ついに本日、『ウルトラマンオーブ』が最終回! この記事がアップされるのは、すでに本放送が終わっている時間なので、みなさんは感動に打ち震えていたり、非常にスッキリした気分であったりすると思いますが、筆者はこれを書いている時点で非常にモヤモヤしております。


それだけ先週放送された24話「逆襲の超大魔王獣」のインパクトが強かったということ。ウルトラマンオーブがマガオロチに負けてしまった11話と同じように、日本全国のちびっこたちが泣き出してしまったというから本物だ。『シン・ゴジラ』では東宝の本気を見たが、『オーブ』24話では円谷プロの本気を見た気がする。監督はメイン監督の田口清隆、脚本はシリーズ構成の小林雄次が満を持して登板している。

東京に大異変! 地球滅亡の序曲!?


23話「闇の刃」で宿敵ジャグラス ジャグラー(青柳尊哉)を見事に倒したクレナイ ガイ(石黒英雄)ことウルトラマンオーブ。しかし、地下ではさらなる脅威が蠢きはじめていた……。23話の解説はこちらからどうぞ。→「ジャグラーは『ばいきんまん』? 『ウルトラマンオーブ』23話振り返り」

突如、地下から現れる3体の地底怪獣、デマーガ、ゴメス(S)、テレスドン。迎え撃つハリケーンスラッシュ! と思いきや、3体の怪獣はそのまま倒れて死んでしまう。いちいち怪獣の脈を取るハリケーンスラッシュが可笑しい。ちなみに3体とも『ウルトラマンX』の田口監督回に登場した怪獣だ。

東京に異変が起こっていた。12月なのに真夏日の猛暑が続き、UFOの群れが飛び去り、第8話に登場したグビラとラゴン親子が東京湾から去っていった。極めつけが3体の地底怪獣の死である。これは地球滅亡の序曲なのか……?

SSPのジェッタ(高橋直人)とシン(ねりお弘晃)は、怪獣などのことが記された「太平風土記」の原本を持つ郷土史家のもとへ出向いていた。失われた「太平風土記」の原本に、地球滅亡の危機を救うヒントが書かれているかもしれないと考えたからだ。郷土史家の妻を演じている原知佐子は、『ウルトラマン』を手がけた実相寺昭雄監督の妻。ウルトラシリーズにもたびたび出演しているが、『シン・ゴジラ』では八ツ山橋の踏切で逃げ遅れる老婆の役を演じていた。

人間の愚かさをまとったミサイル・スパイナーR1


23話でビートル隊に捕縛されたジャグラーは、ビートル隊日本支部の地下に拘束されていた。面会にやってきたビートル隊の菅沼長官(佐野史郎)に対し、ジャグラーは「最後の魔王獣にこの星は食われる」と告げる。魔王獣が現れるのは8つの地脈が交わる東京の聖地……東京タワー!

かつてウルトラマンオーブに倒されたマガオロチは幼体に過ぎず、命を地下に託しており、地球そのものをサナギにして完全体・マガタノオロチとなるというのだ。20話のラストでジャグラーが「この星の奥底に、まだ闇の力が眠っていたとはな……!」と歓喜に打ち震えたのも、マガタノオロチのことを知ったからだ。22話で侵略宇宙人たちが地球から逃げ出していたのもマガタノオロチのせいである。ニュース画面に出てくる「観測史上最大級の怪獣災害か」というフレーズがいかにもありそう。

サナギのうちに総攻撃をかけなければ大変なことになると菅沼長官に吹き込むジャグラー。菅沼長官は最新鋭ミサイル・スパイナーR1を打ち込むことを決断する。しかし、これはジャグラーの罠だった。攻撃によるエネルギーでマガタノオロチを目覚めさせようとしているのだ。

菅沼長官を演じた佐野史郎といえばSF・特撮愛好家としても知られており、『ゴジラ2000ミレニアム』などにも出演経験があるほか、ドラマ『私が愛したウルトラセブン』では夭折した脚本家・金城哲夫を演じていた。最近では公開されたばかりの『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』ではタイトルロールのDr.パックマンを演じている。『ライダー』と『オーブ』を続けて見た子どもたちは、さぞ驚いたことだろう。

スパイナーR1の「スパイナー」と「R1」とは、いずれも『ウルトラセブン』に登場した爆弾の名前である。「超兵器R1号」で、地球防衛軍はR1号の実験として何の罪のないギエロン星を完全破壊するが、地球はその星に住んでいたギエロン星獣の復讐を受ける。兵器開発競争を「血を吐きながら続ける哀しいマラソン」と表現した名セリフがあるエピソードだ。ジャグラーが「恐怖に駆られた人間ほど、おぞましいものはこの世にない」と言うシーンがあるが、スパイナーR1とはウルトラシリーズのパロディのようでいて、実は人間の愚かさをまとったネーミングでもあるのだ。

ウルトラマンオーブ完全敗北! さらに……!


ジャグラーの計略に気づいたガイたちだったが、スパイナーR1は発射されて東京タワーの根元に着弾! ジャグラーの狙い通り、マガタノオロチが出現、猛烈な勢いで都市を破壊しはじめる。東京の中心部を破壊するマガタノオロチの姿を俯瞰で捉えたカットを見ると、「星のすべてを食い尽くす超大魔王獣」というジャグラーの言葉もけっして大げさに聞こえない。

ガイはサンダーブレスターに変身するが、これまでに登場したすべての魔王獣の攻撃技を放つことができるマガタノオロチに歯が立たない。最後の手段、オーブオリジンに変身するも、必殺技のオーブスプリームカリバーを吸い込まれてしまう始末。さらにマガタノオロチの猛攻を浴びて、ウルトラマンオーブ完全敗北……! このあたりでオーブを応援していた全国のちびっこの涙腺は決壊! 

ガレキの山の中で倒れこむガイに駆け寄るナオミ(松浦雅)。しかし、ナオミの背後に悠々とビートル隊の拘束室から脱出したジャグラーが現れた!

「本当の地獄はこんなものじゃないぞ」

とガイに向かって言うやいなや、蛇心剣でナオミを斬る! ええーっ! 全国の視聴者を愕然とさせたままエンディング! 

マガタノオロチは倒せるの? 斬られたナオミはどうなるの? 「太平風土記」を持ったままガレキを浴びたジェッタとシンは大丈夫なの? ガイとウルトラマンオーブは再起できるの? ガイとジャグラーとの因縁はどうなるの? これ、本当に最終回1話でまとまるの?

『シン・ゴジラ』とは関係ない!


菅沼長官が共同記者会見を行うくだりや、マガタノオロチが都市破壊を行うシーンなどから『シン・ゴジラ』からの影響を指摘するファンもいたようだが、田口監督のツイッターによると、脚本の決定稿が仕上がったのは『シン・ゴジラ』の公開前。脚本の小林氏は「『シン・ゴジラ』を観て、うお! となりました」と素直な気持ちを明かしている。逆に言えば、視聴者が『シン・ゴジラ』を思い起こすほど、マガタノオロチの進撃がリアルかつ絶望的だったのだろう。

地脈とは、風水や陰陽道における地中に宿るエネルギー(気)のこと。荒俣宏の小説『帝都物語』では、帝都東京の崩壊を目論む魔人・加藤保憲が地脈の乱れを利用して関東大震災を起こす。また、東京タワーの足元にある芝・増上寺は江戸時代に「裏鬼門封じ」として現在の場所に移設されたと考えられている。ゲーム『サクラ大戦』では、悪の組織・黒之巣会が、芝ほか東京の地脈スポットに楔を打ち込んで巨大地震「帝都大崩壊」を引き起こしていた。

作品のテーマとかそういうことは一旦置いておいて、破壊の限りを尽くし、視聴者を絶望の淵に追いやった『ウルトラマンオーブ』。はたして、どのような最終回を迎えるのだろうか? 最終回のタイトルは「さすらいの太陽」。見逃してしまったあなたには、円谷プロダクション公式チャンネル「ウルトラチャンネル」で1話まるごと見逃し配信中です。銀河の光が我を呼ぶ!
(大山くまお)