2017年の箱根駅伝、全チームの戦力分析の第2弾は、前回の「シード校編」に続き、厳しい予選会を突破してきた10校を紹介。シード権獲得、古豪復活、前年のリベンジ......。さまざまな想いを抱き、箱根に乗り込む各大学の戦力はどうなっているのか?

【大東文化大学】

■予選会トップ通過の実力を本戦で発揮できるか!?

 前回は18位に沈んだが、この1年で大きく成長。10月の箱根駅伝予選会でトップ通過を果たし、関係者を驚かせた。予選会チームトップの原法利(3年)が59分台、3人が60分台。チーム10番目は61分14秒というハイレベルでまとめている。2区は関東インカレ1部のハーフマラソンで4位に入っている原が候補だ。

 出場チームの実力が拮抗しているだけに、1区と2区の出だしがポイントになるだろう。主将の下尾一真(4年)、1万m28分台の北村一摩(4年)と前田将太(3年)、それから奈良修監督を父に持つ奈良凌介(1年)の走りも注目だ。伝統的に得意な「山上り」と選手層の厚さでカバーできる復路でシード権争いを優位に進めたい。

【明治大学】

■シード権の奪還を目指して、古豪が団結!

 前回は3区と5区で区間最下位に沈み、7年間守ってきたシード校の座を手放した。8年ぶりに臨んだ予選会は、5000mでチーム最速タイムを持つ坂口裕之(2年)を欠きながら、トップと10秒差の2位で悠々と通過。予選会の疲労が残る全日本は1区で出遅れ、11位に終わったものの、チームは箱根の「シード権奪還」に向けて一丸となっている。

 関東インカレのハーフで3位に入るなど、エースに成長した籔下響大(4年)は5区でのリベンジを熱望。2区は予選会チームトップの江頭賢太郎(4年)が候補で、予選会を欠場した坂口も調子を上げてきている。主要区間候補である末次慶太(3年)、阿部弘輝(1年)らの活躍もポイントだ。

【創価大学】

■2年ぶり2回目の箱根路は往路で勝負!

 予選会で3位と大躍進。過去最高順位で2回目の出場を決めた。今季は6月の全日本大学駅伝選考会でも突破が確実というポジションにいながら、最終組のムソニ・ムイル(1年)が途中棄権。全日本キップを手にすることができなかった。

 だが、その強さは本物。スピードランナーの大山憲明(3年)、とエースのセルナルド祐慈(4年)、ふたりの1万m28分台ランナーを1、2区に並べ、予選会で個人4位の力走を見せたムイルは4区候補。5区には上りに適性を見せる築舘陽介(1年)が入る見込みだ。初出場となった前々回は5区で最下位に転落。その後は順位を上げることができなかっただけに、今回は往路で好位置につけて、沿道を沸かせたい。

【法政大学】

■前回のリベンジを果たして、シード権に近づけるか!?

 前回は1区で大きく出遅れ、過去ワーストタイの19位。今季はシーズンを通して長い距離を走り込み、予選会では下馬評を覆しての4位で堂々の通過を果たしている。

 1区は11月26日の1万m記録挑戦競技会で28分48秒61と大幅に自己記録を更新した坂東悠汰(2年)が有力。2区は前回1区で区間最下位に沈んだ主将・足羽純実(4年)がリベンジに燃えている。5区には前回区間13位の細川翔太郎(3年)が、10区にも前回同区を区間9位と好走した城越洸星(4年)がスタンバイ。主要区間をうまく乗り切り、4年ぶりとなるシード権に近づきたい。

【神奈川大学】

■エース鈴木の快走で12年ぶりのシード権へ

 予選会は5位通過だが、本戦が楽しみなチームだ。エントリー上位10人の1万m平均タイムは、シード校を含めた中でも9位。途中棄権に終わったものの、6月の全日本大学駅伝選考会も最終組の途中まで通過圏内につけていた。今季は鈴木健吾(3年)が頼りになるエースに成長したのが大きい。関東インカレ2部1万mで3位に入ると、予選会を日本人歴代3位の58分43秒で突っ走った。

 11月26日の八王子ロングディスタンス1万mで28分29 秒43の神奈川大新記録を樹立した山藤篤司(2年)と鈴木が1、2区を担う予定。そのポテンシャルを考えると、序盤で好位置につけることができるだろう。12年ぶりのシード権獲得へ。まずは好スタートを決めたい。

【上武大学】

■近藤新監督のもと過去最高順位を狙う

 前回は予選会をギリギリで通過し、本戦は最下位の20位。今季から神奈川大時代に5区で活躍した近藤重勝コーチが駅伝監督に昇格して、予選会を6位で突破した。花田勝彦前駅伝監督からの「タスキ」をしっかりつないで、初参戦からの連続出場を「9」に伸ばしたいところだ。

 近藤監督は予選会チームトップの東森拓(4年)を2区に、同2位の森田清貴(4年)を5区に起用することを明言。1区には、11月26日の1万m記録挑戦競技会でチーム最速の29分08秒43を出して勢いに乗る坂本佳太(3年)か、今季急成長の太田黒卓(2年)が入る見込みだ。チームの本戦最高となる総合14位を上回り、目標であるシード権を手にしたい。

【拓殖大学】

■チーム最高順位となる「6位」が目標

 予選会は7位通過も、本戦では躍進するかもしれないチーム。今季は9年ぶりに全日本大学駅伝選考会を突破。全日本は1区で14位と出遅れながら、2区ワークナー・デレセ(2年)が5人抜き、4区の宇田朋史(4年)も区間2位と好走して、8位に食い込んでいる。

 11月26日の1万m記録挑戦競技会でもデレセが28分19秒16、宇田が29分12秒99 とそろって自己新をマークした。2区のデレセで上位進出が計算できるだけでなく、宇田が入る区間でも攻撃が可能。5区から平地にコンバートされる馬場祐輔(2年)、新たに5区候補に挙がる戸部凌佑(2年)の走りも期待できる。手堅いレースを得意とするチームだけに、序盤で上位につけるとおもしろい。

【國學院大學】

■全員駅伝で5年ぶりのシード権を狙え!

 前回はまさかの予選会敗退。再出発を誓った今季は、全日本大学駅伝選考会をきっちりとクリアした。箱根予選会こそ8位通過と苦しんだが、全日本では過去最高の9位に入っている。

 本戦では全日本の1区で7位と好走した細森大輔(4年)を1区に、エース・蜂須賀源(4年)を2区に配置して、勝負を仕掛けたいところ。エース級ランナーは少ないが、ハーフマラソンで1時間4分未満が7人、1時間5分未満が18人を数える厚い選手層がチームの特徴。5区にも適任者がいるとの情報もあり、序盤で好位置につけることができれば、5年ぶりのシード権が見えてくるだろう。

【国士舘大学】

■添田新監督のもと3年ぶりの参戦!

 前回の予選会は10秒差で涙をのんだが、今季から添田正美駅伝監督が就任。6月の全日本大学駅伝選考会を6年ぶりに通過するなど、前半戦から結果を残してきた。箱根予選会は9位と苦しみながらも3年ぶりに突破を果たすと、全日本は14位でゴールしている。

 チームの主力は1万m28分台の石井秀昂(4年)と住吉秀昭(2年)。石井は主将としてチームを引っ張り、予選会でチームトップの住吉は、全日本1区でも区間11位とまずまずの走りを見せた。住吉は5区のプランもあるというが、ふたりを1、2区に起用する可能性が高い。序盤でうまく流れに乗って、八巻雄飛(3年)、戸澤奨(2年)らでさらに加速したい。

【日本大学】

■石川とワンブィの快走で上位戦線へ

 前回は11位でシード落ちを味わい、今季から武者由幸コーチが駅伝監督に昇格した。6月の全日本大学駅伝選考会を2位通過すると、9月の日本インカレ5000mではパトリック・マゼンゲ・ワンブィ(2年)と石川颯真(4年)がワン・ツーを飾っている。

 箱根予選会はギリギリの10位で通過。全日本はワンブィが本調子でなかったものの、10位でゴールした。武者監督は2区に石川、距離が延びた4区にワンブィを理想としているが、1区石川、2区ワンブィというオーダーも構想しているという。石川は全日本1区を4位と好発進しており、ワンブィは予選会を歴代6位の58分15秒で走破している。Wエースの快走がピンクのタスキを熱くするだろう。

酒井政人●文 text by Sakai Masato