サイト「グーグル」より

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 米グーグルの親会社アルファベットが、12月13日に自動運転プロジェクトの独立分社化を発表した。新会社として設立される「ウェイモ(Waymo)」には、どのような狙いがあるのだろうか。

 グーグルは2009年から自動運転技術の開発に着手して、これまで公道で200万マイル(約320万キロ)、模擬実験で10億マイルを走行してきた。同社はその開発目的を、車づくりそのものではなく、あくまでも「自動運転技術の開発」にあると主張してきた。

 これまで1台も自動車をつくったことがない会社が、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA:National Highway Traffic Safety Administration)が定義する自動運転レベル4(「加速・操舵・制動すべてをドライバー以外が実施=ドライバーがまったく関与しない状態」)の車をいきなりつくれるのか思えるほど、当初は現実味のないものであった。

 実際、いつ事業化の目途が立つのかわからないまま、走行実験だけが長い間続けられてきた。だが、だらだらと続けられてきたこのプロジェクトは、ルース・ポラットCFO(最高財務責任者)の出現により現実路線に引き戻されることになる。モルガン・スタンレーでCFOを務めた実績を持つ彼の手腕は、コスト意識をアルファベットグループ全体に浸透させた。

 その方針は当然ながら、このプロジェクトを例外とするものではなかった。ハンドルもペダルもない自動運転車をいきなり開発するのは現実的でないとの意識は、今回の新事業会社「ウェイモ」設立というかたちになって表れた。

 ウェイモのジョン・クラフチックCEO(最高経営責任者)が「われわれは引き続きアルファベットから提供されるインフラやリソースを利用できるが、ウェイモという新しい世界ではベンチャーが支援する新興企業という感じもする」と述べているように、ウェイモはアルファベット傘下の独立した事業会社として、その真価を問われることになる。

●突破口はライドシェアリングか

 今回の発表では、ウェイモが具体的にどんなビジネスで売上を上げるのか明確にはしてないが、発表資料の中では、ウェイモの「次のステップは、用事での移動や通勤といった日常での利用、街中で夜を過ごした後の安全な帰宅を人々に実現させることだ」と説明している。

 このことから、ウェイモが手始めにライドシェアリング・サービス(相乗りサービス)に着手することは十分に考えられる。その際、アルファベットが自動運転車の開発について提携しているフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)や2017年に自動運転技術領域の共同研究で提携予定の本田技研工業の車を利用することは、容易に想定されよう。

 まずは「半自律走行技術の商用利用」を優先して開発を進め、ライドシェア事業化の成功を足掛かりとして、最終目標である「自動運転車の技術開発」へと結びつける意向であろう。

 従来の方針を大幅に修正して現実路線に切り替えたアルファベット。自動運転の技術開発は、確実に商用利用に近づいている。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)