声に出して読みたい吉良吉影の名言(その2)


ジョジョ第四部のアニメも、いよいよ今回で最終回。原作者の荒木先生も最も気に入ってる悪役と公言されている第四部のラスボス・吉良吉影。平穏な生活を望みながら人を殺さずにはいられない「サガ」を前向きに生き抜いた男の名言を、前回に続いて振り返ろう。


●自分「爪」がのびるのを止められる人間がいるのだろうか?いない…
だれも「爪」がのびるのを止めることができないように…
持って生まれた「性」というものは 誰もおさえる事ができない…………

持って生まれた「手のキレイな女性を殺さずにはいられない」サガをぼやき、懺悔のように誰かに話さずにはいられない吉良。ただし、その真実と正体を聞く相手は殺すと決めたエモノだけだ。

●質問を質問で返すなあーっ!!疑問文には疑問文で答えろと学校で教えているのか?
わたしが「名前」はと聞いているんだッ!

ボーイフレンドを爆殺された直後の大倉美那子さんに名前を聞いたところ、「彼をどうしたの」と逆に聞き返されたときに放ったセリフ。猫の前のネズミのような相手を精神的にいたぶるシリアルキラーらしいふるまいだ。が、吉良本人も「人んちの窓、キョロキョロ覗いていただろッ?」と聞いてきた梨央ちゃんの隣人に「君の家か?」と質問に質問で返していた。

●「「追い詰められた時」こそ……冷静に物事に対処し…「チャンス」をものにするのだ」
どんな逆境にあっても、策にハマって父親を自ら爆殺することになっても、逆転を掴み取ろうとする主人公のような名言。ただし言ってるのが、人を殺すことを趣味とストレス解消としか思ってない殺人鬼である。吐き気を催す「邪悪」だが、自分の生き方を疑わない姿勢はそこにシビれる憧れる。

●心はみにくいが美しい手と顔をした女だ。
このわたしのところに来れば清い心で付き合えるよ…

イナカもんの彼氏の指輪はセンスが無いから質屋に入れるとダベってた女性に、殺人衝動がロックオン。おぞましい反面、「こういうゲスは天罰を受けてもしょうがない」と思う心もあり、絶妙なバランスを取ってるジョジョの倫理観だ。

●何だ……? この吉良吉影…ひょっとして 今 この女のことを心配したのか?
彼女の「目」にサボテンのトゲが刺さらなかったことに…今心からホッとしたのか…? 何だ…この気持ちは?

吉良吉影にとって唯一の改心フラグ。「いや違う! この女(川尻しのぶ)がもし死んだらあの空条承太郎にこの家のことが知られる心配があるだけ…」と自分に言い訳していて、もしかしたら静かに暮す未来もあったかも。フラグはあっさりへし折られたが「悪役に同情の余地を与えてはいけない」という荒木先生の判断だったかもしれない。

吉良吉影、モナリザの手に○起した「初体験」を語る


「ゆ…夢だ…これは夢だ。この私が追い詰められてしまうなんて…きっとこれは夢なんだ」

仗助によるに二発目の「追尾弾」を被弾し、切り札の猫草も奪われた吉良吉影。その瞳に映るのは相性が最悪の空条承太郎……。どこまでも前向きなラスボスが現実逃避したくなるハードな状況だ。視聴者にとっても、第四部アニメが終わるだなんて、これは夢だ……と目が宙をさまようところ。

しかし、吉良の悪運は尽きてなかった。救急車とともに現れた女医は、まさしく救いの女神だ。キラー・クィーンによって「爆弾」にできるのだから。承太郎のスター・プラチナも「時止め」の2秒では間に合わず、最低でも5mまで近づかなければいけない(スタンドの射程範囲が図解されているアニメオリジナルが親切)。そんな仗助達の恐れもつゆ知らず吉良に歩み寄り、「爆弾」に変えられてしまった女医さん。

いかにヤバイ状況かを正しく理解してるのは、バイツァ・ダストを仕掛けられた川尻早人ただ一人だけ。スタンド能力のない人間にだけ発揮して、吉良が追いつめられたときだけ偶発的に生み出せる能力であること。とことん絶望した状況のとき、1時間ほど戻す爆弾であること……早人、おまえ本当に小学生か? 普通の人間なのにスタンド能力を完ぺきに理解していて空恐ろしい。

そして吉良は、女医さんのきれいな手に頬ずり。バイツァ・ダストの発動には「自分の秘密を対象に知らせること」が不可欠であり、無くてはならない変態行為だったりする。

「私は子供の頃…レオナルド・ダビンチの「モナリザ」ってありますよね…あの絵…画集で見た時ですね」

「フフ…○起…しちゃいましてね…」

言ってしまったー!! 原作にはなかった「手に勃○した吉良少年」のオリジナルシーン付きで。モナリザの手のとこだけ(写真を)切り抜いて飾っていたように、あなたのも(爆弾にして)切り抜きたいと清々しくも性癖まるだし。

「私の名前は吉良吉影。今まで48人の手のきれいな女性を殺しました。あなただけだ。私の正体を知る者は。あなただけになる!」

手に対する異常な執着とそのルーツ、殺害人数と本名ーーバイツァ・ダストの発動条件はそろった。「手のきれいな女性」ということで、口止めで爆殺した重ちーや美那子さんの彼氏はカウントされておらず、どこまで被害者が広がってるのか見当もつかなくてゾッとする。

一度発動したら最後、その時点で「正体を知ってる」全員=承太郎や仗助たちは全員が吹っ飛ぶ……そこまで無敵の能力だったのかバイツァ・ダスト(たしかに早人の場合は正体を知る人=早人だけだった)。

「来るか承太郎!バイツァ・ダストはお前に会いたくない一心で発現した能力だ!近付いてこい!時を止めてみろ!何秒止められる?もっとこの私を追い詰めるがいい!」

シアー・ハート・アタック戦で植え付けられた承太郎への恐怖心が、吉良にとって地獄から生還する「蜘蛛の糸」だ。「絶望」を加速させるのが、正義の要である承太郎というパラドックス。その限界のギリギリさが再びきっとバイツァ・ダストを発現させるのだ!

「承太郎さん時を止めろ!キラークイーンのスイッチを押させるな!!」

キラー・クィーン戦の最終局面で、仗助の目立ったセリフはこれだけ。動こうにも足には木の手すりが突き刺さって物理的に動けない、さぞ歯がゆかっただろう。

「いいや限界だ!押すね!」

やったぞ、発動したぞ! そして時は巻き戻る。第四部完、まさかの吉良吉影が逆転勝利!?(前も言った気がする)

救急車に轢かれて事故死したラスボス


「フハハ…戻れたぞ…作動できたんだ!バイツァ・ダストを再び作動できたんだ!」

吉良がすごい顔で喜んでいると、胸をすり抜けていく小鳥たち。もし発動していたなら1時間前で、通勤路にいるはずだがそうじゃない。胸ポケットから取り出した時計は……壊れている?8時29分で止まっている? 早人がストレイ・キャットで壊したことが「すでに起こったこと」であり、時間が巻き戻ってない証拠だ。

「気付いてないの?」

そこに現れた杉本鈴美。15年前、吉良が殺害した「初めての女」だ。非情な現実を突きつけるのに言葉はいらない、ただ手を伸ばすだけ。その体をすり抜ける鈴美の手は、「すでに吉良が死んでしまっている」を物語る。死んだ殺人鬼のドス黒い魂に一体何が起きていたのか……。

「いいや限界だ! 押すね!今だ!」

あの瞬間、スター・プラチナよりも射程距離が長いエコーズACT3が「間に合って」いた。吉良に腹をぶち抜かれて殺されかけた康一くんが、決定的な瞬間で凶行を止めた。よくやったなあ……。

この第四部は、康一くんが吉良を「ぬお〜っ!!このクソカスどもがぁ〜!!」と悔しがらせるまでの成長物語でもあった。「康一君。君は本当に頼もしい奴だ。この街に来て君と知り合えて本当によかったと思っている」という承太郎の言葉は、視聴者の心の声でもある。

「そして…やれやれ。間に合ったぜ」

スター・プラチナ・ザ・ワールド!第三部の専用BGMが流れるなか、再び全開のオラオララッシュが見られる幸せ。第四部より遡り、第三部から付き合ってきた視聴者も報われる素晴らしさ。この瞬間は、川尻早人のたった一人の戦い、仗助の頭脳戦、億泰のストレイ・キャット攻略、康一くんの「重くする」攻撃--誰一人欠けてもあり得ない、全員がバトンを繋いでつかみ取ったゴールだ。

そして「時は動き出す」。

「押してやる…押してやる…今だ…バイツァ・ダストは作動するんだ…」

いまだに生に執着している吉良吉影のしぶとさ。それを断ち切るのはスタンドではなく、ただの救急車だった。バックしてきた車輪が吉良の頭に差し掛かり、首がグルンとひねられ……原作では伏せられた描写をきっちりやるアニメ版。車に轢かれて死亡するラスボス!

ちょうど地面とタイヤに挟まれて顔の皮膚が剥ぎ取られ、「キラヨシカゲ」と自分で名乗っていたことから、身元は勾当台に住む一人暮らしの男と特定。つまり吉良吉影は事故死とされ、本物の川尻浩作は「失踪」扱い。パパを殺された早人にとって「吉良が裁かれない」結末はやりきれない仕打ちだ。かといって、スタンド殺人鬼は法律では裁けない。

大丈夫。「裁き」は確かに下された。

愛する杜王町に裁かれた殺人鬼


時は再び現在。眼の前にいる少女が、自分がスタンドを発現する前に殺した杉本鈴美だと気づいた吉良。けれど用心深さは生前のままで、鈴美がわざわざ背中の傷を晒してまで正体を明かした真意に気づく。写真の親父から聞いた(親父の情報通ぶりすごい)「決して振り向いてはいけない場所」だと。

「お前が振り向いてみろ。ンン〜?どうなるか見てみたい」

血まみれの川尻浩作の顔が、元の吉良吉影に戻る演出がとてもいい。幽霊になっても「ここで安静に暮らせるかもしれない」と思える前向きさ、見習いたい。

が、それも15年も待っていた杉本鈴美にとっては想定済みのこと。アーノルド!と呼ばれた飼い犬(幽霊)に飛びかかられ、無理やり振り向かされる吉良。無数の手につかまれ、キラー・クィーンも粉々にされ、安心なんてないところへ連れ去られていった。吉良を裁いたのは、吉良が愛した杜王町そのものだった。さようなら、たった一人で戦い抜いた吉良吉影……。

鈴本麗美の昇天、ついにデレた露伴ちゃん


「これでやっと…やっと逝けるわね私達」

15年待っていた殺人鬼の最期を見届け、心置きなく杜王町を去ることができる杉本鈴美と愛犬アーノルド。

鈴美に「私がいなくなったら寂しいって泣くかしら」と話を振られても、「なぜ僕が寂しがるんだ?」と汗だくで強がる露伴ちゃん(当時4歳)。でも、じっと見つめる康一くんの圧力には勝てず「僕だって行ってほしくないさ!」と最初で最後のホンネが胸にじんわり。

仗助(傷治るの早いな)、億泰ほかいつものメンバーに山岸由花子や料理人トニオまでスタンド使い達が集まり、いよいよグランドフィナーレだ。ジョセフの「あんたのこと、ここにいる誰もが忘れはしないじゃろう」という言葉に、本当に第四部が終わるんだなと実感。原作では明後日の方向を見ていたミキタカが昇天する鈴美の方を向いていて、公式に「スタンド使い」確定ってことでしょうか。

街を守り続ける黄金の精神、さよなら杜王町


この最終話、後半はじっくりと尺を割いている。街が生んだ吉良吉影という怪物によって傷つけられた街自身、帰らぬ人達を悼むように。

川尻家も、その一つ。帰らぬ夫を待つしのぶは早人に「冷めちゃうから先食べちゃって。私はパパが帰ってから食べるから」という。吉良が川尻早人になりすます前、こんな家庭の会話もなかったろう。吉良を愛していた母に「パパが死んだ」とは言えず、ぐっと堪える早人。「ところであんた最近背伸びた?」と息子の成長に気づく母しのぶに、少し光を見る思いだ。

そして顔を見せずに街を眺める二人は、息子の帰りを待つ重ちーの家族か。「一体この痛みはどうやって癒せばいいのだろう。町の未来にとって命取りになるのか、さもなくばいずれ消え去るのだろうか。僕にはわからない」康一くんのモノローグで始まった第四部は、やはり康一くんのつぶやきで幕を下ろす……としんみり終わっては第四部じゃない。

「かつてわしらもエジプトに向かう時に見た正義の輝きの中にあるという黄金の精神。わしは仗助達の中に見た。それがある限り大丈夫じゃ。この街はもう心配ない」

街を去る客船の中で承太郎と話すジョセフは、第三部の「老いてますます健在」だった声の張りが完全に復活。「お〜いジジイ!聞こえねぇのかよジジイ!」と呼ぶ仗助に、「どれ。今一度誇り高き息子に別れを言おうかのう」というジョセフ、最初はぎこちなかった親子がずいぶん打ち解けたものだ。

母の写真を「財布に」入れておくよう渡した仗助。その手には写真の切れっ端が握られ、「クレイジー・D!」で直す→財布を引き寄せてゲット。こすっからいジョセフの息子だもの、こうじゃなくっちゃ! それでも「黄金の精神を持ってる」というセリフを撤回しないジョセフ、実にいい。

最後の最後はメインキャラクターたちの「その後」で、「透明の赤ちゃん」と承太郎の博士号のほかはアニメ完全オリジナル。以下、箇条書きにしておこう。

・山岸由花子に弁当を作ってもらった康一くん、自分から手を握ってリア充カップルに(アンジェロ岩も再登場)
・トニオの料理は億泰の父(肉の芽に蝕まれた)に効果なし。噴上裕也が取り巻き3人とデート
・元・会社の同僚、吉良吉影の死を悼む
・間田敏和と小林玉美、仲良くケンカ
・露伴先生、スピンオフ作品「岸辺露伴は動かない」でやってた準備体操
・鋼田一の鉄塔から杜王町を見るミキタカ
・コンビニの前で億泰が仗助と康一くんに「おい知ってるか?露伴がカメユーで万引きして捕まったらしいんだよ」とダベリ(億泰の声優・高木渉さんのアドリブだとか)

最後の締めは、原作のラストカットと同じジョジョ立ちで仗助が締め。全39話、一話残らず素晴らしい映像化をしたスタッフのみなさん、この連載に39回お付き合い頂いた読者の方々、本当にありがとうございました。グレートなジョジョ第四部のアニメ化でしたよ、こいつはァ!