断言する。

「距離が延長されたぶん、4区は終盤で登り道が続くので難度は非常に上がる。それまでのアップダウンが多いコースで、選手は脚を酷使したうえで、さらなる登りが待ち受けている。今まで最も距離の短い『新人の登竜門』だったが、今大会から、4区は、準エースが競い合う難関コースに変わりそうだ」

 過去の大会データを紐解くと、奇しくも4区の重要性が浮かび上がる。今回変更された4区と5区の区間と、75〜81回大会の同区間距離を比較するとほぼ等しい。それゆえ、当時のデータが今大会でも大いに参考になりそうなのだ。

 目を引くのは75〜81回大会の7大会で、4区選手が区間賞を獲得した大学のうち、4校が総合優勝を成し遂げ、残る3校も2位につける好成績を挙げていることだ。

 前回までは“山の神”といわれた神野大地(青学大)がいたように、山登りの5区が注目を集めていた。しかし、やはり今回は、4区を制する大学が箱根を制す、と言っても過言ではない。

 優勝候補の筆頭であり、3連覇を目指す青山学院大原晋監督(49)は、「箱根も絶対に勝ちにいく」と自信のほどをうかがわせる。

 監督として「9」度めの箱根駅伝、「3」連覇と大学駅伝「3」冠達成の願いをこめて「サンキュー大作戦」と銘打った。

 1万メートル28分台で走破する選手が9名と、戦力は断トツの青山学院大。心配ごとを挙げるとすれば、5区を走る「山の神」がいなくなったことである。

「神野がいたとき、とてつもない記録が出るなということがわかっていたので楽勝ムードが漂っていた。もうそれはない。今回、5区は区間5位以内、区間賞から1分前後で、堅実に繋いでくれたら十分だと思う」(原監督)

 原監督は、5区を意識しすぎず、1区から着実にトップを走り続けることに執念を燃やしている。

 そして、やはり青学は盤石だ、と裏づけるのが田村和希の存在だ。田村は1年生で旧4区の区間記録を樹立し、前回も2年連続で区間賞を獲得した実力者。壮行会では、「エースを自覚している」という言葉が出るほど自信を深めている。新4区が2.4km長くなったとはいえ、心配は不要のようだ。

 1月2日、4区のゴール小田原中継所で青山学院大がトップで襷を渡すとき、「サンキュー大作戦」の成功は固いかもしれない。

(週刊FLASH 2017年1月10日号)