本作での役割を語るガストン・パヴロヴィッチ

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 巨匠マーティン・スコセッシ監督が、遠藤周作の原作を映画化した意欲作『沈黙 -サイレンス-』(2017年1月21日より日本公開)について、製作者ガストン・パヴロヴィッチが、12月9日(現地時間)ニューヨークのザ・リッツ・カールトン・ホテルで行われた取材で語った。

 17世紀、江戸時代初期、キリシタン弾圧下の長崎が舞台。この地に布教に赴いたイエズス会の高名な宣教師フェレイラ(リーアム・ニーソン)は幕府の役人に捕らえられる。過酷な弾圧に屈したフェレイラが棄教したとの知らせを受け、彼の弟子ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライヴァー)は、マカオで出会ったキチジロー(窪塚洋介)の手引きで日本に潜入し、隠れキリシタンから歓迎されるが、やがて長崎奉行所から追われる身となる。

 製作者のガストンは、遠藤周作の原作について「熱心な文学作品の読者だった僕は、原作は文学として非常に価値のある作品だと思った。50年前の小説だが、題材となる『信仰』は今日にも影響を与えるもので、過去の宗教の信仰や文化の議論は、今日の議論としても語り合える。だからスコセッシ監督が脚色した脚本も、その原作に非常に忠実だ」と明かした。

 一時期、映画制作会社チェッキ・ゴーリ・ピクチャーズが、今作をなかなか製作しないスコセッシ監督相手に訴訟を起こしたが、ガストンはいつ頃から今作に関わったのか。「僕が関わったのは撮影半年前の撮影準備期間で、以前のプロダクションが企画倒れになった時期だ。そんな時に、ある人物から本作の製作者エマ・コスコフを紹介され、それから24時間以内にニューヨークでスコセッシ監督と会って話をし、その夜には製作者としての参加が決まった。僕が参加する前から同訴訟は行われていたが、僕が参加したときも未解決な箇所があって、知的財産権などの問題を解決することが、今作において僕の最初の仕事だった」と答えた。

 遠藤周作は、原作の中で自分に一番近いキャラクターはキチジローと語っていた。スコセッシ監督も神学校に通っていた時期があり、彼もまたキチジローに共通点を見いだしていたのかもしれない。「僕もスコセッシ監督も、このキチジローという役を重要視していた。スコセッシ監督は原作から脚色する上で、的確にキチジローを表現する必要があった。キチジローは常時落とし穴に陥るが、それでも人を信じるという、僕ら人間を反映したキャラクターなんだ」と語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)