「mogoo HP」より

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 普段めったに料理をしない人が何か料理をつくろうと思った際に、強い味方となってくれるのが料理のレシピを教えてくれるサービスやアプリ。これまでその筆頭格といえば、一般ユーザーがレシピを投稿する「クックパッド」だったが、近年は動画に特化してレシピを紹介する料理動画サービスがじわじわと増えている。

 そうした料理動画サービスのなかでも「30秒でチェック可能な時短レシピ」で人気を呼んでいるのが、インスタグラムやフェイスブックなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を中心に再生数を伸ばしている『mogoo(もぐー)』だ。2015年にスタートした比較的新しいサービスながら、10〜30代の女性層から圧倒的な支持を集め、月間1000万人が閲覧しているという人気ぶりなのだ。人気の秘密を探るべく、昨年9月に24歳の若さでmogooを立ち上げたスタートアウツの代表取締役、板本拓也氏に話を聞いた。

●スマホ世代に向けてサービスを最適化

 恥ずかしながら、筆者は料理という料理をつくったことがないが、「料理男子はモテる」という話を聞くにつけ、機会があればトライしてみたいと常に思ってきた。しかし、ろくに料理をしたことのない人間にとって、料理のハードルはかなり高い。なぜなら、レシピを見たところで、つくり方がイメージできないからだ。板本氏は、そんな料理初心者にこそmogooは最適だと語る。

「僕もそうなのですが、結局、料理の初心者は、文字のレシピだけではわからない人が多いのです。たとえば、『乱切り』『くし形切り』『短冊切り』などと書かれていても、なんのことかわからないですし、見慣れない調理器具があると、使い方自体がわからないこともあります。そうした人にもつくり方を伝えられるのが、当社のサービスだと自負しております」

 今の若い世代には、「テレビで料理番組は観ないけれど、スマートフォンでレシピは確認する」という人が多く、そんな彼らには文字情報ではなく動画のほうがより支持される。mogooでは、こうした背景も踏まえてインスタグラムやフェイスブック、ツイッター、またLINEのタイムラインや動画共有サイト「YouTube」などに毎日6〜7件のレシピを公開している。

 それぞれ統計を取ると、フェイスブックからの流入が一番多いものの、10〜20代の若い女性はインスタグラムからのリーチが圧倒的に多いという。

「特にスマホで見る人たちに対しては、長い尺の動画は向かないので、大体すべてのレシピは30〜40秒ぐらいの短尺になるよう心がけています。また、YouTubeユーザーは比較的ゆっくり観てくれるが、ツイッターユーザーは早いペースでほかのコンテンツに移ってしまうなど、各プラットフォームによってユーザーの属性も違います。それを踏まえて、各SNSに最適化するために同じレシピでもフェイスブックとインスタグラムの動画では、微妙な差ですが編集を変えています。

 料理の工程そのものは一切省かずアップしているため、なかにはどうしても40秒を超えてしまう動画もありますが、そもそも工程が多い料理は基本的にあまり取り上げません。まったくの初心者でもトライしたくなるような、しかもSNS映えする見た目で、思わずインスタグラムに上げたくなるような料理を意識して提案しています。こうしたこだわりが、結果的に短くて観やすい動画であり、簡単につくれる料理という評価につながっているのではないかと」(同)

●専属のマイスターたちによる独自のレシピ

 ここまで聞いただけでも、今どきの若い世代に支持される理由がわかるが、他社のサービスと一線を画すmogooのこだわりはほかにもある。

 mogooは、管理栄養士やパティシエを中心とした専属の「mogooマイスター」による料理チームを社内に抱えているのだ。すべてのレシピは彼らの考案で、毎週約300案のレシピのなかから、絞りに絞った約50本が公開される。mogooの専属マイスターたちはそれぞれ、その道のプロなので、どのレシピも精度にムラが出にくい。その上、すべて閲覧は無料だ。では一体、どこで収益を上げているのだろうか。

「現状では、普段のコンテンツはすべて赤字です。収益を生んでいるのは、ときどきアップさせてもらっている、食品メーカーとのタイアップ動画です。毎日mogooのレシピを観ていただいているファンの方に向けて、たとえば『今日は、●●の昆布つゆを使った料理を紹介します』といった具合に商品を紹介します」

 そうした動画を見て、料理をつくってみようと思ったユーザーが、そのメーカーの昆布つゆを買うことを期待したタイアップだ。板本氏いわく、今後は「課金も含め、タイアップ以外のビジネスモデルも模索していく予定」とのことだが、できることなら、可能な限り無料を貫いていただきたいもの。類似サービスのなかでは一気に抜きん出た感のあるmogooが、今後どこまでシェアを伸ばしていけるか。若き社長の手腕に注目だ。
(文=青柳直弥/清談社)