『真田丸』の“口吸い=キス”が話題!では“吐淫”って何?【夜の江戸言葉】

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 18日に最終回を迎えたNHKの大河ドラマ『真田丸』。ストーリーもさることながら、最後に話題をさらったのが、幸村(堺雅人)ときり(長澤まさみ)の“口吸い”シーンでした。

 現代劇でいえばただのキスシーンなのに、江戸言葉にしただけでインパクトが強まるのは興味深いところ。他に何か面白い言い回しはないものでしょうか?

◆この江戸言葉、どんな意味でしょう?

 そこで『江戸の性語辞典』(著:永井義男、朝日新書)という本で調べてみました。江戸時代に庶民の間で使われていた色っぽい言葉が228個も紹介されている一冊で、意味だけでなく当時の春本(エロ本のこと)から引いた例文まである充実ぶり。そこには無機質な現代とは違った風景が広がっていました。

 たとえば…
(1)つび
(2)吐淫(といん)
(3)湯文字(ゆもじ)
(4)得手吉(えてきち)
(5)とぼす

 これらは何のことだと思いますか? 意味は分からなくても音の響きだけでいやらしくありませんか?

 この正解は後ほどということで、ではさっそくいくつか見ていきましょう。

◆ 屬わらけ」って? 女性のアソコを表す江戸言葉

 女性のアソコと聞いて最初に思い浮かべる単語といえば、“おまんじゅう”に似たアレですよね。でも当時は幼い女の子のアソコをかわいく言った子供言葉だったのだそう。行為そのものも意味する現代とはだいぶ違っていたようです。

 そんな“おまんじゅう”っぽいのから、少し成長するとだんだん艶っぽくなってきます。まだ毛の生えそろっていない未成熟な状態を表す用語が、「土器」(かわらけ)。そんな女子といたすことになったら、男は十分に気を付けなければならないと注意を促す文がこちら。

<まだ毛の生えぬかわらけのうち、根まで入れて毛際にて玉門のふちをこすれば痛むものなり。たとえ深きをこのむことありとも、心しておこなうべし。>
(p24 春本『艶紫娯拾余帖』太字は筆者、以下同)

 意訳すると、“新居にはいきなり土足で踏み入ることなかれ”といった感じでしょうか。マナーとかプロトコルに通じる話かもしれませんね。

◆◆屬垢椶院廚辰董 男性のアソコを表す江戸言葉

 男性のアソコを表すワードも、すぐに思いつくものがいくつかあります。たとえば「魔羅」(まら)なんてのも知られたところでしょうか。でもその他に「へのこ」まで知っていたとしたら、なかなかの魔羅通です。

 そんな魔羅ですが、長さや太さ、形で品評されてきたのは今も昔も変わらないようです。皮をかぶった「下品(げぼん)」から「中品(ちゅうぼん)」「上品(じょうぼん)」ときて、最上級の「胴返(どうがえし)」とランク付けした春画も紹介されています。

 でも江戸時代は、持ちモノが「下品」だからといって冷たく切り捨てられはしなかったようです。

 皮をかぶった「下品」の別称「すぼけ」で紹介されている例文は味わい深いものでした。女性が男をこう勇気づけるのです。

<「おめえのは、すぼけていても味がいいよ。そして、なんたびでも利くから嬉しいよ」>
(p56 春本『春色一休問答』)

 でも気をつかってもらってる感じが余計に辛いかも……。

 一方、最高ランクのアソコ「胴返」には燦然と輝くワードが添えられるもの。名付けて「紫色雁高(ししきがんこう)」。もう読んで字のごとくですね。青黒く、見事なナポレオンハットを持つ至高の一本。

 好きな四字熟語にしたくなる字面です。
◆エロは恐ろしい…「信実なら、これをなめな」

 ここまでは微笑ましかったり、ムフフとなる江戸言葉を紹介してきましたが、それだけですまないのが奥深いところ。ちょっと背筋が寒くなるような言い回しもあるのです。

 たとえば「信実」(しんじつ)。その通り、本気だとか愛情が深いという意味なのですが、そこに性愛が絡んでくるとちょっと見え方が変わってきます。奥さんが脚をひろげて、旦那にこう詰め寄るのです。

<「わっちに信実なら、これをなめな」>
(p111 春本『好色春の風』)

 こんな風にすごまれたら、謹んでハーモニカを吹くしかありませんね。

 そして最後は「命の洗濯」。これはズバリ、セックスそのもの。パンパンしてリフレッシュすると生まれ変わった気分になるからでしょうか。さわやかなのに重みのある、不思議な言い回しですね。

◆クイズの答え

 というわけで、最初のクイズの答え合わせ。

(1)つび…女性のアソコ
(2)吐淫(といん)…愛液
(3)湯文字(ゆもじ)…女性の下着
(4)得手吉(えてきち)…男性のアソコ
(5)とぼす…性交

 でした。『真田丸』をきっかけに、ちょっと雰囲気を変えたラブライフを試してみては?

<TEXT/比嘉静六>