毎年、数々のドラマが感動と興奮を呼ぶ箱根駅伝。前回10位までに入りシード権を獲得した大学の中から、ダントツの優勝候補である王者・青学大を脅かすチームは現れるのか。注目選手と共に、各大学の戦力をチェックしていこう。

※紹介は前回大会の総合結果順

【青山学院大学】

■「3連覇」&「3冠」を目指す学生駅伝界のキング

 箱根駅伝2連覇中で、今季もすでに出雲と全日本を制し、学生三大駅伝3冠を狙う青学大。エントリー上位10人の1万m平均タイムは28分41秒54と、2位以下に14秒以上の大差をつけており、その戦力はダントツだ。全日本の最終区で49秒差を逆転した絶対エース・一色恭志(4年)が2区に入る予定で、全日本2区で7人抜きを見せた田村和希(3年)、絶好調の鈴木塁人(1年)も往路の候補に挙がっている。

「山の神」こと神野大地が卒業した5区は唯一ともいうべき不安材料だが、4区と5区がそれぞれ2.4km延長・短縮したことで、チームとしては戦いやすくなった。6区に、前回区間2位の小野田勇次(2年)が控えているのも強み。高い総合力で、「3連覇」&「3冠」に向かって突っ走る準備はできている。

【東洋大学】

■エース服部弾馬のスピードでトップを奪え!

 今季は出雲が9位、全日本が6位と、酒井俊幸監督が就任して以来、過去最低の順位となった。だが、箱根は総合優勝を狙う「攻めのオーダー」で挑む。5000mで現役日本人学生最高タイムを持つ、エース・服部弾馬(4年)は1区が有力。高速レースに持ち込んで大量リードを奪いたい。

 また、出雲と全日本を欠場した口町亮(4年)が復帰予定で、これにより戦力は大幅にアップする。1万m28分22秒97のタイムを持つ櫻岡駿(4年)と共に往路の主要区間(2区と4区)を担うことになるだろう。全日本のアンカーで区間4位と健闘した山本修二(2年)、上尾ハーフでジュニア日本歴代3位の1時間2分05秒をマークした相澤晃(1年)の活躍も期待できる。

【駒澤大学】

■「往路V」を狙う前半型オーダーで勝負!

 1万mとハーフマラソンで現役日本人学生最高タイムを持つ、エース・中谷圭佑(4年)の復帰が大きい。中谷を欠いた出雲と全日本は5位と4位に沈んだが、大黒柱のカムバックでチームに勢いが出てきた。

「往路優勝、総合3位以内」を目標に掲げており、往路に主力を並べるオーダーが予想される。2区は、前回2区を区間4位と好走している工藤有生(3年)、5区は全日本のアンカーで区間3位と快走した大塚祥平(4年)が濃厚だ。中谷だけでなく、1万m28分台のタイムを持つ西山雄介(4年)と下史典(2年)も往路につぎ込む可能性もある。「前半勝負のオーダー」で主導権を握りたい。

【早稲田大学】

■4年生主体の強力布陣で全日本の再現を!

 出雲は8位に終わったが、全日本は3区鈴木洋平(4年)でトップに立つと、アンカーにタスキが渡るまで独走。ダントツV候補だった青学大と大接戦を繰り広げた。その後の上尾ハーフでは、武田凜太郎(4年)が1時間1分59秒で優勝し、1時間2分台が3人、1時間3分台が5人。11月26日の八王子ロングディスタンス1万mでは全日本4区区間賞の永山博基(2年)が28分25秒85の自己ベストをマークしている。

 往路の平坦区間は主将の平和真(4年)、武田、鈴木、永山が候補で、山には前回5区を区間5位と好走した安井雄一(3年)。復路には前回9区区間賞の井戸浩貴(4年)が控えている。強力布陣で箱根でも青学大を苦しめたい。

【東海大学】

■強力ルーキーたちの活躍で「新時代」を切り開く

 昨季は、学生三大駅伝すべてで5位。今季は超強力ルーキーが加入して、そのパワーが出雲で爆発した。1区から3区に1年生を並べると、3区關(せき)颯人が区間賞の快走でトップを奪取。5区の終盤まで先頭を駆け抜けて3位に入った。全日本は關の欠場が響いて7位に終わったが、3区で館澤亨次が区間賞を獲得。上尾ハーフでも鬼塚翔太がジュニア日本歴代2位の1時間2分03秒、松尾淳之介が同5位の1時間2分17秒をマークしている。 

 そして、箱根では上記の4名を含む、前代未聞の1年生8名がエントリー。1区は鬼塚が濃厚で、2区は關、5区は館澤と松尾、6区は中島怜利が候補に挙がるなど、本番でもルーキーたちが主要区間を担う見込みだ。狙い通り、新時代への第1歩を踏み出すことができるか。

【順天堂大学】

■五輪ランナー・塩尻の快走で上位争いを!

 今季から長門俊介駅伝監督が就任。6月の全日本大学駅伝選考会は落選したが、出雲では3000m障害でリオ五輪に出場したエース・塩尻和也(2年)が3区で快走し、7位に入っている。箱根では2区塩尻に注目だ。前回は2区を区間5位と好走。今回はスピードとスタミナがアップしており、さらなる快走が期待できるだろう。

 ほかにも、聞谷賢人(4年)と栃木渡(3年)が1万mで28分台に突入して、前回エントリー漏れした1万m28分台の花澤賢人(3年)も調子を上げている。箱根経験者の西澤卓弥(4年)、作田直也(4年)、森湧暉(4年)は充実しており、野田一輝(1年)ら新戦力も台頭。「山登り」にも自信があるようで、総合力が噛み合えば上位が見えてくる。

【日本体育大学】

■1万m平均タイム3位の戦力で目標「3位以内」

 前回は7位に入り、就任2年目の渡邉正昭駅伝監督のもと、着々と力をつけてきた。出雲は1区で小松巧弥(4年)が区間賞を獲得するなど6位。全日本は13位に終わったものの、上尾ハーフと1万mでメンバーが好タイムを連発した。特に、1万mは28分台ランナーが8人に増え、エントリー上位10人の平均タイム(28分56秒58)で3位につける。

 1区は小松が有力で、6区は前回区間新を叩き出した秋山清仁(4年)が控えており、往路・復路ともスタートは強力だ。全日本7区区間賞の小町昌矢(3年)と出雲と全日本でエース区間に入った富安央(3年)が、候補に挙がる2区で好走できれば、厚い選手層を生かしてサプライズを巻き起こすかもしれない。

【山梨学院大学】

■2区ニャイロでトップを奪い、どこまで逃げられるか

 前回は8位で、今季は出雲で2位、全日本で3位に入っている。両駅伝ともドミニク・ニャイロ(2年)が最終区間で順位を上げたが、箱根ではニャイロの2区が濃厚。チームの「レースの流れ」が変わることになる。

 前回2区を歴代8位タイの1時間7分20秒で走破したニャイロは、全日本8区で歴代3位の好タイムを叩き出すなど、さらに成長した。出雲と全日本の1区で好走している上田健太(3年)が箱根でもスターターを務めることになれば、2区で一気にトップを奪うことができるだろう。今季1万m28分26秒70をマークしている佐藤孝哉(4年)も往路に入る見込みであり、1万mエントリー上位10人の平均タイム2位(28分55秒93)の総合力で逃げ切りを図りたい。

【中央学院大学】

■1年生エース・高砂を軸に狙うはトップ5

 出雲は過去最高の4位、全日本は過去最高タイの5位。両駅伝ではエース格の海老澤剛(4年)を欠いたものの、高砂大地(1年)と横川巧(1年)が奮起した。特に高砂は出雲でアンカーを任され、区間3位と快走。1万mでも28分台に突入して、箱根では2区抜擢の可能性が高まっている。

 出雲で1区を担当した横川が箱根でも1区候補で、前回2区の大森澪(3年)も往路に入る予定。6区には前回区間3位の樋口陸(2年)が控えているだけに、未知数の5区をうまく乗り切りたいところだ。主将・村上優輝(4年)は復路の軸となりそう。海老澤剛ら故障者が間に合えば、前回達成できなかった「5位以内」という目標が見えてくるだろう。

【帝京大学】

■安定感のあるレース運びで「6位以内」を目指す

 前回の箱根、今季の出雲と全日本で、3大会連続の10 位。シード権の「ボーダーライン」ともいうべきチームだが、今季は例年と比べて下級生がチームを引っ張っている印象だ。箱根では成長著しい竹下凱(2年)の1区が濃厚。ハーフマラソンで1時間2分20秒の記録を持つエース格の内田直斗(4年)が2区で好走できれば、シード権争いを優位に進めることができるだろう。

 5区は前回区間10位の加藤勇也(4年)以外に候補がおり、畔上和弥(2年)は主要区間での活躍が期待されている。その他は全日本を区間上位で走っている宇佐美聖也(4年)、佐藤諒太(3年)らが固める布陣。チームの目標は「6位以内」で、最低でも連続シードは確保したい。

(【予選会通過チーム編】につづく)

酒井政人●文 text by Sakai Masato