バーシャ・ラオ●Airbnb ヘッド・オブ・グローバルオペレーションズ。Eve.com創業、GapグループのOldnavy.com副社長、SingTel Digital Media CEOなどを経てAirbnbに入社。米フォーチュン誌の「40歳以下のビジネス界のトップスター40人」に選出。

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インタビュー
●Airbnb ヘッド・オブ・グローバルオペレーションズ バーシャ・ラオさん

2013年から、Airbnb(エアビーアンドビー)の、グローバルビジネスを統括しています。最近の大きなテーマは、中国やインドなどの新しい市場で、ビジネスをどう立ち上げるか。世界各地で働く約50人のチームを率いているので出張も多く、毎月10日間くらいは海外に出ています。アジア市場は非常に成長が早いので、ビジネスを育てながら、リーダーを育てることにも力を入れています。

これまで私は、起業したり、転職したりしていますが、一貫してインターネット業界に身を置いてきました。キャリアの中で最初の転機になったのは、04年。長男が生まれた後、衣料品のGapグループに入りました。それまでネット通販ビジネスを起業したり、小さな会社に勤めたりしていましたが、もっと大きなチームを率いるリーダーシップスキルを身に付けたいと考えたのです。

2つ目の転機は、08年にシンガポールの会社に転職し、家族でアジアに移ったことです。普段は比較的、綿密に計画を立ててから行動を起こすタイプなのですが、このときは「このチャンスを逃す手はない」とすぐに決断しました。アジアの成長率は高く、欧米以外の文化の中で働くことはすばらしい経験になると考えました。このときアジアで働いた経験が、グローバルビジネスのキャリアを築くきっかけになりました。

■仕事と家庭の両立に特別な魔法はない

夫とはビジネススクールで出会ったので、私がキャリアを追求するタイプだということをよく理解しており協力的です。でも、仕事と家庭を両立するのは簡単なことではなく、特別な魔法はありません。工夫しているのは、子どもと一緒にいるときは仕事の電話やメールはせず、子どもと過ごすことに集中すること。休暇の過ごし方も大切です。家族旅行をするのですが、よくAirbnbを使います。リラックスできますし、家族旅行にはぴったり。子どもたちの、私の仕事に対する理解も深まります。

仕事と家庭を切り離すのではなく、仕事での経験を子どもとも共有することをおすすめします。たとえば私は、子どもたちを職場に連れていき、創業者に会わせたりもしました。Airbnbでは、子どもの職場参観日を設けています。親が仕事を楽しんでいることを、子どもたちに知ってもらうと良いと思います。

私の母も、ずっと働いていて、私のキャリアを応援してくれました。母からもらった3つのアドバイスは、後輩の女性にもよく伝えています。1つ目は、できるだけ早く、好きなことを見つけること。仕事を続けるのは簡単なことではないので、本当に好きなことでないと続けられません。2つ目は、子どもを産むことを後回しにしない。3つ目は、仕事を続けること。最初は大変でも、子どもはどんどん成長し、それにつれて両立も楽になります。しかしキャリアは、一度手放してしまうと、取り戻すのは大変です。

私はラッキーなことに、情熱を傾けられる仕事に出合うことができました。仕事を辞めたいと思ったことはありません。モバイル技術、ソーシャルメディア、IoT(モノのインターネット)など、インターネットの世界はめまぐるしく進化していて、本当におもしろい時代に生きていると感じます。その渦の中で、変化に参加していたいです。

(構成=大井明子 撮影=向井渉)