金正恩氏

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韓国統一省は22日、北朝鮮人権法に基づき同省傘下に設置された北朝鮮人権記録センターが来年から、韓国入りする脱北者全員を対象に、具体的な人権侵害事例について調べる方針を国会外交統一委員会で明らかにした。

センターが集めた情報は「北朝鮮人権情報システム」によって管理され、国内外に公開されるほか、具体的な人権侵害事例は検証の上、法務省の北朝鮮人権記録保存所に移管するという。

強姦と強制堕胎

そして、記録保存所に蓄積された情報は将来、北朝鮮の人権侵害の法的責任を金正恩党委員長らに問う上での根拠となるのだ。

韓国では2005年8月以降、与野党の政争の中で、北朝鮮人権法案の提出と廃案が繰り返されてきたが、今年3月にようやく成立した。これは、スキャンダルに塗れて沈みつつある朴槿恵政権が残した、最大の功績であると言えるかもしれない。

韓国で、次期政権を取る可能性の高い左派勢力は、南北の融和を優先する中で、北朝鮮の人権問題から目をそらしがちだ。しかし今後は、いかなる政権も北朝鮮の人権問題を重視すべき法的責任を負う仕組みが出来上がっているのだ。

それに具体的な情報が積み上がっていけば、それ自体が、政治や外交に影響を及ぼす可能性もある。

たとえば本欄でも紹介した脱北女性、キム・チャンミさんのようなケースだ。2007年、チャンミさんはいったんは中国へ逃れたものの北朝鮮に強制送還され、拘留場、集結所、教化所に収監され、ひどい人権侵害を受けた。

彼女の体験談は、どれもにわかには信じられないようなものばかりだが、とりわけひどいのが、北朝鮮の収容施設で当局幹部により性的虐待され、妊娠させられ、麻酔もせずに中絶手術をされたというものだ。

(参考記事:刑務所の幹部に強姦され、中絶手術を受けさせられた北朝鮮女性の証言

また1990年代には、労働者を飢餓から救おうとした製鉄所の幹部らが理不尽に処刑され、その横暴に抗議した人々が戦車で轢き殺された事件があったが、そのような情報についても、脱北者から改めて証言を集め、裏付けがなされることになるだろう。

そうした証言の一部にでも触れたなら、人間としての情の面からも、北朝鮮の人権問題が目をそらすことは難しくなるだろう。

いずれにしても、これから韓国にどのような政権が誕生するにせよ、人権問題で北朝鮮に譲歩するようなことを許してはならない。これは、日本人拉致問題の解決を考えるうえでも、非常に重要なことなのだ。