<10月から再び激しさを増しているミャンマー国軍によるロヒンギャ弾圧。もはや「治安ではなく軍事作戦、このままでは絶滅する」と人権団体が言うほどの虐殺を放置するスー・チーに、イスラム人口を多く抱えるマレーシアやインドネシアが抗議の声を上げ始めた>

 ASEAN(東南アジア諸国連合)内部でミャンマーが苦境に立たされている。ミャンマー西部に居住するイスラム教徒の少数民族ロヒンギャに対するミャンマー政府、国軍などによる「過酷な人権侵害」に対し、イスラム教国のマレーシア、イスラム教国ではないものの世界最大のイスラム教徒人口を擁するインドネシアがミャンマーを厳しく批判し始めたからだ。

 批判の矛先はミャンマーの実質的指導者であるアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相。民主化運動の旗手として国際社会や一般市民の期待を一身に受けてノーベル平和賞を受賞(1991年)、そして国家指導者に就任したスー・チーへの集中砲火と失望が拡大しつつある。

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 長年に渡った軍政による強権支配のくびきを脱し、ようやく民主化を実現したスー・チー率いるミャンマーは一体これからどこへ向かおうとしているのだろうか。

虐殺、暴行、放火と深刻な人権侵害

 隣国バングラデシュと国境を接するミャンマー西部ラカイン州で10月9日、国境に近い地域の警察施設など3か所が武装集団に襲撃され、警察官9人が死亡する事件が発生した。

 武装集団の正体は不明だが、国軍は同州に多く居住するロヒンギャの反政府組織による犯行と一方的に断定、ロヒンギャの人々が暮らす集落への攻撃を開始したのだ。

 タイに本拠を置く人権団体などによると、ロヒンギャ族が生活する住居は略奪の後放火され、男性は虐殺され、女性は暴行を受けるなどの深刻な人権侵害が続いているという。

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 越境してバングラデシュに逃れたロヒンギャ難民は2万人以上に達している。

 人権団体は「現在の状況は治安維持を超えた軍事作戦レベルであり、このままではロヒンギャ族が絶滅しかねない民族浄化が続いている」と国際社会に「ロヒンギャ問題への介入」を強く訴えている。

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スー・チーは「調査」を明言

 こうした中、マレーシアで12月4日に開催された「ロヒンギャ迫害を続けるミャンマー政府に抗議する集会」に出席したナジブ首相が「事態を静観、放置しているスー・チーは一体何のためにノーベル平和賞を受賞したのか」とスー・チーを厳しく非難した。

大塚智彦(PanAsiaNews)