《デリケートな女性の悩み》 頻尿

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執筆:座波 朝香(助産師・保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


普段、排尿の回数を意識したことがありますか?

飲み会の席などで「あれ?またトイレに行きたい…」と尿意を頻繁に感じたり、周りの人から「またトイレに行くの?」なんて言われたりする場面はないでしょうか。

人と比べてしまうと「これって頻尿?」と心配になることもあるでしょう。

どこからが異常なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

どれくらいが普通の排尿回数?

尿の量や回数には、個人差があります。1日の排尿量は、正常範囲で500〜2000ml/日と、とても幅があります。排尿回数にすると、1日に8回くらいが普通です。

だからといって、一概に8回までなら正常、8回以上ならば頻尿ということではありません。

たとえば、昼から夕方にかけての4〜5時間で5〜6回もお手洗いに行くとなると、頻尿といえるでしょう。

病気じゃない頻尿って?

頻尿になる理由に心当たりがあるようなら、必ずしも病気ではないでしょう。たとえば「寒くなると」「お酒を飲むと」尿が近くなる、排尿回数が多くなるという経験はないでしょうか。

頻尿になりうる生活習慣をいくつか紹介します。

寒冷


冬の間や夏の冷房のききすぎた部屋など、身体が冷える環境にいると尿が近いと感じる人はいるでしょう。身体が急激に冷えると膀胱がキュッと収縮します。

そのため、膀胱の容量が充満していなくても尿意を感じやすくなります。

また寒さを感じると体温を保とうと、身体は水分を留めます。汗が出にくい代わりに尿として体外に出るよう働くため、尿意を感じやすくなります。

飲酒・カフェイン


その時々の身体が必要としている量以上の水分を摂ると、尿量は増えます。


しかし、たくさん飲んだわけでないのに尿量が増えるということを感じることもあるでしょう。たとえば、アルコールや、コーヒー・紅茶・緑茶などに含まれるカフェインには利尿作用があります。

女性特有の症状 こんな症状のときは要注意

頻尿自体は生活習慣や環境に左右されることが多く病気ではありません。ただし、上記のような生活習慣に思い当たる節がないような場合や、頻尿がつづくことで生活に困る場合には治療の対象となる場合もあります。

とくに女性は、「骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)」や「臓器下垂(ぞうきかすい)」といって、膀胱や子宮、直腸など骨盤の中に納まっているはずの臓器が、通常の位置よりも下がってくることがあります。


そうなると、尿道が曲がってしまったり膀胱が刺激を受けたりして、頻繁に尿意を感じることがあります。つまり、生活習慣や環境によって引きおこる頻尿が問題なのではなく、骨盤臓器脱や臓器下垂が頻尿の原因となっている可能性があるということです。

とくに、妊娠・出産による「骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)」へのダメージや、加齢に伴って臓器脱になる人は増えてきます。

頻尿と併せて、膣に少し指を入れるだけでも臓器が触れるという場合には、臓器下垂があるかもしれません。

男女関わらず こんな症状のときは要注意

「過活動膀胱(かかつどうぼうこう)」という病気を聞いたことがありますか?

これは、膀胱に溜まった尿の量に関係なく、勝手に膀胱が収縮するために頻繁に尿意を感じるという病気です。膀胱に十分に尿がたまっていなくても頻尿になるので、排尿量は少ないのが特徴です。

以下のことに当てはまるのが大きな特徴です。

・急に尿がしたくなり、我慢するのが難しいときがある
・急に尿がしたくなり、我慢できずに尿を漏らすことがある


男性も女性も年を重ねるごとに、過活動膀胱になりやすくなります。

さらに女性は加齢に加えて、骨盤底筋群が弱っていくことが原因で過活動膀胱による尿失禁も問題になっています。

頻尿は身近なもの

これまで説明した通り、女性はとくに生活習慣や環境だけでなく、骨盤底筋群が弱っていくことが原因で、骨盤臓器脱と頻尿、過活動膀胱と頻尿、さらには尿失禁という問題を抱えがちです。

頻尿はお年寄りだけの問題ではありません。

とくに若い女性は、やせたい願望や間違ったダイエットによる筋力低下、足腰を使わない生活が骨盤底筋群を弱め、病的な頻尿を招いてしまうこともあります。

2015年度のスポーツ庁の調査では、30代の女性は運動不足の傾向と体力低下の傾向にあるという報告もあります。

「頻尿かな?」と思ったら、自分の生活習慣の見直しをしましょう。

また、生活に困るほどの頻尿に悩む場合には、我慢せずに相談することで快適に過ごせるようになります。きちんと受診をしましょう。


<執筆者プロフィール>
座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師。大手病院産婦人科勤務を経て、株式会社とらうべ社員。育児相談や妊婦・産婦指導に精通

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供